30話 ネット通販
「な、なんだったのでしょう?」
セルヴァさんがそう言いながら男の人が消えた場所を見つめている。
私の手にはいつの間にかしっかりとスマホが握られていた。
ちょ!?ちょっと待ってネット通販って!?
私が慌ててスマホを触れば
☆ネット通販へようこそ☆
●魔石を入れることにより「日本」の調味料や食品などを買う事ができます。
※商品を買うごとに経験値が上がり、レベルが上がります
※レベルMAXになったとしても、消費期限の短いもの・冷凍、冷蔵保存のものは買えません
※消費期限が10日もないものは基本買えないと思ってください
※そちらに転送される際には製造日から20日以上経過している事がありますので賞味期限には注意してください
※また一日に買える数の上限は5個までです。(レベルが上がると買える個数も増えます)
と、やたらずらずらと説明が書いてある。
……なんだかこの説明文を見ていると、もしかして
日本で誰かが買って転送してるとか?
と、疑念は浮かぶけれどそんなことはどうでもいい!
調味料買えるの!?
私が慌ててスマホ画面でお買物アプリを起動すれば
おなじみの日本の大手メーカーの調味料がずらずら並んでる!!
何より嬉しいのがドライイーストも小麦粉もホットケーキミックスなども調味料扱いで買えるらしい。
残念ながら パスタとかうどんとか乾麺と米はなかったけれど、それでもありがたい。
パンっ!!パンが食べれる!!
「神アプリげっとぉぉぉぉ!!!!」
私の叫びにその場にいたみんなが顔を見合わせた。
すみませんテンション上がり過ぎました。
□■□
「ではクミ様の世界の物が買えるということでしょうか?」
スマホを物珍しそうに見ながら、言うセルヴァさん。
「はい!凄いですよ!これで料理のバリエーションがすっごく広がります!」
画面を食い入るように見る私。
生もの系は基本買えない。米も残念ながらなかった。
ニンニクなどもチューブ式か乾燥系のみしかない。
でもたこ焼き粉やホットケーキミックスなど粉ものは豊富。
スパイス系もほぼほぼ買えるしカレールーやシチューの市販のルーも買えたりする。
基本冷蔵や冷凍保存のものは買えないみたい。
本当に賞味期限の長い物
なんとなく腐らなそうなものが、売っているイメージだ。
……やっぱり向こうで買って転送する際に腐るといけないから賞味期限の長くて、冷蔵・冷凍の必要のないもののだけ選んでる……?
もしこの仮説があたっていたら……日本とこちらの世界をつなげる事の出来る日本人がいて帰る方法がある可能性も……
私が思考にふけっていれば
「クミ様?」
と、セルヴァさんに呼ばれて、はっと顔をあげた。
「あ、ああすみません!
とりあえず肉と魚に飽きたのでホットケーキのミックス粉買いたいと思います」
と、私は考えるのをやめる事にした。
そもそも推測だけでまだ帰れると決まったわけじゃない。
余計な事をセルヴァさんに話すべきじゃないと思う。
私はデルに魔石を全部だしてもらって、魔石にスマホにかざせば、すべてスマホに吸収されていく。
ちゃりーん☆
と、音が聞こえて、表示されたのは10000PONだった。
お金はほぼ日本と同じ相場なので結構買える!!
とりあえずワンちゃん達もいるから量の多いパンケーキミックス(業務用)かな。
私は迷わず、バター(缶詰)・パンケーキミックス(業務用)・製菓用チョコレート・コーヒー(インスタント)・砂糖を注文した。
すると目の前にぼんっ注文したものが現れる。
「やったーー!!甘味ゲットーー!!!久しぶりの甘いものー!!!」
□■□
~今日のわんこ~
デル『やはり我らの主は始祖様とかかわりがあるようだな』
アル『なんで!? なんで!?あの何か出て来たの関係あるの?』
デル『始祖様もスマホなるものが使えたと聞いている』
アル『ねぇねぇ、それよりあの黒いのなぁに?不思議ないい匂いする』
デル『知るわけがないだろう』
アル『きっと食べ物!アルにもくれるかな!??』
デル『お前はいい加減食べ物ばかりに気を取られるのはやめないか。
お主はフェンリルとしての誇りがないのか』
クミ「ワンちゃん達もチョコたっぷりのパンケーキ食べようね!」
デル『はい主様!!』(尻尾ぴーん)
ベガ『兄者もアルの事言えないっ!!!』
アル『ケーキ♪ケーキ♪パンケーキ~♪』(よくわかってない)











