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その後のお話(1)

「全ダンジョン10層まで安全なルートをですか?」


 ダルデム教を裁いてから3ヶ月。

 あの後セルヴァさんはダルデム教の再建とヴィクトールさんとの打ち合わせで出かける事が多くなってしまった。食料難についていろいろ話を詰めているらしい。

 久しぶりに魔の森の家に帰って来たセルヴァさんに私が提案すれば、セルヴァさんが不思議そうに聞いてきた。


「はい!指定のスキルで、ダンジョン内にセーフティーフィールドを作って10層まで行ける道を作っていくんです!戦闘中でもピンチの時はそこに逃げ込む事もできますから死亡率もぐっと下がります。そうすれば、食糧難も解決します!

 いつまでもゴールデンドラゴンさんたちの力を借りるわけにもいきませんし」


 と、私。


 たぶんこの世界を創ったゲームマスターが計算外だったのは、人類の戦闘力が落ちるのが思ったよりはやかったこと。ゲームマスターの庇護がなくなったとたん、人類だけで10階までいける力がなくなってしまったからだ。

 本来なら10層にいけば足りるはずの食料が手に入れられなくなり、食糧難になったのだと思う。


「確かに。素晴らしい考えだと思います。ですが各国のダンジョンに行くとなるとかなりの労力になりますが、クミ様の方は大丈夫でしょうか?」


「はい、もちろん!」


 そう言って私はにっこり笑う。

 最近セルヴァさんがヴィクトールさんとの会議とかで一緒にいれる時間が少なくなった。

 だから一緒にダンジョン巡りの旅をしたら、ずっと一緒だし、いろいろな都市をめぐるってちょっと新婚旅行っぽいなんて下心もあったりもする。

 もちろん自分で決めた事だから、セルヴァさんと一緒じゃなくてさみしいとかわがままは言うつもりはないけれど、これなら、セルヴァさんの役に立てる&食料難解決&私もセルヴァさんとずーっと一緒で幸せといい事づくしだと思う。


「しかし、全国のダンジョンに行くとなるとかなり大がかりですね」


「はい。新婚旅行ですね」


 私が嬉しくて言えば、セルヴァさんの顔がかぁぁぁぁっと物凄く赤くなる。


 あれ、何か変な事を言ったかな?

 あ、も、も、もしかして初夜と勘違いされたとか!?

 い、いやいやいや、だってセルヴァさんアレルギーだから無理だし、そういった意味でとられると物凄く恥ずかしいっ。


「え、い、いやほら変な意味じゃないですよ!?」


 と、私が慌てて訂正すれば、セルヴァさんに手を握られた。


「え!?へ!?」


「ク、クミ様の世界では、好きだと告白した時点で結婚となるのでしょうかっ!?」


 と物凄く真面目に聞かれて私は固まった。


 ……そうだった。


妄想夫婦歴が長すぎてすっかり結婚した気になってしまっていたけれど、私とセルヴァさんは結婚していなかった。


 かぁぁぁぁぁぁ。と私の方も顔が熱くなってくる。

 うう、どうしよう勝手に脳内夫婦になっていて恥ずかしすぎるっ!!


「あ、いえ、結婚してませんでしたっ!?」


「で、では結婚してください!!!」




「え?」




「だ、ダメだったでしょうか?」


 思わず固まってしまったら、セルヴァさんが物凄くがっかりしたワンコの顔になってしまう。


「そ、その……申し訳ありません。もっと時と場所を選ぶべきでした。


 ……久しぶりにご一緒できて、そ、その…嬉しくてつい」

 

「あ、いいいいいや、違いますっ!?う、嬉しくて固まりましたっ!」


「で、では……」


「は、はいっ!喜んでっ!!!」


私が答えれば、セルヴァさんが物凄く嬉しそうに微笑んでくれて、私を抱き上げてくれた。


「嬉しいですっ!ありがとうございますっ!」


 尻尾があったらはちきれんばかりに振れていてもおかしくない喜び方で、普段の真面目セルヴァさんとのギャップがすごくてこういうところが可愛いなと思う。


「好きですクミ様。愛しています」


「はい、私も大好きですよセルヴァさん」


 そう言って二人で抱き合って、愛を確かめ合う。

 セルヴァさんの体温は温かくてとても安心する。

 セルヴァさんの髪の毛がサラリと肌にあたってくすぐった……ん?


 抱っこからそのまま抱き着いたせいで、いつもならセルヴァさんの胸に収まっていたのに、今日はそのまま肩に手をまわして抱き着いてしまった。

 おもいっきり手がセルヴァさんの首筋に触れ、頬もお互い触れ合ってしまっている。


 がばぁぁぁっと私が慌てて身を離せば、やっぱりというかなんというかセルヴァさんの全身にぶつぶつが出来てしまっていた。


「セ、セルヴァさんっ!!すごい!ぶつぶつがっ!!薬っ!ゴールデンドラゴン達にもらった蕁麻疹の治る薬飲まないとっ!!」


「あ、はい!飲みます。ただ、も、もう少しだけこのままでもよろしいでしょうか?」


 と、セルヴァさんがきゅうぅぅぅんっと背景に効果音のついてそうなワンコな顔で言う。

 可愛いけどっ!!可愛いけどっ!!


「駄目ですっ!!気管に蕁麻疹が出来たら呼吸ができなくて死んじゃいます!!はやく薬飲んでくださいー!!!」


 と私。


 想いは通じ合ったけれど問題はまだ山積みで。

 これからやらなきゃいけない事もいっぱいある。


 でもきっと大丈夫。セルヴァさんとなら何でも乗り越えられる気がする。



 落ち着いたらセルヴァさんの体質もなんとか解決策を見つけないと。

 ゴールデンドラゴンの薬師の人に、蕁麻疹ができたら治る薬はもらったけれど、いまだに蕁麻疹が出来てしまうのが治らない。



 しょんぼりと薬を飲んでいるセルヴァさんに微笑めば、セルヴァさんも微笑んでくれてそれが可愛いなと思う。



 不束な嫁ですがどうぞよろしくお願いします。大好きなセルヴァさん。




誤字脱字報告&ポイント&ブックマークありがとうございましたっ!感謝!

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