66話 お祭り
「それじゃあみなさん!今日は頑張りましょう!!」
お祭りの日当日。売店担当になった獣人さん達に挨拶をすると
「はいっ!!!!」と、みんな嬉しそうに頷いてくれた。
今日は待ちにまったお祭りと言うだけあってみんな気合の入れ方がなかなか違った。
夕方に売店をはじめて、お菓子を売りそれが終わったらダンスとお酒。
ダンジョンででるお酒よりも私がネット通販で買うお酒の方が美味しいらしくて、大人は今からかなり楽しみにしていてくれている。
子供たちはこの日のためにと魔石をいっぱいためて買うのを楽しみにしている。
朝はやくから元気に大人に引率されてダンジョンに果物を取りに行ってくれた。
みんな朝から果物のアメや、チョコバナナ用のバナナや、焼くためのトウモロコシやら、お好み焼きやら串にさしたお肉やらの準備に取り掛かってくれている。
大人の分も子供の分も作らなきゃだから割と一日がかりっぽい。
私も綿あめ頑張らなきゃ。人数が人数だから今から作り始めよう。
あれから結構練習して見栄えもいい綿あめがつくれるように改良を重ねたし。
食紅をざらめに垂らして色付きもできるようになったりもした。
踊り担当の人たちは熱心に踊りのふりつけを練習し、演奏担当の人は楽器を片手に何やら嬉しそうに話し合っている。
なんだかこういうの文化祭を思い出すよね。
「主―!!わらわたちも用意できたぞー!!」
なぜかシャルティが黒いマントに身を包んだ子供たちとわらわら私の前にきた。
「へ?それなぁに?」
「何をいっておる!
黒いマントに身を包みお菓子をくれないと悪戯しちゃうぞ!と言いながら買うのであろう?」
うっ。そういえばシャルティの教わったお祭りは物凄くごちゃまぜだったの忘れてた。
なぜか嬉しそうにアルやベガ、デル、ラウルまで首の周りに黒いスカーフまで巻いてるし。
まぁ元もとルールなんてあってないようなものだしいっか。
「あ、うん。そうだね。じゃあ今大人は準備中だから、みんなは遊んでてね」
と、私が言えば
「任せるのじゃぁぁぁぁぁ!!お腹を空かせておくのじゃぁぁぁ!!!」
と、嬉しそうにシャルティが子供たちを引き連れて走っていった。
「クミ様何か手伝う事はありますか?」
シャルティと入れ違いにセルヴァさんが来てくれる。
「大丈夫ですよ。それにしてもそのお面可愛いですね」
子供たちが作ったであろう、かぼちゃをくりぬいて顔にしたお面を頭に乗せた状態のセルヴァさんに私が言えば
「シャルティ様が大人はこれをつけるのだとおっしゃって下さったので」
と、笑いながら、私の作った綿あめを受け取ると、手作りした綿あめを置いておく場所に立ててくれる。
こういうスマートに手伝ってくれるところが紳士だよなぁなんて思ったり。
こういうのって夫婦で出店をしているみたいでちょっと憧れるよね。
「どうかなさいましたか?」
つい、じっと見つめてしまえば、セルヴァさんに聞かれてしまう。
夫婦を妄想して見惚れてたとはさすがに言えないので
「そのお面かわいいですよ」
と、笑ってごまかしたら、セルヴァさんが顔を赤くして、シャルティ様に感謝しないとですねと言ってくれる。
すぐ顔が赤くなるところが可愛いと思うのは失礼かな。
「今日は成功するといいですね」
「はい、そうですね」
二人でにっこり微笑んで、私はちょっと照れながら綿あめを作るのだった。
□■□
「それでは、これからお祭りを始めたいとおもいます」
少し薄暗くなってきたころ、デュランさんが村の人たちを集めて挨拶をはじめた。
子供たちはかぼちゃの仮面をつけて今か今かと待ち構え、大人たちも拍手しながらその演説を聞いている。
「まず祭りを始めるまえに――我らをこの地に招き入れてくださり、恵みをくださったクミ様とセルヴァ様、そしてシャルティ様にデルタ様、ベガ様、アル様に感謝を!!」
と、急に獣人さん達が祈りのポーズをとった。
ええええ!?ちょっとこれ聞いてない!?
「あ、いや、そういう趣旨のお祭りじゃないんで!?そういうのは照れるのでちょっと!?」
と、私が慌てて言えば、デュランさんが微笑んで
「すぐ終わりますので、どうか--我々の感謝の気持ちだけでもお受け取りください」
と、リーチェちゃん達が前にでてきて、私達の前にお花で作ったネックレスを持ってきてくれた。
「これは?」
「獣人の中で最大限の感謝を伝える時に送る花のネックレスです」
と、セルヴァさんが耳打ちしてくれた。
「クミ様、セルヴァ様私達に住むところや、美味しい食べ物や、ダンジョンとかもいっぱいっぱいありがとう!すっごく幸せになれたのはクミ様やセルヴァ様のおかげです!
それにシャルティ様やデルタ様、ベガ様、アル様、そして魔獣様。
聖獣様達もいっぱいっぱいいろいろなものをとってきて、私達に恵んでくれてありがとう!!シャルティ様はいっぱいいろいろな事を教えてくれてありがとう!!」
と、それぞれに子供たちが綺麗な青い花で作ったネックレスを首にかけてくれる。
あ、やばいちょっと嬉しくてうるっときたかもしれない。
チラリと横を見ればシャルティが物凄くウルウルしてる。
「な、なんだか照れるのじゃぁぁぁぁ!!もうこういうのは終わりじゃ!!
祭りを楽しむのじゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
泣くのをごまかすようにシャルティが叫べば、獣人さん達がわぁぁぁぁと歓声と拍手をしてくれて、そしてお祭りがはじまった。











