83話 告白
気がついたら、私はセルヴァさんに抱きしめられていた。
よく覚えていない、ただ必死に叫んだたら、闇が晴れて、セルヴァさんが私を抱きしめてくれたのだ。
「……申し訳ありません、クミ様。
私は自分の事しか考えていませんでした……」
私を抱きしめるセルヴァさんの声は震えていて、私もぎゅっと抱きしめる。
溢れる涙がとまらない。
戻ってきてくれた。
やっぱりセルヴァさんは優しいから、私の事を見捨てたりしなかった。
嬉しくて、セルヴァさんのぬくもりを確かめる。
森の中でもダンジョンでもこうやっていつも守ってくれて。
守ってくれる人がいる事実が凄い嬉しかった。
いつも--お前は自分で何でもするから、男っぽいと言われたのはきっと、素直に甘えられなかったから。
施設も人も優しかったけれど、心のどこかで迷惑かけちゃいけないって、甘えられなかった。
甘えたら、この子は面倒くさい子ねと思われるのが凄い嫌だった。
たぶん、私はそれをずっと引きずってしまって、何でも自分の事をしてしまったから、可愛げがない女なのかもしれない。
こんなに男性の人にいろいろしてもらったのは、セルヴァさんが初めてで。
素直に甘えられたのもセルヴァさんだけだった。
だから、ずっとずっと一緒にいたい。もう私を置いて逝こうとなんてしないで。
「もうだめですよ?私を残して死んだりしないでくださいね?
一人で抱え込まないで私にもちゃんと相談してください。頼りにならないかもしれないけれど
ちゃんとお手伝いします。セルヴァさんがいなくなったら嫌です。寂しくて私も死んじゃいます」
と、私が言えばセルヴァさんが「すみません」と答えてくれる。
「セルヴァさん、大好きです。
すごい頼りにしてて、一緒にいてくれるだけで嬉しくて……だから、だから」
いっぱい言わないといけない事があったはずなのに、気持ちが溢れて言葉にならない。
「私もお慕いしています、クミ様。もうあなたを残して死を選ぼうなどとしません。
ずっと貴方の側にいます」
そう言ってくれるセルヴァさんの言葉が嬉しくて、私はさらに腕に力を込めた。
セルヴァさんから伝わってくる気持ちは本当に私を好きでいてくれて。
この世界で言ってくれたのなら、無理をしているわけじゃないよね?
そっと、セルヴァさんが私の頬を撫でてくれて、自分の手を見つめた。
「セルヴァさん……蕁麻疹できないですね!治った!?」
「あ、いえ、精神世界だからかもしれません。また現実に戻れば蕁麻疹ができる可能性があります。
だ、だから……そ、そのクミ様」
「はい?」
「そ、そ、その………キ、キキキ、キスをしてもよろしいでしょうか!?」
と、物凄く真っ赤な顔で言う。
言った後、私が一瞬呆けていたら、やっぱりだめだったかな?まずかったかな?という表情になってすごく可愛い。
「はい。嬉しいです」
と、目をつぶれば、セルヴァさんがすごく戸惑いながら唇を重ねてくれた。
とたんーー。
『なんとかなったようだな』
突然頭にラウルの声が響いた。
「ラ、ラウルッ!???」
慌てて私とセルヴァさんが身体を引き離す。
『もう少し待ってやりたかったが悪いがもう時間がない……私の力ではここまでが限界だ。現実世界に引き戻す。
思った以上に力の消耗が激しい。
主がすぐに指定のスキルをしなければセルヴァは死んでしまう。勝負は一瞬だ。』
ラウルの言葉に私は頷いてセルヴァさんを見た。
「絶対生き返らせますから!帰ったら美味しいごはん食べましょうね」
私が笑って言えば、セルヴァさんが「はい、信じてます」と笑ってくれた。
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