魔術師の城の王女(23)
「レオ。貴方、また隠れていたのね」
「だって、あんな大きなドラゴン勝てっこないよ。僕が出て行っても足手まといになるだけだし」
「逃げていてはダメ。いつまでたっても怖がって戦えなくなるわ。貴方は魔法を唱えて戦いなさい」
「でも……、あんな戦いの中でどのタイミングで、どの魔法を使えば分からないよ」
「それは全部実戦で覚えるものなの。魔術師でも召喚士でも詠唱する時間が必要なのだから戦況を先読みして、一種の“直観”で詠唱するの。貴方は実戦で直観を磨きなさい。それは誰かに教えてもらうものでもない、自分で身につけるものなの」
「……分かったよ。次、モンスターと戦うときは僕も一緒に戦うよ」
「ギムトスの後ろにいれば大丈夫だから」
「レオ王子、必ずお護り致しますぞ!」
ギムトスは自信を持って握り拳で胸を叩いた。
「ギムトス、私はまだまだ旅立つことができないわね」
レムは立ち上がり、父親の事を思うように遠い目をした。
暗闇だった夜空が微妙に明るい光を帯びてきた。一部が破壊された城壁や、焼けて黒焦げた中庭の木々、萎れてしまった無数の花で無残な中庭へと変わっていた。
「これから復旧作業ね」
「その前に誕生祭ですぞ、お嬢様はそれまでお休み下さい。儀式用のロングドレスの着付けもございますし」
「そうね、久しぶりのロングドレスね」
古城を緩やかな風が駆け抜けてレムの髪がサラサラと揺れた。
第一章 終了




