公爵様からのお願いです!
馬車は立派なお屋敷の前に停まります。ここが、公爵家のようですね。…さすが、我が家より一回り大きい。
「すみません、フィーナ・ミトセンさんですよね?」
門の前で馬車から降りるとそこにいたメイドにそう聞かれた。
「そうですけど?」
「私は案内役です。取り合えず、旦那様がおよびですのでついてきてください。」
「分かりました。」
私はそう言い、ついていきます。
コンコンッ!
「旦那様、新しく入るメイドのフィーナ・ミトセンをつれて参りました。」
「入れ。」
「失礼いたします。」
公爵様は、なかなかダンディーな顔ですね。普通に格好いいです。
「フィーナ・ミトセンだな?」
「はい。新しくここに仕えるものです。どうぞ、よろしくお願いいたします。」
「ああ、私は君のことを知っているよ。優秀な子だってね。」
「そうですか。」
旦那様は私の本当の立場を知っているってことですね。…まぁ、知られていないと困るんですけど。
「君には我が娘の専属のメイドになってもらいたい。」
「…え?専属のメイドですか?」
「そうだ。今、9歳で2年後には学園に入ると決まっているんだが、我が儘が酷くてな、それを直して欲しいんだ。」
「あの、何故私なのですか?」
「ああ、我が家のメイドは全て娘の専属のメイドに1回はなってもらったんだが、皆1週間位で変えさせてくれと言ってくる。それも、娘の我が儘が酷いと言う理由でな。」
「…そこまでなのですか。」
公爵の娘ってそんなに我が儘なんですか!?前世の小説ではよくあることですけど、現実になってほしくないことですよ。
「そんな理由で困ってるんだ。我が家の娘の専属のメイドになれるくらいの者たちはどうしても年が離れてしまうしな。頼まれてくれんか?」
「分かりました。ご期待に添えるように頑張らせていただきます。」
「頼むよ。早速、さっきのメイドに案内させるから娘に会ってきなさい。ああ、仕事は明日からで良いぞ。」
「分かりました。では、失礼いたします。」
…何で、いきなり公爵令嬢の専属のメイドになるんですか~!いや、楽しみですけどね?この家のメイドさん達が我が儘が酷過ぎてやめるってどんだけだよ!って思うわけです。
明日の私は生きているでしょうか?
そんなことを思いつつ案内役のメイドについていきました。すると、1つのドアの前でとまります。
「私はここまでです。」
「一緒に中に入らないのですか?」
「ええ、お嬢様が私に入るなとおっしゃったので入ることはできないのです。」
「…そうですか。」
「頑張ってくださいね。」
「はい、頑張ります。」
私はお嬢様がいる部屋をノックします。気分的には魔王とは言わないけど魔王の幹部に挑む勇者の感じです。