剣のみち
あぁーあ、しばらくヲッさんの愚痴が続くぞーアレ。
もうツラがウメボシみてーにしわくちゃだし。
なぁ小の川サン、アレがヲッさんの業前なんでぃ。
おんなじ道場で兄弟子って持ち上げてくれっけどさ、地稽古、、あぁ用はしないでのぶっ叩きあいだわな。ウチの流派だとよくやるんだわ。
正直、てんでかなわねぇの、オレっちじゃ。
ますデケぇってのが反則だわな、アレ。
んでそんで流石に5尺の竹刀なんてもんはねーけどさ、どっちにしたってあのクソじからだろ?
片手でそらおっそろしい音立ててブンブンやるんだわ、あら勝てねぇ。
あぁ、懐かしいねぇ。
もう十年にはなるかならないかか、ひょんなことから知り合って、んでヲッさんが良さげな道場を紹介してくれって頼まれてさ。
ウチとこ、まぁ今時流行りの直心影だな。見学させたのよ。
まぁ目ぇまんまるにして驚いてたわ。
んで試しに胴だけ貸して打ち込み稽古させてみたの
これは良い。
剣の道とはこれほど楽しいものだったか、って。
あぁこの棒もウチの道場のヤツ。
オレっちじゃ普通に百振ったら汗だくになるコレ、ヲッさんにかかるとご覧の通りでさ。
コレ持ち出したのもまさかこんなん切り飛ばせるヤツなんかいやしまい、って感じで荒事になると良く持ち出すんだわ。
だからこんなギッタギタなの。
あぁ、そう。
"やっとう"が"楽しい"
アン時、ヲッさんはそう口にしたんだわ、いまでも覚えてる。
なんでそれまでにそう思えてなかったかって?
そう、"アノ面"よ。
ひと一人ぶった切って、今見てるヲッさんのあの、ツラ。
はじめてあった時、まさにあんなツラだったわ。
「衆に頼んで白刃を取り、権を傘に白刃を取るか!恥を知るならば最早問わぬ故取って帰れ!大莫迦者が!」
さっそくはじまっちまったい、ちょっくらなだめてくらぁ。