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魔術師の城の王女(4)
突如、森の奥で物音を立てて何かが動いた。獣のような唸り声が聞こえる。レムとギムトスは後ろへ振り向き、その方向を警戒した。
重い足音と共に、木々の間の草むらから体長三メートルはある巨大な熊が姿を現した。鋭い目が赤く光っている。
「やはり、モンスターのお出ましですぞ。あれはウォーベアですじゃ!」
二人に向かってウォーベアは勢いをつけて走ってきている。
「守りなさい、ヤマアラシ!」
レムはギムトスにそう言い放つと、左手に杖を持ち、俯きながら目を瞑って召喚獣の詠唱を始めた。
「お嬢様!」
ギムトスはレムの前に立ち、大盾を構えて腰をかがめた。相手から見ると、太い体型の後ろに小柄の体型がすっぽりと隠れる状態になり、攻撃は届かない。レムを護る完全な盾となる。二人の場合はこのフロントガードという陣形で戦う事を基本にしている。
レムは杖の黒い宝石に右手をヒラヒラとさせながら早口で詠唱を続けている。