38話 お野菜を手に入れた!
「凄い!!一面野菜畑ですよ!!」
地下10Fにたどり着けば、そこは突っ込みどころ満載の野菜畑だった。
季節感などそこにはなく高温性野菜も冷涼性野菜も土壌酸度も日照条件も関係なくいろいろな野菜が一面に実っている。
ジャガイモ、ニンジン、トマト、ナス、キュウリにブロッコリー、ピーマン、パプリカ、大根
玉ねぎに白菜、キャベツ、レタスに長ネギ、イチゴにバナナにリンゴに梨にみかん、ホウレンソウ
ショウガにニンニク、サツマイモにカボチャ、トウモロコシなどなど
欲しかった野菜や果物が大体揃ってる。
「す、すごいですよ!セルヴァさん!!」
私がジャガイモをひっこ抜きながら言えば
「そうですね、これほど豊富に野菜があるダンジョンは珍しいと思います」
「え、そうなんですか?」
「はい。大体麦だけだったり、ジャガイモとニンジンと玉ねぎの三種だったりしますから」
もしかしてこの上の遺跡といい、ここで始祖って人が暮らしていたのかな。
それだったらこの豊富な品ぞろえもわかるんだよね。
「収穫できるのは嬉しいですけど、これ収穫した後ってどうなるんですか?」
「はい、間違って根から抜き取ってしまっても三日後には同じ作物が生えてきます。
また実っている間は腐る事はありません」
うーん、やっぱりゲームな世界だな。どう●つの森っぽい。
でもこれは便利、いつでも地下10階に来れるから欲しい時に欲しい分だけもっていける!
「今日はお野菜パーティーが開けますね!!!」
私が嬉しそうに言えば、セルヴァさんが「はいそうですね」と微笑んでくれて――わんちゃんとシャルティは微妙な顔をする。
顔に「草なんて食べても美味しくない」とはっきり書いてあった。
君達欲望に正直すぎると思う。
□■□
「よーし、今日は久しぶりの野菜パーティー!!」
私が野菜をむきながらウキウキで言えば、
『野菜もいいけど肉も食べたいのじゃー!!』
「わんわんっ!!」
と、作ってる周りをアルとシャルティがくるくる回ってる。
「大丈夫だよ、ちゃんとお肉も入れるから、それに約束した甘いチョコケーキもね」
私が言えば、アルとシャルティが嬉しそうに「やったのじゃぁ!!」「わんわんっ!」と駆けていく。
あの子たちは仲がいいのか悪いのか、今一つよくわからないけど。
友達が出来るのはきっといい事だよね。
ますは大人用に野菜スティックをつくり、あとは野菜だけのサラダ。
野菜を生でそのまま食べたいのであまり手を加えていない。
後は子ども達用のご飯をつくる。
小麦粉と、片栗粉に塩コショウと、黒コショウを細切りにしたポテトにまぶし、そのままポテトを揚げる。
ついでなので薄力粉とコンソメと片栗粉をまぶし、その粉にマヨネーズと水を加えてその中に玉ねぎをくぐらせて油で再び揚げた。
オニオンリングも久しぶりに食べたいし。
同時に肉も大量に焼いて、わんちゃんやシャルティの主食も作っておかないと。
あの子達はとにかく食べるのでつくるのが大変。
ついでに市販のシチューの素でシチューも作る。
野菜をたっぷりいれたほくほくシチュー。
コトコト煮込めば野菜とシチューのいい匂い。
――ああ、幸せ。
私はシチューを混ぜながら幸せな気分に浸った。
やっぱり野菜は大切だよ。
□■□
『旨いのじゃ!!なんだこのドロドロした甘いものは。
白いクリーム状のトロッとした中にある風味と甘味!
中にある野菜もほくほくでとても旨い!!』
「わんっ!!わんっ!!わんっ!!」
シャルティとアルが競うように、シチューやポテトを食べている。
この子たちは本当に美味しそうに食べてくれるから作り甲斐がある。
「野菜をこのように贅沢に食べられるとは思いませんでした」
野菜スティックにマヨネーズをつけながらセルヴァさんが言う。
「このマヨネーズというのは甘みと酸味で美味しいですね」
セルヴァさんが言えば、アルとシャルティが身を乗り出してきた。
『なんじゃ!それも旨いのか!我もほしいのじゃ!!』
「わんわんっ!!」
「はいはい。じゃあ今ニンジンとキュウリを切ってくるから待っててね」
と、私が言えば二人は嬉しそうにお皿を差し出したので、野菜を切るより先にマヨネーズをお皿にいれてあげれば……
「旨い!!この甘いやつ旨いのじゃ!!」
「わんっ!!!わんっ!!!」
と、アルとシャルティが野菜が来る前にマヨネーズだけを舐めだしていた。
……その発想はなかった。
マヨネーズは何かにつけて食べる物という先入観!
次から文化の違いに気を付けようと思う。
□■□
~今日のわんこ~
『兄者このポテトってやつおいしい!!さくさく、ほくほく!
塩味と胡椒って奴の味でとっても美味しい!』
『うぬ、オニオンリングというやつも旨いぞ、サクサクの衣の中からドロッとでてくる玉ねぎの甘みがだな』
『兄者なんだか言う事がシャルティに似て来た!』
『兄者知性派を狙っているのか?』
『べ、別に、意識などしておらん!』
『美味しい!とにかく美味しい!アル、主様の料理大好き!!!』
「うまそうじゃな!そっちもよこすのじゃ!」
『だめー!だめー!それアルのっ!!!!』
「喧嘩は駄目だよ?まだたっぷりあるからね」
『主様大好きー!!!!』
「ぬ!?我だって好きなのじゃ!!!!」
『アルの主様ー!!』
「なんじゃと!?犬如きが!」
「はーい、喧嘩は駄目だよ?」
『まるで子供だな』
『うぬ……』
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