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その後のお話(2)

「なんだかうれしそうじゃの?」


 一人ニマニマご飯を作っていたらシャルティに話しかけられた。


「え?そう見えるかな?」


「うぬ。幸せオーラを放ちすぎじゃ!!」


 と、薄目でシャルティに言われて私は思わず頬を抑える。

 うー。セルヴァさんに結婚しようと言ってもらえてうれしいに決まってる。

 顔に出すなと言う方が難しいのだけれど。

 具体的な話が進むのは食糧難解決後だけど、それでも嬉しい。


「実はね、セルヴァさん達と各国のダンジョンをめぐる事になったの。

 シャルティもよろしくね」


 私が言えば、シャルティがにんまりと微笑んで


「それはいい案なのじゃ!!!」


 と、なぜか全力で賛成してくれた。


「今度はゆっくりその地をめぐるのか?」


「うん。もちろん。今度はちょっと観光もしたいな」


 確かに前も宝珠を直す旅にはでたけれど、あの時は速度重視で、その地に泊まるなんてことはなかったから。食料危機の領地が終わったら観光地巡りさせてほしいな。

 頑張ったご褒美としてそれくらいのわがままは許して貰えると嬉しい。

 セルヴァさんが食料危機にある領土から優先してやるって言ってたから、その話を煮詰めるためにヴィクトールさんの所にセルヴァさんは出張中。


「いい事なのじゃー!早く行くのじゃー!」


「ずいぶん乗り気なんだね?」


「当たり前なのじゃ!ここにいると父上がグチグチと我に何故もっと早く教えなかったと愚痴を言いに来るのじゃ」


「ああ、そっか。内緒にしてたって怒られたんだっけ」


「そうなのじゃー。一人だけ美味しいもの食べたと他の者がグチグチいうのでうっとおしい」


 と、机にベターとしながら、シャルティがうんざりした顔になる。


「ごめん、ごめん。私のせいだよね」


 まだあの時は人手もなかったし、ゴールデンドラゴンさん達のご飯作るとか無理だったからなぁ。今はアレンさん達が頑張ってくれてるけれど、やっぱり食べる量が半端ない。

 人間型になってもらっても、普通の人の何倍も食べるから作るのも大変だと思う。

 

 そういえば旅行に行く前に大量に調味料やお酒をアレンさんの所に送っておかないと。


「しかし行先を転々とするならわざわざ愚痴を言いに来る事もないのじゃ!

 旅行は大賛成なのじゃ!!」


「他所のダンジョンは新しい食べ物なにかあるかな」


「うぬ!!新しいものがあると嬉しいのぉ。この間食べた、おにぎりというのは美味じゃった!米とやらは旨い!」


「うんうん。お米があるのはうれしいかも」


「今日も米が食べたいのじゃー!!」


「了解。じゃあご飯によくあうおかずだと何かな?」


「揚げ物と肉は欠かせぬな!ステーキととんかつとから揚げは必須じゃ!」


「シャルティそれいつのもメニュー……」


「うぬ。シンプルイズベストというではないか!」


「シャルティは変な言葉知ってるんだから」


「物知りと言って欲しいのじゃ!

 そういえば主!」


「うん?なぁに?」


「何故主の料理が一番うまいのかわかったのじゃ!」


「調味料が美味しいから?とか?」


 私が思い当たる事を聞けば、シャルティがブンブン頭を振って


「アルやセルヴァのご飯を貰って気づいたのじゃ!

主は一人一人味付けを変えてくれているのじゃ!

 我の味の好みをよく知っておる。だから主のが一番旨い!!!」


 と、にっこり笑ってくれた。

 うん、やばいやっぱりシャルティは可愛いなぁ。

 私が思わずナデナデすれば


「な、なんじゃ!?」


「シャルティは可愛いなぁっと思って」


「だから我の方が年上なのじゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


 と、真っ赤になりながら嬉しそうに顔をにやけさせながら抗議するシャルティが可愛くてもう少しだけナデナデするのだった。




■□■


「……クミ様に触れたいです」


 セズデルク王国所有のダンジョンで、アルとベガを連れて20層で狩りをし、レベルを上げていればヴィクトールの隣でその様子を見ていたセルヴァが唐突にぽつりとつぶやいた。


