白く消えて銀になる
先輩に彼女がいると知ってもうずいぶんたつ。
卒業するまであと少し
隣のあなたがたばこを吸う。
少し離れた隣のあなたがたばこを吸う。
うろ覚えの記憶を探って言う。
前に出た会話だ。
「彼女さん、たばことめないんですか?」
「とめられてるよ」
そういって煙を吐き出す。
私の気持ちもはき出され・・・
声にならなかった。
白い煙は黒い空によく映える。
白銀の街灯があなたを照らす。
「白い息がでるねぇ・・・寒いな」
「寒いです。」
「中いかなくていいのか?」
「どうでしょう。」
「酒よわいんだっけ?」
あなたの顔は赤い。
私の顔は多分白い。
お酒よりたばこのにおいが好きだと言ったら
あなたはどんな顔をするだろう?
「1本ください」
私は言う。小さな声で言う。
「おまえはやめとけ」
煙が吐き出される。
その煙は私がこのあと吐いた息よりも白かった。
その白は黒い空に消えていった。
白いライトに照らされながら消えていった。
「にごった白だなぁ・・・・心白いはずなのに」
あなたがつぶやく。
「白いんなら・・・」
白いなら、ずるいことしないでくださいよ・・・・・
先輩は、さっき私の耳元で煙をはいたあとにいった。
「おまえはだめだよ大切な後輩なんだから。」
やめとけっていってやめられるものじゃない。
分かっているくせに。
黒い空に白は映える
消えていった。私の気持ちは・・
行き場なんてたぶんなかった。
にごってた。白かったら・・・・
ここにいない。
「戻るか」
あなたはそに白いものを押しつぶした。
銀に白は映えた。
大学生によくある話です。
飲み会の途中で抜けたこと私はありません。
煙の白と
はくいきの息の白と
夜の空の黒と
灰皿の銀色と
街灯の白銀
男女の話です。
ちなみにたばこは・・・灰皿に捨てましょう。