42話 親子
「今まで黙っていて申し訳ありませんでした。
隠すつもりはなかったのですが、言い出すタイミングがつかめませんでした」
と、セルヴァさんが祈りのポーズをとる。
「ですが、親子と言っても200人いる子の中の一人でしかありません。
あちらに私に対する親子としての情などないでしょう。
私も父という認識はありません」
「に、200人!?」
セルヴァさんが大神官の子というよりそっちの方が驚きなんですけど!?
「元々聖女召喚できる神官の血筋は再びその能力を持つ子が生まれる確率が高いのです。
ですから、大神官は子を何人も持ちます」
「で、でも流石に200人は……」
「200人産ませて、聖女召喚の能力をもつ子が生まれるのは5~6人です。
何か不慮の事故等で命を落としてしまう可能性を考えるとそれでも少ない方だと言えます」
「えーと……なんというか大神官も大変なんですね」
私の言葉にセルヴァさんが顔を赤くして
「あ、はい……そうなりますね」
と、考えるポーズをとる。
あ、やばい。夜の営み大変すぎない?と思っていたのがもろに伝わってしまったらしい。
「あ、いや、変なところで話の腰をおってすみません」
「いえ、クミ様はいつも着眼点が変わっていて驚かされます。
……責められてもおかしくないと思っていましたから」
「え!?どこら辺に責める要素が!?」
「貴方をこんな境遇にしてしまった、大神官の息子だという事を隠していた事です」
「でも守ってくれたのはセルヴァさんなんだから状況は何も変わりませんよね?」
と、言えばセルヴァさんは一瞬きょとんとして。
「クミ様は優しいですね」
と、微笑んだ。
う、そんな事全然ないです。すみませんはい。
□■□
あの後。私たちはいろいろお互いの事を話し合った。
セルヴァさんが闇属性だったため、母親に疎まれて祖父母に預けられた事。
私も両親がいないので施設育ちだった事。
もう2か月以上一緒に生活していたのに、お互いの事を全然知らなかったことに気が付く。
そう言えば生活にいっぱいいっぱいで、全然余裕がないのかもしれない。
二人でお酒を飲んでいるときも、今後の予定ばかり話しあっていて、こういった身の上話なんてしたことがなかった。
セルヴァさんの事が知れるのはちょっと嬉しいかも。
二人で話し合っていれば
「お腹すいたのじゃー!!ごはんー!」
と元気よくシャルティやワンコ達が寄ってくる。
「了解、今作るから待っててね」
そう言って話を切り上げて私は料理を作ることにした。
本当はもう少し話していたかったけど、この子たちはご飯を楽しみにしているから仕方ない。
でも時間はたっぷりあるんだから焦る必要はないよね。
こうやって何気ない話ができるようになったってことは。余裕ができたってことだかも。
また今度ゆっくり話したいな。
私はちょっと嬉しくなって家に向かう途中についニマニマしてしまう。
セルヴァさんが打ち明けてくれたことが嬉しかったけど、これは内緒。








