16話 守護者G
ワンちゃん達が案内してくれた場所は、昨日の宝珠のあった場所の近くだった。
木々がそこだけない開けた場所で、かなり広い。
ギリシャ風の壊れかけた建物に石畳の敷いてある庭。
そして中央には噴水が置かれていた。
よくファンタジー漫画やアニメにでてきそうな、朽ちた神殿風の遺跡がそこに広がっている。
「凄い!遺跡みたいですね」
「そのようですね、このような広い開けた場所が魔の森にあるとは知りませんでした」
「調査とかはなかったのですか?」
「この森は魔素が強すぎて人間は300年以上近づいておりません。
それが故、聖女すら森に入れず、宝珠の浄化ができずこの森の魔素濃度だけが濃くなってしまいました。
闇が払われた事を知る人間もいませんし、誰も近づいてこない故に我々が身を隠すには最適ともいえるでしょう」
「ああ、なるほど!じゃあここは潜伏場所としていいかもしれませんね。
凄いですよ!見る限り噴水もあります!これなら水にも……」
私が行こうとすれば、ワンちゃんたちが私の動きを止める。
え?
ずごごごごごご。
突然響く地響き。
そしてそれは現れた。
ガン●ムを思わせるロボットが。
見かけ少し小さめなガン●ムだ。
「ゴ、ゴーレム!?」
セルヴァさんがこん棒を構えながら驚きの声をあげるけど。
違いますこれガン●ムです。
リアルだったら著作権で訴えられそうなほどそのまんまガン●ムです。
硬直する私をよそにガン●ムが攻撃をはじめ、それをワンちゃんが軽くかわす。
そしてもう一匹のわんちゃんが「俺らが引き付けますから親分やってくだせぇ!」みたいな目で私を見た。
どうやらワンちゃん達は知っていたらしい。
……こういう事って先に言っておいてくれないかな!?
いや、確かに言葉は通じないけどっ!
がっこぉぉぉんん!!
ゴーレムが地面を殴った衝撃で吹き飛んできた岩に「ひゃぁ!?」と私が悲鳴をあげれば、セルヴァさんが飛んできた石をこん棒で叩き落した。
「クミ様!あのゴーレムのレベルは500です!
この場にいる者で倒せるのは貴方のスキルしかありません!
私があなたを守りますのでその間にスキルをお願いします!!」
と、全力で飛んでくる岩を魔法やらこん棒やらで叩き落している。
その言葉に私は頷いて、ワンちゃん二匹がゴーレムを引き付けている間に、ゴーレムをターゲットにしスキル指定を発動する。
▽▽▽
●秘宝の守護者Gを倒しますか?
▶はい いいえ
△△△
私は迷わず「はい」ボタンを押せば、
しゅいぃぃぃぃん!!!
ゴーレムが光を放ちながら消えていった。
「な、なんとかなった……」
ヘナヘナとその場に座りこめば、わんちゃん達が褒めてといわんばかりに私の周りをくるくる回る。
「あ、ありがたいけど、次はちゃんと敵がいるって言ってくれるかなっ!?」
と怒り気味に言えば、きゅいいんっと尻尾をたらした。
可哀想だけどこれはちゃんと言っておかないと。
命がいくつあってもたりない。死ぬかと思った。
□■□
~ワンコたちの会話~
『主様に怒られてしまった』
『しかし主様は、この世界の始祖といわれるゲームマスターがお使いになった指定を使えるのだ。何も恐れる事はないと思うが』
『しかし主様はそれを知らぬ。我らが伝えねば』
『どうやって伝える!?どうやって伝える!?』
『我らの言葉が通じればいいのだが』
『しかし難しいぞ。我らはテレパシーのスキルは消失した。
この300年の間に闇の力で弱体化してしまっている』
『ってアル?』
『あいつならいつの間にか腹をだして主様に撫でてもらってるぞ』
『なぜだっ!?』
『お腹だせば通じる思った!ナデナデ気持ちいい!!』
『……そうさな、伝わるかもしれんな』
『そんなわけあるかっ!!ベガお前も腹をだすな!!
フェンリルとしての誇りはどうした!?』