魔術師の城の王女(10)
砕けた炎の塊は四方八方に散らばり、城壁の内側に並んで植えられている背の高い木々にまで飛び散った。次第に木々から火が上がり、次から次へと炎が燃え移っていった。
「お嬢様! あぁ、城壁の木々が燃えてしまって!」
レムは杖の黒い宝石に右手をヒラヒラとさせながら、加えて左手もヒラヒラとさせ始めた。
「ン……(また詠唱してやがる。直接叩くか)」
少年は合体していた両手を分離させて、ドラゴンの頭から鉤爪へと形を変化させた。そして、ギムトスのいる場所へと駆け出して距離を一気に詰めた。
「来ますぞ! 何としてでも耐える」
ギムトスは大盾を深く身構え、相手の攻撃に備えた。少年は大きく振りかぶり、鉤爪を大盾に薙ぎ払ったが、透明な膜が先に切り裂かれた。
「ン……(こんなもので防いだのか)」
少年はもう一度振りかぶって大盾へと薙ぎ払った瞬間、大盾から無数の針が突き出した。しかし、無数の針は少年の鉤爪と竜の堅い鱗に負けてバリバリと折れてしまった。
「ン……(くだらない。竜の鱗にこんなものは通用しない)」
再び少年は鉤爪を大盾に薙ぎ払った。金属同士がぶつかるような高い音が何度も響いた。
「ぐぬぬぬぬぬぬ」
「ン……(こんな鋼鉄など一撃で切り裂くはずだが)」




