国王様と話し合います
翌日、私は父と一緒に登城しました。
通されたのはいつもの勉強部屋では無く会議室、既に部屋には国王様がおられました。
私の顔を見るなり国王様は真っ青になり土下座をしました。
「レイラ嬢! 愚息が申し訳ない事をしたっ!!」
「あ、あの国王様、頭をお上げください」
「そうですぞ、一国の王が一貴族に頭を下げる所を見られたら王族の権威に係りますぞ。それに昨日散々したではないですか」
土下座させたんですか、お父様。
「儂も余りの事に気が動転してしもうて冷静さを欠けておった……。まずは座ってくれ」
国王様に言われて私達は席に着きました。
「改めてだが今回の件、本当にすまなかった。オシリスとの話し合いの後、アルスを問い詰めたら認めた。レイラ嬢が話を聞いて髪の毛を切った、と言うと顔面蒼白になっていた。『そんなつもりは無かった』と言っていたが正直信じられん……」
国王様は憔悴しきった顔で話してくれた。
アルス様曰く『自分を特別扱いしない男爵令嬢に段々と惹かれていった。悪い事だと思っていたが自分だけでは無く周りも男爵令嬢の虜になっていったから周りが見えなくなっていた』らしい。
「その男爵令嬢はひょっとしたら『魅了』を使っていたかもわかりませんな」
「今、諜報部に頼み調査を行っている。事の次第では厳罰をしなければならん」
因みにですがこの国には死刑制度がありません。
軽くて無償の慈善活動、重いのだと身分剥奪、国外追放です。
中には奴隷に落ちてしまう事もありますが、国は奴隷制度は数年前に撤廃しています。
あくまで『我が国』ですが、他の国の事は知りません。
「それで……、今回の件どのように対応されるおつもりですか?」
「調査の結果次第だが……、アルスは王太子を一時剥奪、再教育を施す事になる」
「それでは、私との婚約関係は……」
「白紙にするしかない……。レイラ嬢には本当に長年縛り付けて申し訳なかった」
改めて謝罪を受けた。
「まぁ、事が大きくなる前にわかった事だけは良かったですよ。他国では公の場で婚約破棄を一方的に宣言されるのが流行っているみたいですからな。そんな事になったら私はいつでも戦うつもりですよ」
「お主を敵に回したくないからなぁ、今後ともよろしく頼む」
こうして国王様との話し合いは終わった。