35話 嫉妬
『旨い!!旨いのじゃ!!』
セルヴァが地上に戻ってみれば、見知らぬ金髪の少女が涙を流しながらクミの作ったご飯を食べていた。
『このサクサクした衣に、じゅわっと口の中で鳴る音!
そして衣のうまみが口の中で広がり、その後にくるプリっとした歯ごたえと肉のうま味がたまらん!!』
と、感動する少女に
「どこでそんな食レポみたいな言葉覚えてきたんですか?」
と、クミが笑いながら聞いていた。
「わんっ!!わんっ!!」
セルヴァとともに地上に戻ったアルが負けじとから揚げに飛びつこうとしてとデルにぶたれている。
「あ、セルヴァさん、アルもデルもお帰りなさい」
「た、ただいま戻りました。
あの、この子は?」
とセルヴァが尋ねる。
鑑定してもエラーがでるということは……セルヴァよりかなりレベルの高い相手なのだろう。
レベル400のフェンリル達よりもずっと高位な存在なはずだ。
「あ、すみません。紹介遅れました
ゴールデンドラゴンのシャルティちゃんです。
私たちの仲間にしてほしいって言ってきかなくて」
「……は?今なんと」
『何度も言わせるでない!我はゴールデンドラゴンのディストニアの第三の子シャルティ!
以後よろしく頼むぞ人間よ!』
シャルティが手を挙げて微笑めば、セルヴァがしばらく硬直した後。
「……は?」
と、もう一度疑問符を浮かべるのだった。
□■□
「と、いうわけですみません。どうしてもペットにしてほしいって言って聞かなくて。
食事の用意が大変になっちゃいますけど、この子も仲間に加えて大丈夫ですか?」
と、私が言えば、セルヴァさんは固まったまま、ぽかんとこちらを見ていた。
うーん。やっぱり食事の下準備とかセルヴァさんも色々大変なのに勝手に結界に入れたのはまずかったかな。
でも人型になって、セルヴァさんを待つ間だけでもご飯食べたい、ペットにしてほしいと土下座までさせちゃったから断れなかったというか。
「だ、ダメでしたか?」
私がぼーっとしているセルヴァさんに聞けば、セルヴァさんははっとして、ぶんぶんっと首を横に振った。
「ダ、ダダメとかそういうレベルの話ではないと思うのですが!?
ゴ、ゴールデンドラゴンといったら伝説のドラゴンですよ!?
本当にいるのかさえ、疑問視されているほど高貴な存在のっ!?」
「え、そんなに凄かったんですか?」
と、私がシャルティを見れば
『だから言ったじゃろう!なのにペットも眷属も嫌がるとか!ありえぬじゃろう普通!』
「現実的に考えたら当然じゃないですか。
私達二人とワンちゃんだけでドラゴンを食べさせるだけの食料を確保するなんて無理に決まってるじゃないですか!」
『くっ!?そこは何とかガッツで!』
「根性論でも無理です」
それになぜかアルと食事の取りっこをしているシャルティを見るととても高貴には見えないのだけれど。
「と、とにかく、少し落ち着く時間をいただけると。
本当にゴールデンドラゴンなのでしょうか?」
『疑っているなら目の前でドラゴンに変身してやってもよいぞ!!』
と、変身しようとして、周りに風がおこり、作った食べ物が飛びかけて……
「きゃいん!!!」
アルに叩かれて変身をやめた。
『な、なにをするのじゃ馬鹿犬!?』
と、喧嘩をはじめる。
「シャルティ、仲良くしないとテイム解除しますよ。
今のはアルが止めなかったら、作った食べ物全部吹き飛んでいましたからね?」
私がジト目で言えば
『ご、ごめんなさいなのじゃぁぁぁぁぁ!!』
と、私に土下座するのだった。
うん、ところでこの子どこで覚えたんだろう……土下座。
□■□
~今日のわんこ~
『何をすねておる。アル』
『ヤダー!ヤダー!アルあのドラゴン嫌い!
主様がアル用につくってくれたドーナツ食べちゃった!』
『仕方なかろう相手はゴールデンドラゴンだぞ』
『だって、主様約束した!
ドーナツの中にチョコレートいれて作ってくれるって!』
『また作ってもらえばいいだろう』
『今食べたい!今食べたい!あれは主様とアルが約束したやつ!』
『子供かお前は』
「アルー!どこ行ったのー!?」
『ほら、主様がよんでおられるぞ』
『ドラゴンと一緒ならヤダ!』
『……何を子供じみた事を』
「アルー!?アル用のドーナツいっぱい作ったよー?どこー!?」
『主様大好きー!!!!』
アルはものすごい速度でクミの元に走っていった。
『現金なやつだな』
『うぬ……』
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