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54話 みんなで食事

「すっごい!!クミ様このスープ美味しい!!!」


 シチューを食べたリーチェちゃんが感動した様子で私の事を見た。

 引っ越して間もないということで、食材などは私の提供で作り方をおしえて食事は配給制にした。

 私の自慢の公園でみんなで食事。

 獣人の人たちが作ったパンに、セルヴァさんが獣人さん達に教えてつくったシチュー。

 パンとシチューだけだけど獣人さん達は美味しい美味しいと喜んで食べてくれている。

 私たちは村長のデュランさん達家族とセルヴァさんとワンちゃん達とでマントで作った敷物で食べていた。


「なんだかシチューだけで喜ばれると照れますね」


 私が言えば、一緒に食事をしていたデュランさんが


「いえ、本当にこんな美味しいスープは初めてです。

 具も美味しいですし、そしてトロミと甘みがあって、このような甘みのあるものは食べた事がありません」


「パパ!このパンも美味しいよ!!」


 リーチェちゃんがそう言い、デュランさんの妹さんのレミアさんも


「はい、こんな甘みのあるパンははじめてです。

 歯ごたえももちもちしていて、不思議な触感ですね」


 と、感動していた。


「本当にありがとうございます。生活が基盤に乗りましたら、必ずご恩をお返しします」


 そう言って、祈りのポーズをしてくれる。


「いえいえ、同じ街にすむ仲間ですから」


 と、私が言えば


「じゃが、美味しい料理はいくら作ってくれても構わんぞ!

 我はいくらでも食べれるからな!」


 と、シャルティがえっへんと胸を張る。


 すると、アルもワンワンとその意見に賛同していた。


 君たちは本当にそういう時だけは意見があうよね。と、私が言えば、アルとシャルティが満足そうに「褒めても何もでんぞ!」と胸を張る。

 うん、褒めてはいないのだけれど。

 ほぼ猫の大きさになってしまった聖獣ラウルもシチューを行儀よく舐めていた。

 若干ワンコ達より気品を漂わせているのでラウルの方が大人なのかもしれない。

 ベガとデルも美味しそうにシチューと焼いたお肉を食べている。


「なんだか人が増えて楽しいですね」


 外でワイワイと嬉しそうに食べている獣人さん達を見つめて私が言えば


「そうですね。このように大勢で食事というのも楽しいですね」


 と、セルヴァさんも微笑んだ。


「主―!明日は肉を食べたいのじゃ!焼いたやつがいいのじゃぁぁぁぁ!

 デザートも欲しいのじゃぁぁぁぁ!!」


「はいはい。今日はいい子に我慢したから明日はちゃんとお肉焼いてあげるから」


 と、私が言えば


「やったのじゃー!!」


 と、シャルティとアルとベガとデルが嬉しそうに走り回る。

 今日は忙しくて、お肉とか焼いてあげられなかったけど、明日はちゃんと焼いてあげないと。


 □■□



「今日はお疲れさまでした」


 新しくアプリで作成した自分達の屋敷で、バルコニーからデルと外を見ていればセルヴァさんに話しかけられた。


「セルヴァさんこそお疲れ様です」


「なんだか楽しかったですね。人が増えて職人さんも増えて家具も作ってもらえそうだし楽しみです」


 と、私が言えばセルヴァさんが「そうですね」と微笑んだ。


「クミ様、水を差すような事を言って申し訳ありませんが、獣人達を100%信用しないようお願いします」


「え?」


「彼らは温和で情にあつく、また礼節も重んじます。

 彼ら自身には問題はないと思っておりますが……教団が昔から獣人の行動を探るためにスパイを潜ませている可能性が0といいきれません」


「確かにそうですね。

 いくら城壁を高くして出入口をなくしてこちらと外の世界を遮断したといっても、スパイがもう中に入ってるなら危ないですね」


「たとえ、スパイがいようとも、クミ様のレベルと装備なら傷一つつける事はできないと思いますが……」


「え?そうなんですか!?」


「はい、レベル200のクミ様には獣人達だけでなく人間でも傷をつけるのは無理でしょう。

 外の世界の人間でもクミ様に敵う者はいないかと。」


「わ、私そんなに人間離れしてたんですか!?」


「あ、はい。その……残念?ながら?

 ですが、それ故、言葉巧みに教団に連れて行こうとするかもしれません。

 クミ様なら大丈夫だとは思いますが……決して外には出ないようお願いします」


 と、セルヴァさん。

 うーん。なんだか実践を伴わず、強さだけあがっても今一つ強くなった気がしない。

 いまだにオークの群れには半泣きになるし。


「わかりました。外に連れ出そうとする人がいたら連絡しますね」


「お願いします。

 フェンリル様達もクミ様の事を頼みますね」


 と、セルヴァさんが言えば、ワンちゃん達も「わんっ!!!」と力強く吠えてくれた。

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