魔術師の城の王女(15)
一番近くにいた水石ゴーレムはまともにブレスを受けて数秒で凍りついた。その後ろにいるギムトスは水石ゴーレムが盾になっているため、ブレスが軽減されたが、それでも大盾にブリザードを受けている。
「ぐぬぬぬぬぬぬ」
耳の垂れた小さな白いウサギは少しでも体力を回復させるため、ピョンピョンと跳ね続けていたが、寒さに耐えきれず姿を消してしまった。
レムはまだ詠唱を続けている。
周りの城壁は吹き付けられたブレスによって白い雪が積もり、硬く凍りつき始めた。先ほどまでの緑が溢れる木々と花が咲く中庭の風景が寒冷地域のように真っ白な氷の情景へと変わった。
「何としてでも耐えるのじゃ。ワシの盾が破られる訳にはいかんのじゃ!」
大盾の後ろで左指をパチンとする音が聴こえた。すると、茶色いリスがレムの頭の上にひょっこりと現れた。
「お嬢さん、もっと早く呼んでくれよ」
「……(そんな暇は無かったのよ。貴方を呼ぶとお喋りでうるさいから)」
「うるさいって言っても、僕の声はお嬢さんにしか聞こえないはずだろ」
「……(だから呼びたくなかったのよ)」
「それでも僕を呼んだって事は“アレ“を召喚つもり?」
「……(そうなるかもしれないから。もしそうなった時はお願いね)」
「了解! それにしても何と戦っているんだ? え! ドラゴンじゃん! 初めて見たぜ、すげぇーー!」
「……(うるさいわよ!黙って隠れてなさい!)」
「ういー」
茶色いリスはレムの後ろ髪に身を隠した。




