表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

79/97

79話 苦渋の決断

 よくわからなかった。

 セルヴァさんが突然立ち上がって、私に手を伸ばしてきて――それをシャルティがはじいたところで、デルと、ベガとアルが部屋にはいってきた。


「駄目犬!!セルヴァを殺せ!!いまそのセルヴァとテイム状態じゃないのはお主だけだ!!

 殺さねば、我らが主を殺す事になる!!!!」


 シャルティが叫んで、アルがびくっと身を震わせた。


 殺せ?何を言ってるの?


 アルがどうしていいのかわからない様子で私とセルヴァさんを見るけれど、セルヴァさんの身体から黒い何かが立ち込めている。

 目は虚ろで、何かぶつぶつとつぶやいていた。

 状況がよくわからない。何がどうなってるの!?でも何とかしなきゃスキルを使わなきゃ。


「アルっ!!!!ダメっ!!!殺しちゃだめ!!!!」


 私が叫んで慌ててステータス画面を出すけれど、それよりはやく――


 ザシュっ!!!!


 セルヴァさんが短剣で貫かれた。


 ……そして貫いたのは……


「セルヴァさん!!!!」


 そう、セルヴァさん自身だった。


 だめっ、早くスキルをっ!!私がステータス画面からスキル画面を出そうとすれば


「シャルティ様っ!!クミ様をっ!!!!!」


 セルヴァさんが口から血を吐き出しながら叫んで、シャルティが私の手をつかむ。

 これじゃあステータス画面が操作できない。指定のスキルでセルヴァさんを治せない!


「何っ!???」


「呪いに抵抗してまで自らを刺したセルヴァの意思を汲んでやれ!

 主を守りたくて、呪いに逆らって自分の命を犠牲にしたその意思を尊重するのじゃ!!!

 あれは無理だ!!殺すしかないっ!!!」


「何わけのわからない事を言ってるのシャルティ!!!手を放しなさい!!!!」


 私がシャルティに叫ぶけれど、その間にセルヴァさんの身体は床に倒れ込んだ。


 ダメ、ダメ、ダメ。

 セルヴァさんが死んじゃう!!!!

 指定で治さなきゃ!!!


「シャルティっ!!!!!」


 泣きながら腕に力を入れるけど、シャルティは見かけと違って力強くてびくともしない。


「……クミ……ま……。シャ……さまを……おこらない……ください……。

 て……かご……こうする……しか……」


 セルヴァさんが口から血を吐きながら何か言うけれど。


「こうするしかないなんてない!!指定できっと治るはず!!!!

 離してシャルティ!!!!」


「指定のスキルで治るなら、主が最初セルヴァを指定で助けた時にとっくに呪いは解けていたはずじゃ!!!

 解けなかったという事はそういうことじゃ諦めろ主!!

 こやつの傷を治せば、またあやつは身体を呪いにのっとられる!

 そして今度はわれらが操られたセルヴァの強制命令で、主を殺さねばならなくなるっ!!!

 我はそんなの嫌じゃ!!!!!我は主を殺したくないっ!!!」


 シャルティが涙を流しながら私を睨んだ。

 確かに以前、テイムにはたった一度だけ強制的に命令できる権限があると聞いた。

 でも何で、何でセルヴァさんが私を殺そうとするの?


 なんで?何でこんなことになったの?


 ああ、こんな事なら、セルヴァさんに外の人を助けて何て言わなきゃよかった。

 ただセルヴァさんの役にたちたかっただけなのに。

 こんなの望んでいない。セルヴァさんに笑っていてほしかっただけ。

 それなのになんでセルヴァさんが死ななきゃいけないの?

 

「セルヴァさんっ!!!」


 私が叫べば、セルヴァさんが目を細めて微笑んで……そのまま……目をつむる。


 死んじゃう!!!!



 死んじゃうっ!!!!!!!




 思った瞬間。


 ぱぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!


 セルヴァさんの身体が光輝き、宙に浮く。


「なっ!???」


『なんとか間に合ったようだ』


 私たちが声をあげれば、扉から現れたのは……虎型聖獣ラウルだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

■□■宣伝■□■
★書籍化&漫画化作品★
◆クリックで関連ページへ飛べます◆

表紙絵

表紙絵

表紙絵

表紙絵

+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