74話 キリカとカズヤ
「聖女様―!聖女様―!!」
聖女の凱旋パレードで街はにぎわっていた。
一番大きな帝国にて、聖女は起源の宝珠を浄化し、一時的に闇の力を弱めたのである。
その感謝の気持ちを祝して街では聖女の馬車を旗を振りながら皆で出迎えたのだ。
その様子を見ながら、キリカははぁっとため息をついた。
最初はチヤホヤされて褒めたたえられ、気分がよかったけれど、最近は食べる物はそれほど美味しくないし、スマホも娯楽もない生活に飽きがき始めている。
楽しみといったら美男子達をその日の気分で彼役に指名し、デートを楽しむことだけれど、それもショッピングや景色を見るだけなどで、1年もすれば飽きて来る。
皆ホイホイ言う事を聞いてくれて持ち上げてくれるのになぜか飽きてきたのである。
彼らに賭け事を教えて、借金漬けにして言う事を聞かせる楽しみができたけれど……聖女の仕事が面白くなくてやる気がでない。
キリカが指示して作らせている途中の豪華な庭園、シンデレラを思わせる素敵なお城を聖都に建築させているけれど、大神官が民の信心がたりませんのでこれ以上のお金が捻出できませんと、面白くない事を言ってくる。
聖女様つまらないー何か楽しい事ないかしら……。
馬車の中から煌びやかな衣装をまとった貴族を見てひらめく。
そうだ、お金が足りないならカジノをつくって儲ければいいんじゃない。
昔ドラマで客の気分をよくさせて、いかにカジノにのめり込ませるかの方法を見た事がある。貴族の人たちをカジノでお金を絞りとればいいのよ!
私って頭いい!!!
キリカはにっこりと微笑んだ。
■□■
「やっとレベル71か……」
牢屋に閉じ込められたままのカズヤは自分のステータスを見ながらつぶやいた。
牢屋には本当に簡素なベッドと机と椅子しかない。
それでもカズヤのレベル上げは順調だった。
教団の幹部たちも気づかなかったが、カズヤの勇者の加護は、与えた者のステータスを上げる代わりに、カズヤに経験値を分け与えるシステムになっていた。
ほんの少しなので、兵士たちも気づきはしなかっただろう。
カズヤは最初の魔獣討伐の神官達に与えた加護そして、時折牢屋に訪れる兵士たちにこっそり加護を与え、経験値を分けてもらっていたのだ。
最初の魔獣討伐の時に、よくわからないまま加護を皆に与えたのは正解だった。
加護はカズヤが解くまで解けないらしく、かなりの人数の経験値が自分の物になっているのだ。
この加護の力を使えば、教団をねじ伏せるのも夢じゃない。
大体この世界では強いものでも60前後と説明を受けている。
そろそろ脱獄しても大丈夫だが、もう少しだけ様子を見よう。
――見てろよ、僕は真実の愛を見失っていた!キリカを倒し、クミ君を迎えに行く!――
カズヤは心に誓うのだった。
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