魔術師の城の王女(16)
強烈な雪嵐のブレスは未だ続いている。
「これでは一歩も動けぬ……。お嬢様!このままでは……」
大盾にも雪が積もり、地面と接して凍りついた。
「……(あと十秒だけ待って)」
レムは表情を歪ませながら、右手と左手で詠唱を続けている。早口で詠唱を続けているため、口の中を切ったのか、口から一筋の血を流した。
「……(これで……)」
レムは右指をパチンと鳴らした。突如、夜空から四メートルほどの巨大な岩が降ってきた。凍りついた水石ゴーレムの前の地面に突き刺さると地震のように縦に揺れた。
巨大な岩は中心から赤い光を放つと、鈍い音を立てながら動き出した。岩が擦れる音を立てながら、人のような形の岩へと姿を変え、ゆっくりと立ち上がった。
「ン……(またゴーレムか。同じものを召喚したところで何になる。ん?)」
人のような形の岩は、両手を押さえるように力を込めると、全身から炎が噴出し包み込んだ。
「火石のゴーレム?これは初めてじゃ。水石ゴーレムは湖底に数百年前から沈んでいる希少な属性封印岩と魔剤でお嬢様が創り出したもの。新しいゴーレムをいつの間に……、お嬢様」
レムは肩で息をしながら、杖の黒い宝石に左右の手を対照的にヒラヒラとさせて詠唱を続けている。




