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11話 セーフティーゾーン

 スポーンって絶対この世界ゲームだよね。


 セルヴァさんの説明を聞いて私は思考を巡らせる。

 こういうのってWeb小説とかだと大体やったことのあるゲームの中のはずなんだけど。


 でもやったことのあるゲームでこういったシステムはブロック系のゲームしか思いつかないなぁ。

 マイ●ラ系とか?でもあれとも全然違うし。


「どうかなさいましたか?」


 私が考え事をしていればセルヴァさんが心配そうに話しかけてきた。


「あ、はい、何でもありません、すみません。

 でも不便ですね、これって建物の中でも湧いちゃうんですか?」


「はい。街や神殿などはセーフティーフィールドにあるのでそのような事はないのですが。

 野外やダンジョンなどではどうしても防ぐことができません。

 このように結界で敵が湧くレベルを落とすくらいので精いっぱいです」


「なんだかゲームみたいですね」


「異世界の方にはよく言われます」


 と、セルヴァさんが申し訳なさそうに苦笑いを浮かべた。


「それも指定で変えられちゃったりして」


 私があははとなんとなくスキル指定を地面に設定してみれば。


 フィールド設定を変更しますか?

 50m×50m四方のフィールドを設定できます


▽▽▽


 セーフティーフィールド 1

 野外フィールド 1 2

 ダンジョンフィールド 1 2


△△△


 現れた画面に私と、セルヴァさんの動きがとまり。


「ま、まままままさか、フィールド設定を変更など、そ、そんな事が可能なのですか!?」


 と、物凄く慌てた様子で聞いてくる。


「え、えーっと出来ちゃうみたい?」


「ま、待って下さい。宝珠の呪いを完全に浄化し、魔族を一撃で倒し、さらにそのような事が出来るのなら、聖女など比べ物にならないほどの存在という事にっ……!?」


 画面をワナワナと指さしながら言うので私はうーんと考えた。

 たぶんできると思うけどSP残り2。

 0だったはずだけど休憩している間に回復したのかな?

 レベルがあがったので最大SP値は増えたけれど、レベル上がりで全回復するタイプのゲームじゃないらしい。

 個人的にはいざという時にとっておきたいけど、でもこの祠でモンスターが湧かなくなるから安心できていいのかも?


「これ使っちゃうと残りSP0になりますけど使ってみますか?」


「はい、SPは休憩すれば回復しますので、出来れば、お願いしてもよろしいでしょうか?」


 セルヴァさんの言葉に頷いて私がぽちっとボタンを押せば。

 床がぴかぁぁぁぁっと光り、「このフィールドはセーフティーフィールドになりました」と、出る。

 セルヴァさんが自らのステータスを開き、鑑定ボタンを押せば、きっちりとセーフティーゾーンと記載されていた。


 しばしの沈黙。


「これで安全な寝るところ確保ですね!」


「ま、まさか本当に………」


 わなわなとステータス画面を見ながら呆然としてるセルヴァさん。


「あのー……セルヴァさん?」


 私が肩をたたけば、セルヴァさんがはっとして


「も、申し訳ありません。これはもしかしたら早々に追放されたのはよかったのかもしれません」


「よかった?」


「この能力を他者に知られれば、あなたは延々とスキルを使うだけの作業をさせられたでしょう」


 言ってはぁーっとため息をつく。


「えーっとそれっていい事なような?」


 みんな安全地帯になるのはいい事のような気もするけれど。


「バランスです。セーフティーゾーンが増えれば人類が住める地が増え、人口は増えるでしょう。

 ですがこの世界はいまでも人口に対し食料不足の状態が続いており、食料難です。

 人口をむやみに増やすのは賛同しかねます。


 またスポーンする量が減った事により、湧くモンスターのレベルが異常に高くなってしまう可能性など考慮しなければいけません。

 ですから、きちんと検証したうえで優秀な指導者の元、その作業が行われるなら問題はありません。


 ですが、今この大陸の中枢にいるのは、あなたのスキルも確認することもなく追放した大神官です。

 彼指導の元、フィールドの設定変更など行えば後々どのような被害が生まれるかも検証せずにセーフティーゾーンを増やし自らの権力を誇示することでしょう」


 頭を押さえて言うセルヴァさんの言葉に私は頷いた。

 うん。すごくやりそう。


「だいぶ話がそれてしまいました。

 まだ説明しなければならない事も多々ありますが、今日はここまでにしましょう。

 とりあえず日も暮れかかってきています。

 何か食料を確保しておかないといけませんね。

 闇に侵されていない木の実などがあればいいのですが」


 と、セルヴァさんがモーニングスターを手に立ち上がった。


「あ、それなら、ありますよ」


「え?」


 私はワンちゃんたちが運んでくれたクーラーボックスをパカリと開けた。

 入ってるのはソーセージと焼きおにぎり。あと少々の肉と調味料。水のペットボトル二本。

 肉は串刺しでちゃんと前日から下ごしらえしたので、味はばっちりのはず。

 マジックソルトで下味をつけたお肉に、硬めにゆでたジャガイモにガーリックソルトをかけ、そしてオリーブオイルにつけたパプリカに、ズッキーニを刺した串焼き用お肉。


「……これは色とりどりで美味しそうですね」


 串を渡せばまじまじと見て言う。


「美味しいと思いますよ!頑張って作りましたから!

 とりあえず食料は貴重なんで今日は1本ずつ食べましょう。

 今から焼きますね!あ、そういえばセルヴァさん」


「はい?」


「氷魔法とか使えますか?」


「ええ、初歩のものなら」


「よかった、余った分は凍らせられますね、これで何日かはもちますね!」


 と、私が微笑めば、セルヴァさんが「あ、はい」と間の抜けた声をあげた。

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