魔術師の城の王女(8)
少年はギムトスの方を向くと右手のドラゴンから火の塊を連続で放った。
「ン……(昼間の奴らだな。あの戦法は見抜いている。後ろの女を殺せば終わりだ)」
火の塊が大盾へ激しく当たり、爆発に似た轟音が鳴り響いた。
「ぐぬぬぬぬぬぬ」
ギムトスが衝撃に耐えて声を滲み出すと、その後ろで右指をパチンと鳴らす音が鳴った。上空のどこからともなく二羽のイーグルが速度を上げて飛んできた。一羽は中庭の中央へ向かい、レムを護るように周りを高速で回転し始めた。もう一羽は少年の方へ向かい、さらに速度を上げた。
「ン……(向かってくる鳥はお見通しだ。俺の千里眼は遠く離れた場所からでも、どんな速度で来ようと必ず見切る)」
イーグルは少年の斜め後ろから、目に見えないほどの速度で少年の体を横切った。一瞬の間があった後、少年の背中から一筋の血が流れた。
「ン……(寸前で確かに直撃を避けたはずだが。ん、そうか。これは真空波だ)」
イーグルは横切る瞬間に翼から真空波を出して、少年の身を切り裂いていた。傷を負った少年は背中を鱗のような皮膚へと変化させると、見る見るうちに傷口が塞がっていった。イーグルは少年へ向かって速度を上げて再び飛行してくる。




