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52話 パン作り

「美味しい!!こんな美味しいパン食べた事がありません!!」


 私の作ったバターロールを美人で金髪のサニアさんが一口食べで感動の声をもらした。


「本当です。こんなフカフカなパンを食べたのははじめてです。

 甘くてしっとりしてますね」


 と、茶髪で優しそうな男性のクロドさんもバターロールを食べて感想をもらす。



 あれから、私は獣人さん6人にパンの作り方を教える事にした。

 今現在も自生している植物からパンを作っているのだけれど、それが固い。

 とにかく固い。味も苦味しかないという、本当にお腹を満たすためだけに食べるパンだった。

 

 私もパンを買って食べたいので、あのパンを作ってもらうのは正直避けたい。


 確か古代ローマか何かでパン職人は名誉職で、生活の基盤だったので国が手厚く保護をしていた!というのを聞いたことがある。……うん。うろ覚えなので間違っているかもしれないけれど。

 

 それに倣って、うちもパン職人をそろえて、販売させようと思っている。

 

 まぁ一番の理由は私が食べたいからなんだけどね。

 わんこやシャルティが、こってりなお肉派なため、野菜派の私とセルヴァさんとわんこ達の食事の二通りつくっているのでほぼ食事作りで一日が終わってしまっている。

 私やセルヴァさんが食べる分のパンが買えるというのはとってもありがたい。


 とりあえず作ってもらうのは、まずはフランスパンとベーグルとバターロール。

 食パンは鍛冶屋さんに型を作ってもらわないとなので今回はお預け。


 このパンを選んだ理由は今までの硬いパンに慣れた人たちがいきなり柔らかいパンを食べても、物足りなそうなので噛み応えのあるフランスパン。

 

 ベーグルは腹持ちがよさそう。


 バターロールは私が熱烈に朝食に毎日食べたい。


 という、理由だったりする。

 慣れてきたらパスタ麺とうどんも頼みたいけれど、まずは食を楽しむと言う感覚がない獣人さんにいきなりたくさん種類をだしても浸透しないとおもうし、どういったものが一番売れるか市場を見極めたいのでまずはタイプの違うパン三種類からいってみる。



「確かに美味しいです。

 このような美味しくて柔らかいパンは初めてです。

 ……ただ、すぐ口の中で溶けてしまって食事として考えると、物足りないのは確かですね。

 最初は柔らかいものが物珍しさで売れると思いますが、腹持ちせず結局はこちらの噛み応えがあってうまみもあるフランスパンと、腹持ちのよさそうなベーグルというパンの方が売れるかもしれません」


 と、バターロールを食べて感想を言う一番年長で渋めの黒髪男性ラストさん。


「フランスパンもベーグルも美味しかったですものね。

 今まで食べていた苦味のパンと比べるともうどれも美味しすぎてほっぺがとろけます~。

 水につけなくても食べれるなんて夢のよう。

 毎日こんな美味しいものが食べれるなんて幸せです~」


 おっとりとした顔で、赤髪の女性ラーニャさんが言う。


「とにかく最初はこの三種を作ってここでの生活が軌道にのるまではまずは無料で配ります。

 その後、生活が安定してきたら魔石での販売に切り替えたいとおもいます。

 最初はどれくらい需要があるかわからないし、皆さんのパンの腕をあげるために多めに作って構いません。材料はこちらでだしますので」


「本当にすみません。ここまでしてくださって、ありがとうございます」


 ラストさんが頭を下げれば、それに倣って他のみんなも慌てて頭を下げる。


「いえいえ、気にしないでください。うちには大飯くらいが四人もいますので作っていただけるととてもありがたいです。

 じゃあ作り方をお教えしますね!」


 と、私。

 たとえ作りすぎたとしても、チョコレートやピーナッツバターやジャムなどをパンにつけてあげればワンちゃんとシャルティが残らず食べてくれるだろうし、その分おやつを作らなくてすむから私も楽になる。


 何より朝食にバターロール、お昼にベーグルサンド、夜はフランスパンでつくるトマトとオリーブオイルのブルスケッタやガーリックトーストなどが出来ると思うと心躍る物がある。軌道にのってきたらパスタとうどん、ペンネも広めよう。

 私が食べたい。切実に食べたい。

 ワンコ達の食事をつくっているとどうしても自分達の食事は質素になるし。

 売ってくれるとすごくありがたい。


「とりあえず今日から頑張ってみんなの分のパンをつくりましょう」


 私が言えば、「はいっ!」とみんな返事をしてくれる。


 しばらく生活が落ち着くまでは配給制だから少し忙しくなるけど頑張らなきゃ。

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