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24話 美味しいお肉

「氷温熟成の魔法をかけたお肉大丈夫かな?」

 朝になり、私はデルのアイテムボックスに詰め込んでいた、イノシシ肉と羊肉をとりだした。

 昨日のうちに下処理して、セルヴァさんに氷温熟成の魔法をかけてもらったお肉。

 流石に昨日の今日で熟成されてるとは思わないけど、ちょっとは美味しくなったかな?

 それとも死後硬直で硬いのかな?

 私が肉をじーっと見ていると


「鑑定したところ食用としても大丈夫なようです。熟成されて美味しくなっていると書いてあります」


 鑑定してくれたセルヴァさんが言う。


「鑑定ってそんな事もわかるのですか!?」


 私もセルヴァさんの前にでたステータスウィンドウを見せてもらえば確かに書いてある。

 一晩で熟成されるってはやすぎる気もするけれど魔法の効果?

 ひょっとして時間経過がはやくなる効果もあったのか、それとも私の世界とのお肉の質の違いなのか。


「一昨日までは見えなかったはずなのですが、どうやら守護者を倒した時にレベルが上がったのと同時にスキルレベルも上がったようです」


「え!?レベルがあがるとスキルもあがるんですか!?」


「はい、ごく稀にではありますが。

 クミ様の指定のスキルも上がるかもしれませんね」


 私も慌ててスキルを見ていれば確かに指定スキルがレベル2になっている。

 セーフティーフィールドが(中)も出来るようになっているけどこれは何だろう?

 あとで検証しなきゃ。


「凄い本当に上がってる!?生活用品をそろえたら、指定スキルの確認もしたいですね」


「一通りの生活基盤を揃えたら、検証もしてみましょう」


 そう言ってセルヴァさんが火をおこす準備をはじめた。

 まずは衣食住が落ち着いてからだよね。

 朝から凝った食事を作っているとダンジョン攻略にいけなくなるので、私は手早くお肉を焼いた。

 今日はマントや羊の毛をもっと集めて布団を作りたい。

 兜や盾でつくった鉄板や鍋ももうちょっとハンマーでたたいて形を整えないと使いにくい。


 でも……


 じゅーじゅー美味しそうに焼けている肉を見て思う。


 朝から肉きつい!!!

 これから毎日お肉三昧なの!?


「どうかしましたか?」


「いえ、お肉は確かに美味しいのですけれど毎日お肉もきついなぁって……

 野菜とかないのでしょうか?」


「そうですね。

 魔の森を探せば、木の実などがあるとは思いますが基本的に闇に侵されていた期間が長すぎて、食するのは危険かと。

 ダンジョンなら地下十階が安全地帯となっており、ニンジンや玉ねぎと言った地上には自生していない野菜や岩塩などが採れる事が多いです」


「本当ですか!?」


「はい、今までのダンジョンと同じならば地下十階、地下十五階は安全地帯で野菜や穀物、塩などが採れる場所となっております。

 国によってはそこで大規模な農業を行っていることもあるくらいです」


「じゃあ今日は地下十階を目指しましょう!?」


「マントと羊毛集めは後回しでもよろしいのでしょうか?」


「出来れば食生活を優先したいです!毎日お肉は胃もたれが」


 じゅーじゅー美味しそうに焼けたお肉をワンちゃん達にあげつつ、私は苦笑いを浮かべた。



 □■□



 お肉は美味しかった。

 朝から手の込んだ料理は面倒だったので下処理してマジックソルトをかけて焼いただけ。

 それでも柔らかくて甘みがあってジューシーで美味しい。

 プラのフォークでちゃんと切れるような柔らかさ。


「よく食堂でボアの肉はでてきましたが、これほど柔らかく、コクのあるうま味の肉は食べた事がありません。

 同じ種のはずなのに調理方法一つでこれほど味が違うのですね」


 と、セルヴァさんも美味しいですと微笑みながら食べてくれた。

 やっぱりここは熟成魔法のおかげだと力説したら、知識が豊富なのですね、と褒めてくれてちょっと嬉しくなる。

 ワンちゃん達にいたってはまた食べたいのかじーっとこちらを縋るような目でみている。

 私もこう毎日お肉三昧じゃなければもっと美味しかったんだろうけど、お肉は流石にきつくなってきた。


「わかった焼いてあげるから、今日のダンジョン探索頑張ってね?」


 と、私がお肉をマジックボックスから取り出せば、嬉しそうにワンちゃん達は私の周りをまわる。

 うん、可愛い。もし子供がいたらこんな感じなのかな。


 今日は私の胃腸のために絶対お野菜をゲットしたい。



□■□


~今日のわんこ~


『今日のお肉旨い!!!旨い!!味濃い!味濃い!

 アルこれ大好き!!!』


『アル、食べるかしゃべるかどっちかにしろ、尻尾がはちきれるぞ』


『だって、これ美味しい!これ美味しい!兄者食べないなら頂戴!?』


『食べるに決まってるだろう!?』


『人間と言うのは何故ここまで美味しくできるのだ?』


『神官の話では主様の料理が上手いのであって人間全体ではないらしいぞ』


『なるほど、さすが主様だ……ってアル人のまで食べようとするな!!』


『美味しい!美味しい!』



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