「それはノロケなのか?相談なのか?」


 ヴィクトールが問えば、セルヴァが顔を赤くして


「ぐ、愚痴です……ダメだったでしょうか」


 と、両手で顔を抑えた。照れる友に随分と表情が豊かになったものだとヴィクトールは苦笑いを浮かべた。以前は常に無表情で感情など読めぬ男だったはずだが。


「まぁ、確かに好きあったのだから抱けないのは男としては生殺しだろうな」


 と、言い返してやれば、かぁぁぁぁぁっと耳まで真っ赤にして


「そ、そんな恐れ多い事はっ!???

 た、ただ触れれたいだけですっ!!」


 と、抗議する。


「なんだ抱きたくはないのか?」


 と、言えば、顔を真っ赤にして口をパクパクしたあと、顔を抑えてうずくまり、ぼそぼそと何やら反論しているが聞こえない。

 まるで思春期の純朴な青年かと突っ込みたくなるが、当の本人にしてみれば真面目に相談しているつもりなのだろう。


「ゴールデンドラゴンの秘薬やクミ様の指定のスキルでも無理なのか?」


 ヴィクトールが問えば、セルヴァが気落ちした風に頷いた。


「……はい。ここまでくると理由は大体の想像はついています」


「母親か」


 ヴィクトールが問えば、セルヴァが気落ちした面持ちで頷いた。

 

 クミの指定でもゴールデンドラゴンの秘薬でも治らないとなるとそれ以外の理由が思いつかない。


「なら、母親に呪いをとかせればいいだろう?」


「……死んでいます」


「え?」


「私も知らなかったのですが……2年ほど前に病で、すでにこの世を去っていました。

 それが故、母が私にかけた天使の加護が指定で解けぬほどより強固なものになってしまったのかもしれないと、ゴールデンドラゴンの長には言われました」


「では解けぬのか?」


「いえ、どこのダンジョンかはわかりませんが20層のボスが持っているファルテナの薬があれば、どんな呪いも加護も解けるそうです」


「ああ、だからここにいるわけか。それほど触れたいとはずいぶん惚れ込んだものだな」


 会議の休憩中に急にダンジョンに行きたいと言い出した意味がやっとわかり、ヴィクトールはため息をつく。


「い、いけませんか?」


 少しむくれて言うセルヴァの様子がおかしくて、


「いや、以前よりずっと人間らしくなって結構だ」


と、ヴィクトールは笑って隣に座る友の頭をそのまま撫でた。



■□■



 ぐわぁぁぁしゃぁぁぁぁぁ!!!



 20層に沸いたボスをアルの一撃が粉砕した。

 すでにアルもレベル500を超え、20層のボスくらいなら易々と倒せるようになっている。



『随分はりきっておるなアル』


 と、その様子を見ながらベガがため息をつけば


『頑張る!頑張る!アルもファルテナの薬欲しい!出たらセルヴァに分けてもらう!!』


 と、ふんむーっと、20層のボスが落としたアイテムを確認して、薬が入ってないのがわかるとがっかりしてセルヴァ達の方に投げ捨てた。


『何故そんなものが欲しいのだ?』


 ベガが聞けばアルはふんっと鼻をならし


『薬飲めば闇に侵されて、失ったスキルも戻る!テレパシーまた使えるようになる!

 アルもテレパシーで主様とおしゃべりするー!!!

 いっぱい、いっぱいおしゃべりするっ!!!』


 と、にっこにっこの笑顔を浮かべる。


『何っ!?本当かアルっ!?』


『兄者が言ってた!だから兄者はいつものダンジョンでデュランと20層頑張ってるはずっ!アルも頑張るっ!!!』


『うぬ。頑張るぞアルっ!!』


『頑張る!頑張る!アルの主様とおしゃべりするー!!!!!』


『我の主でもあるっ!!!』


『アルのぉぉぉぉ!!』


 と、二匹はじゃれあいながら沸いた20層のボスモンスターを瞬殺するのだった。



誤字脱字報告&ポイント&ブックマークありがとうございましたぁぁぁ!!

3話くらいで終わる予定で書き始めたのですが予定よりちょっとだけ長くなりそうです(;´・ω・`)

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