詩『蕾』
右目が萌え出てきたのは
一昨日の落雷 稲妻
寒い夏の日
固く古い枝の先に
赤い蕾が五個
熱星が胸で光っていた
終わりだ
終わりだ
私の終わり
私は苗床
赤い蕾 いつ咲くのか
早く咲け
早く咲け
早く咲け
私は肥料
カリカリ
チッソ
燐燐燐
苛々する
苛々する
あげよう
いらないから
あげよう
欲しくないから
赤い五個の花
歪に咲き咲き
実は生る生る
実の皮
剥いたら
きっと中身は目玉
大きな目玉
果てから見てみろ
その時 私は死ぬ
底から見てみろ
その時 私は無い
死屍泪々と重なって行く
蟻塚のように
墓を作る時