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大力大兵太兵衛どん  作者: 不覚庵
6/13

かかる次第

斬らねばならなくなった。


其れこそが最も避けるべき手段であった。


にもか関わらず、意気地を張った。いや張らせて拗らせてしまった。


相撲取りだっておとこ芸者と呼ばわれども、はだか一貫我の武勇を誇る者。


かたや追いすがるどこかの家の武家藩士。


武に依ってこそ家中を、藩を、国を纏める頂点の末席ならば。


やはり引けぬし意地も張る。



ヲッさんとしては甚だ迷惑極まりない事態である。


親分のような口調で言葉にしちまえば


「あのさー、相撲で勝った負けたで一々藩の名誉だ恥だって腰のモノに手をかけるような真似、相撲取ってる方"も"迷惑だろうに、お殿様達は権を傘に被せてくる。


たかが一代限りの扶持米で」


別段、正々堂々やりゃ良くて。

勝ったら一献揚げて褒めそやし

負けたら一献揚げて褒めそやし


それで良いじゃねぇか。


何で、切った張ったせにゃならん?




%%%%%%%%%%%%%


「上意に御座る故、護衛どの。お立会い願う。」


あ〜ぁ言わんこっちゃないとヲッさんのツラが一挙に曇る。


「ワシはあくまでもお家同士の争いとは無縁、相撲会所のたっての願いでここにある、そうお伝えなさるがよし、ここはようよう下がられよ。」


多分その筋じゃ引き下がるまいとは思ったが、更に重ねて尚曰く。


「よってワシの立場はどちへんなし。敢えて申さば小の川関に依って立つ。即ちどこのお家の者かはさて知らず、腰の者を小の川関に向けた不届者を叩きのめして返しただけの事、如何に?」


十間の間合いの向こうに相対し、左右の足を肩幅に開き正中を晒して問いに答え


「貴殿に挑んで打ち返された不心得者、情けなき事に我が流の弟子、理由の如何はさて置いて、斬られる事すら叶わぬ馬鹿者どもの尻拭い、さぶらいならば得心されよ」


即ち


「かかる次第において最早言葉を尽くされた、白刃によって問い答えあれ」


だから嫌なんだよ、こいつら。


人斬りの名分、押し売りしやがって。

谷風小野川両揃い、の相撲錦絵をググって色々見比べると


この時代の力士って東西砂かぶりに胡座をかいて勝負を検分するかのごとく土俵を向いてにらみ合い


中には砂かぶりに胡座かいた幕内力士がそれぞれ刀を抱いて睨んでる絵なんか見ちまうと、想像以上に剣呑なモノがあった模様であります。

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