17話 違和感
守護者Gとやらを倒した後、私たちは遺跡の中を探検することにした。
セルヴァさんが鑑定のスキルを使いながら
「ここはモンスターが入れない範囲のようです。結界が張られています。
ここなら住むのに最適かもしれませんね」
と、説明してくれた。
「結界ですか?」
「はい。一部遺跡では人間とテイムされた動物以外入れない聖なる結界が張られている場所があるのですが、この遺跡もその類のようです。
あちらを見てください」
セルヴァさんに言われてそちらを見てみれば、まるで見えないガラスがあるかのように、イノシシ型のモンスターがべたりと遺跡の外で張り付いていた。
うん。間抜けだ。
「これなら安心ですね。噴水も水が綺麗ですよ!!」
私が噴水の水を手で掬い取れば本当に綺麗。
普通に綺麗な石造りの噴水の底が見えるほど。
でもその様子にセルヴァさんが少し目を細めた。
「どうかしましたか?」
「あ、いえ、鑑定した所飲料にしても問題ないようです」
「なら飲料問題クリアですね!!」
私がそう言えばセルヴァさんは何やらまだ納得出来ていないようなので
「何か問題がありますか?」
と、聞けば、はっとして手を振って
「いえ、不満がある等ではないのです。考えすぎなのかもしれませんが……」
「はい?」
「この遺跡には違和感があります」
「違和感?」
「見てください。こちらの建物は朽ちて苔がはえているのに、噴水は水場なのに苔すら生えていない。
本来ならこのような野ざらしであれば噴水ベースなどすぐに落ち葉と土で埋まってしまうでしょう。
ですが苔どころかゴミ一つ入っていない。この朽ちた建物もです、見かけは朽ちているのですが、柱の素材の石そのものは劣化していない……まるで最初から朽ちてる建物を建て、わざと傷やコケをつけて朽ちたように偽装したような違和感があります」
「つまり、テーマパークみたいにわざと古代の遺跡をイメージして作ったみたいな感じですか?」
「テーマパーク?」
「あ、すみません、見学して遊ぶ所?といいましょうか、見世物にするために古い建物をイメージして建てたみたいな?」
「ああ、なるほど。おそらくそうだと思います。
この建物自体は、古代に失われたといわれるトレンス石で作られていて、1000年たっても朽ちる事はないはずですから。
噴水も周りは結界で守られておりゴミが入る事のないように処理されていると考えられます」
「だから水も綺麗だし噴水の中も綺麗なんですね」
「そうですね。この様子なら建物も屋根と壁がそれなりにある物を探せば住むのに支障はないでしょう。
……多々、疑問点はありますが、今、それは置いておきましょう。
余計な事を言って申し訳ありません」
「いえ、確かにおかしいですし生活基盤がそろったら調べてみるのも面白いかもしれないですね」
私はわくわくしながら、いう。
こういう秘密めいた古代の遺跡って超テクロノジーが隠されてるとかよく見るし!
守護者もガン●ムだったしね。
「そうですね。ですがまずは衣・食・住をそろえる事を優先しましょう」
そう言って二人で手分けして比較的無事な建物をめぐってみれば、扉さえつければ住めそうな建物がいくつかあり、一番広く部屋の多い建物にした。
台所にはかまどもあるし、リビングのような場所には石の机と椅子もある。
他には部屋が三個。
これだけあれば二人で暮らしていくには不便がないと思う。
「ここで暮らしていくのはいいですけど、問題は料理を作る道具や寝具などがないところですね」
私のもっている荷物の中には100均で買ったプラ製のお皿やフォーク、それにコップやしゃもじや木べら、お玉、フライ返しなどはあるのだけれど、フライパンや鍋などは他の子が持ってくる予定だったので持っていない。
私が言えば、セルヴァさんが頷いた。
「生活に必要な道具が何もないのは不便ですね。せめて刃物くらいは手に入れないと。
ダンジョンが近くにあれば、いいのですが」
セルヴァさんが言えば「わんわん!!」と、ワンちゃんが自己アピールをした。
「知ってるの?」
私の質問に嬉しそうにワンちゃん三匹が、遺跡の中のはじっこにある建物につれていってくれる。
見た目壊れた小さな小屋の建物の遺跡にしかすぎないのだけれど。
「ここ、ダンジョン?」
と聞くと嬉しそうに「わんっ!!」というので建物の中にはいってみれば、そこにあったのは階段だった。