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40話 伝説の布

 あれから2か月。

 私達はだいぶ生活の基盤が整った。

 ダンジョンはシャルティが来てくれたおかげで地下20階まで楽々突破できた。

 と、いっても私じゃなくてセルヴァさんとシャルティ達なんだけどね。

 私はダンジョンで足手まといでしかないので15階で断念した。

 結界は張ってくれててもこう、いつ襲われるかわからない緊迫感と、シャルティが張ってくれた結界にぺちゃぁっと死体が張りついたりがグロすぎて、いろいろ無理だった。

 地下15階にはズッキーニやアボガド、クレソンやケールなどの葉物類。そして豆類に、小麦や大麦など。

 果物やキノコ類まであったりする。お金を気にせず、取り放題を考えればある意味日本にいた時より充実な食生活かもしれない。

 ……お米がないけれど。


 シャルティが20Fまで攻略してくれたおかげで魔石(大)も手に入るように。

 ネット通販も買っていくと買える個数の上限が上がるらしく、一日20個まで買えるようになり、シャルティがかなりの勢いで敵を倒してくれるのでお金(魔石)にも困らない。

 ちなみに20Fにはダンジョンのラスボスがいるだけで作物は特になかったらしい。

 地下20Fは伝説級の武器・防具・マジックアイテムが手に入るとか。

 私としては米かもしくは普通の家具が手に入ってくれるほうが嬉しかったんだけどなぁ。

 仕方ないので最近はもっぱら家の設備を充実させることに重点を置いている。


 ダンジョンで出た木材とのこぎりなどで、組み立て式棚を作ってはいるのだけれど、素人作業なので出来も作業スピードもあまりよくない。

 何個か完成させたけどまだ棚が足りない状態なので部屋の床にポーション瓶にいれたピクルスやダンジョン産のマジックアイテムなどがそのままが置かれているため狭く感じる。


 はやく家具を充実させたい。


『どうしたのじゃ?』


 私がうんうんと考えていればシャルティが聞いてきた。


「うーん、結構部屋が手狭に感じるから、棚とか作る作業場は別の場所にしようかなと」


『なら拡張すればよかろう』


「拡張?」


『おそらく、この建築アプリなるもののレベルを上げれば家を拡張できるはずじゃ!』


 あ、そうだ!?遺跡の管理者ってアプリあったの忘れてた!?

 魔石(大)が手に入るようになったのだからいけるかも?


「なんで知っているの?」


『我らドラゴンの里もゲームマスターがスマホなるもので大きくしてくれたからの』


「本当!?」


「では、生活も落ち着いてきましたし、魔石を集めてきましょうか」


 と、肉を解体する作業を終えてコーヒーを飲んでいたセルヴァさんが、言ってくれる。


「あ、私も一緒に……」


「クミ様はやめておいたほうがよろしいかと」


「……やっぱりきついですか?」


「地下18階のキングゴブリンの大群の場所が一番魔石大を集めやすいのじゃ!!

 数がわんさかでるからの!」


「あ、やめておきます」


 ゴブリンはなぜか女性を狙う。

 いや、なぜ女性を真っ先に襲うのか詳しい事は知りたくないけれど、地下13階のゴブリンの大群に襲われて泣きだしてしまって、15階にいくのがやっとだった。それからはセルヴァさんが攻略してくれている。

 確かに結界が張ってあるから攻撃してこれなかったんだけど、よだれ垂らしながら目を充血させてゴブリンの大群が私めがけて襲ってくるのはもうホラーだよ。結界に顔が半分切られて中丸見えの状態のものがべちょっとついた時は気絶してしまった。

 人型のモンスターは大嫌い。いまだにトラウマ。ゴリラの比じゃなく怖い。


 食事も家具も作らないとだから留守番しようと思う。


 わんちゃんたちはと言うと、誰が留守番するかをわんわん会議で決めていた。

 お手伝いすると味見させてもらえるのを知ってるからよくもめてるんだよね。

 まぁデルはマジックボックスがあるのでいつもベガかアルなんだけど。


 今日はベガがお留守番で決まったみたい。


「今日は何作ろうかなぁ」とベガに言えば尻尾を振りながらワンワン嬉しそうに話しかけて来る。


「はいはい、から揚げととんかつは絶対つけるから安心してね」


 と、頭を撫でる。

 そうするとベガの尻尾がはちきれんばかりにフリフリするので可愛いな、

 この子たちは結局の所肉なんだよね。アルは甘いものだけど。

 中華丼とか野菜炒めとか作ったけれど、野菜の時は尻尾の振れ具合があまりよくないのですぐわかる。

 今日はボアの照り焼きもつけてあげようかな。前すき焼き喜んでたからすき焼きもいいかもしれない。

 

 私とセルヴァさん用はダンジョンでタコが手に入ったから今日はタコ焼きとおつまみにタコワサでも作っておこう。


 ご飯が出来たら、ダンジョン産のマジックアイテムの整理しなきゃ。

 これがなかなか便利なものが多い。

 

 敵が寄ってこなくなる聖なるランプは、魔石を入れなくても点けたり消したりができるので電気替わりに。

 あらゆる木属性の魔物を燃やし尽くすという永遠の炎は普通に炎としての効果もあるので台所のかまどで使用(マキいらずという優れもの)

 炎のクリスタルはお風呂で使用。(触れたものを一定温度に保ちつづけるので常時40度)

 氷のクリスタルは冷蔵庫代わりに使用(こちらも周囲を0度を保つと言う優れもの)

 水のクリスタルは水にいれておくと常に浄化し続けるのでこれもまたお風呂とセットにつかうと24時間風呂ができるという便利アイテム。


 ちなみにクリスタル系は本来、魔力を込めて敵に投げつける攻撃アイテムなので、うっかり魔力を込めないように注意しなきゃいけない。魔力を通さない布でくるんで使用しないと危なかったりするので注意。


 他にもいろいろ便利グッズはあるのだけれど、セルヴァさんに


「伝説級のアイテムの数々を、そのように使うという発想自体がありませんでした」


 と、なぜか呆れられてしまった。本来なら国宝級で警備員がついて厳重に管理される類のアイテムらしい。


 でも「使える物は何でも使え!」と、どこかの誰かが言っていたので使おうと思う。


  今日は伝説の布という、いかにも凄そうな名前の布を素材に洋服作りかな。

 これまた特殊な裁縫セット(ダンジョンドロップ)でないと切る事も縫う事もできない伝説の布。

  防御力・魔法防御力は伝説級で、普通の攻撃ならもろもろはじいてしまうらしいのだけど、通気性も肌触りもよく、何より汚れも勝手に浄化してくれるので洗濯いらずの素敵な布。下着とかもこれで作ってみた。

 セルヴァさんには最初はすごい驚かれた。なんでも下着一枚の布で一国が買えるほど高価らしい。でも最近セルヴァさんも慣れたらしく、お弁当を包むハンカチが伝説の布でも驚かなくなってきた。慣れって怖い。

 

 棚と机が作れたらそのうち伝説の布でお布団のシーツも作ろう。

 テーブルクロスもこれにしたらシミ知らずだよね。


 今日の狩りでまた一杯でますように。



誤字脱字報告&ポイント&ブックマーク本当にありがとうございました!!!

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