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18話 ダンジョン

「ダンジョンですね」


 あの後みんなで、階段を下りると、そこにあったのは広々とした空間で、石づくりのダンジョンだった。

 私が見渡しながらつぶやけば


「はい。そのようです」


 と、セルヴァさんが答えてくれる。


「こ、こんな近くにダンジョンがあってモンスターが出て来る事はないんですか!?」


「はい。ダンジョンの敵が外に出て来ることはありません。

 それにあそこは聖域ですから、おそらくモンスターがこの階段を上って出ようとしても出られないと思います」


 そ、それはよかったけれど、住んでる側がすぐダンジョンって普通に怖い。

 ここに続く建物の入り口や窓は頑丈に作りたいと思う。

 そりゃもう伝説のなんちゃら級の鉱石で!そんなのあるのかわからないけど。


「わんわんわん!!」


 わんちゃんたちが嬉しそうにダンジョンの中に入っていくけれど


「私も行って大丈夫でしょうか?」


「はい、一層の敵はレベル1から10のモンスターのはずですから。

 私でも対処できると思います」


 と、私の手を握り歩き出す。その瞬間、一瞬だけカズヤの顔が浮かんで私は首を振った。

 よく買い物の時とか手をつないでくれたような気もする。

 なんであいつの事思い出すかな、もう。

 手袋越しでもセルヴァさんの手は温かく感じて、私もぎゅっと握り返した。

 あんな最低男とセルヴァさんを比べたら失礼だ。

 見知らぬ私を助けてくれようとしたセルヴァさんと見捨てたカズヤでは違いすぎる。


 気持ちをきりかえないと。


 ダンジョン1階のモンスターはウサギに角の生えたモンスターだった。

 ワンちゃん達が先導してくれて、先に湧いているウサギを倒してくれているけれど、とにかく数が多い。

 わんちゃん達が取りこぼして私に襲ってきたモンスターはセルヴァさんがこん棒で叩き潰した。

 見かけは可愛いうさちゃんたちが、とびかかってくるたびにセルヴァさんに容赦なくこん棒で叩き潰されるのだ。

 うん、ちょっとグロい。

 

「グリームラビットです。人間が行き来できるダンジョンの場合、冒険者であふれかえっていますのでこれほど湧く事はないのですが、無人のため数がすごいですね。この種は食用になるので持って帰ってもいいかもしれません」


 と、言いながら器用に倒す。ごすんっと生々しい音をたてて、ウサギが虐殺されるさまは夢にでそう。

 でもこれくらいでくじけてたらたぶん暮らしていけない。

 割とホラー映画好きで血になれてる私でも地味にきつい。

 でも料理するはめになるんだから慣れないと。

 よく異世界転移とかでみるでかいタイプのモンスターは血抜きも捌くのも私には無理だと思う。

 だから食用の主となるのってこのウサギさんくらいだよね。


 ウサギがセルヴァさんのこん棒で叩きぶされて地面に血が飛びちるたびに、きらりと光る石とマキのような木材を落す。


「あれは?」


「質の悪い魔石と燃料のマキですね。

 魔石の方は照明の魔道具を10分程度つけるのがやっとなのであまり実用性はありません」


 うーん。本当にアイテム落とすんだ。

 なんだかVRMMOって本当に現代技術で作れるとしたらこんな感じなのかなと思う。


「地下一階は魔石や燃料や木材、鉄鋼しか出ませんので、下に行ってみましょう。

 おそらく地下二階なら、刃物や防具などもドロップすると思います。

 まずは刃物を手に入れないと、生活するには不便ですから」


「そうですね、料理するにせよ、モンスターを捌くにしろ刃物がないとですね」

 

 奥に向かって進んでいけば敵も途中で何度か種類がかわり、ダチョウみたいな敵もでてきた。

 ただ、ドロップするのは魔石や卵のカラ、石炭とかで生活には役立ちそうだけど、刃物はでてこない。

 私たちが奥に進めば、大きな魔法陣が現れる。


「これは?」


「転移の魔法陣です。一度行った階層には好きにワープができます」


「え!?超便利ですね、それ」


「はい。ただこれは人間しか使う事ができませんので、テイムされたフェンリル様達も移動させたい場合は必ず一緒に移動してください。

 テイム後のモンスターは一緒に転移されます」


 なるほど。ワンちゃん達だけをダンジョンに送って、狩ってきてね☆というのは出来ないのか。うーんよく出来てる。


 私が魔法陣に乗れば、メッセージウィンドウが表示された。



▽▽▽


●地下2階へ移動しますか?


▶はい いいえ


△△△


 私は「はい」をそのまま押した。

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