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22話 ハンバーグ!

「よーし、まずはご飯をつくらないと」


 転移の魔法陣に乗ってダンジョンから拠点に戻り、私は旅人のローブをエプロン代わりに上から着こんでご飯を作ることにした。

 フライパンや鍋は底をハンマーで叩いて平らっぽくした鉄の盾と鉄の兜。

 調味料はばっちりと持っていたので心配ない。


「セルヴァさん手伝ってもらっていいですか?」


「はい、かまいませんが、料理の知識はありませんが何をすればいいでしょうか?」


「お肉の用意をしてほしくて」


「お肉?」


「はい!あの魔法です!」


 血抜きしてある動物にさらに闇魔法で皮を剥ぐ呪文、そして骨を抜く呪文、臓器を抜く魔法をやってもらうと、ちゃんとできた。


「や、闇魔法便利すぎる!!」


 私が感動していれば、


「本来は拷問などに使う魔法なのですが、このように使う発想はありませんでした。

 なるべく使わないようにしていましたが、使いどころもあったのですね」


 と、セルヴァさんが苦笑いを浮かべた。


「勿体ないですよ、こんな便利魔法を封印するなんて」


 私がそう言えばセルヴァさんが「そうかもしれませんね」と微笑んで「知識はまったくないので適当ですが……」と言いながらお肉を解体してくれた。

 言葉の通り、部位とか考えずに適当に切り分けただけだけど、私には無理なので凄くありがたい。


 とりあえず赤身でハンバーグにしようかな。


 ハンバーグなら死後硬直で硬くなった肉でもいけるはず?まぁやったことがないのでよくわからないけど。

 イメージでしかないけどイノシシ肉って堅そうだし。


 私はセルヴァさんに他のうさぎも骨抜きなどを頼みイノシシ肉は切り刻んでハンバーグにすることに。


 まずはイノシシ肉を少し温かくした水で綺麗に洗ってナイフで肉の赤身を粗目のミンチにし、つなぎの塩を入れてひたすらこねる。 

 粘り気がでてきたらバーベキュー用にもってきていたマジックソルトも加えて、あとは普通のハンバーグのように空気を抜いて丸めて表面に小麦粉をまぶして焼くだけなのでとりあえず別の料理にとりかかる。



 ウサギをぬるま湯でよく洗い、火が通りやすいように少し切れ目を入れてマジックソルトと、先ほどキラービーを倒した時手に入れたはちみつを軽く塗ってこちらは豪快に丸焼き。


 ついでにウサギ肉をもイノシシと同じ手順でミンチにし塩を繋ぎに団子を作り、コンソメを入れたウサギ団子の汁も作成。


 最後にハンバーグをフライパン(鉄の盾)でじゅわじゅわ焼いて、出た油にソースとケチャップを混ぜて出来上がり!



□■□



「これは美味しいです」


 ハンバーグを一口食べたセルヴァさんが感動した様子で言った。

 本当に美味しそうに食べてくれるので作ったこちらも嬉しくなる。


 私も一口食べてみた。

 じゅわぁぁぁと美味しい肉の味が広がって甘くて舌でほろっとろける。

 野生の動物だからもっと臭いかと思ったのに全然臭くない。

 血抜きが綺麗にできているからなのかな?

 熟成もなにもしていないのに下手をすると日本で食べていた肉より美味しい。

 味も豚肉を想像してたのに、どちらかというと牛肉に近い。


 下味をつけて直火で焼いたウサギも、表面がパリパリに焼けてて香ばしく、程よい塩とハーブと、ガーリックの味。お肉もジューシーで美味しい。


「このスープも不思議なコクと味ですね」

 と、セルヴァさんがキューブのコンソメを入れたスープを美味しそうに飲んでいた。

 確かにコンソメスープもウサギの出汁とコンソメの味が程よく合わさっている。

 繋ぎが塩しかなかったのでウサギの団子がぽろぽろ崩れちゃうけれど、それはそれでほろほろしていてスープと一緒に食べると美味しい。


「ボルダーボアもラージーラビットも食べた事はありましたが、ここまで美味しくなるとは知りませんでした」


「これもセルヴァさんの魔法のおかげだと思いますよ。

 処理がはやいし、血が完璧にぬけるから美味しく出来るんだと思います」


 と、私が言えば、セルヴァさんが笑ってクミ様の料理の腕ですよと言ってくれる。

 こういうところがこの人は紳士だなぁと思ったり。


 でもバーベキューの道具を持っていてよかった、食器とスプーンとフォークが一通り入ってたのは助かった。プラスチック製の100均で買った奴だったけど予備用にもっていたのがこんなところに役にたつなんて。

 

「わんっ!!わんっ!!わんっ!!!」


 ワンちゃん達も美味しかったのか、嬉しそうにパクパク食べてる。



 ――やっぱり、こうやってみんなでワイワイ食べるって楽しいね。



□■□


~今日のわんこ~



『兄者!!このウサギ旨い!旨い!外パリパリ!中じゅわじゅわ!

 しょっぱいあじと舌にぴりりとくるなにかの味がとっても美味しい!

  同じウサギなのに不思議!不思議!』


『ハンバーグとやらも旨いぞ!肉の旨い汁がじゅわじゅわと口の中でとろける!!』


『うぬ、噛み応えはないがこれは旨い!!』


『主様は凄い!こんな美味しいものを作れるなんて!』


『そうさな流石我らが決めた主様だ』


『アルの主様は凄い!!』


『我の主様でもあるぞ』


『アルのー!アルのー!』


『妙な事で喧嘩をするなお前達』

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