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夜戦開始

「二○○六、ハウンド1から伝令、赤軍の索敵騎兵隊が哨戒網1を通過」

「二○○八、ハウンド2から伝令、青軍の第一歩兵隊、初期位置にて待機完了」


シャーリーが次々と報告されてくる各地の状況を伝えてくる。

非常に冷静な声だ。


今回は、赤軍、すなわち第三軍の指揮系統がばらばらであることは事前の調査で分かっているので、各個撃破を狙っていく。

また、敵兵士はなるべく殺さず、指揮官だけを狙い撃ちにする方針だ。

内戦だと、自国の兵士をお互いに消耗しあうだけで、他国を利することにつながり、介入をまねきやすくなる。


「伝令!赤軍歩兵隊本体が哨戒網2に達し次第、照明弾を投擲せよ!」


歩兵敵本体がまもなく照明弾の投射範囲に入るので、投擲の準備を指示する。

まぁ、照明弾などとかっこいい名前をつけているが、単に、火薬弾の光量と音量を大きくした特別弾だ。

邸内には、前々から準備していた投擲兵器がすでに固定されている。

そして、投擲兵器の照準は各エリアについて、すでに調整済みであるので、あとは、どのエリアに投げるかだけを指示すればよい。


と、まもなく哨戒網2と名づけたエリアに敵歩兵隊本体が侵入を開始したので、寸分の遅れなく、敵軍の頭上にて照明弾がさく裂する。


月明かりしかない夜間の暗闇をまばゆい明かりが光り輝き、轟音が鳴り響く。


敵側は、慌てふためき大混乱に陥っている。

まぁ、そりゃ、いきなりの奇襲だものな。

こちらの部隊は、当初から作っておいた、壕内に待機している。

相手側から夜間、視認することはきわめて困難だ。


「二○一八、ハウンド1から伝令、敵指揮官と思わしき旗を四十五度の位置に確認」

「二○一九、ハウンド2から伝令、同じく敵指揮官を百三十度の位置に確認」


こちらの偵察兵を複数所定の位置に配備しているので、それぞれからの報告で、おおよその敵指揮官の位置がわかるようになっている。


「二○二一、照明弾次弾射撃。併せて弓兵部隊四-四の地域へ集中射撃」


相手の指揮官の位置を報告から割り出し、間髪いれずに集中射撃を行う。


時刻どおりに照明弾があがり、目標地点近くの指揮官の旗印を視認できた。


と、同時に、その旗印が見えなくなるくらいの矢の雨が集中的に降り注ぐ。


しばらくすると、指揮官を失った敵軍が混乱し始め、怒声が大きくなっていく。


そりゃ、急に空が明るくなったり、大きな音が鳴り響いたり、指揮官が死ねば騒ぎたくもなるよなー。


そこで、駄目押し。


「歩兵隊前進!蹴散らせ!」


「‥‥‥」


壕内にて待機していた歩兵部隊に対して前進を指示。


歩兵隊の前線指揮官であるミリーが無言のまま、片手に一本ずつ、二本のハルバードを振り回しながら敵歩兵隊に突っ込んでいく。

彼女は夜目が聞くので、こういった夜戦ではめっぽう強い。

ミリーに続いて次々とジャスタン軍の将兵が雄たけびをあげながら第三軍に突っ込んでいく。


相手軍は混乱のために、組織だって抵抗ができず、散り散りになって後方へと逃げ出していく。


そこに、ちょうど、第三軍の予備として残っている後続の兵士がやってきて、大混乱に陥る。

こちらの兵が少ないと思って兵を小出しにしたのが間違いだな。


‥‥よし、そろそろとどめのタイミングだな。


「二○三○、弓兵部隊は視認できた赤軍騎兵部隊に対して射撃を開始。三分後、射撃を止めると同時に、騎兵隊は左翼から突撃せよ」


相手軍が混乱しているのをさらに大きくして、もはや組織的な抵抗をできなくした後、相手方騎兵が、自軍歩兵が壁となり、前に出てこれないタイミングで、前方の敵歩兵隊を蹴散らす。


これで、今回の戦いは終わりだな。


「よし。相手軍が潰走したタイミングで、陛下の救出に向かう騎兵部隊を編成する。歩兵隊は駐屯地にて待機。騎兵隊の半数は俺についてくるように。シャーリー、騎兵の選抜を任せる」


「承知しました。選抜隊の編制に入ります」


シャーリーは、髪の毛をたなびかせて、きびきびと部隊の選抜に向かっていった。

シャーリーは真面目に仕事をすると、有能なんだよなー、とふと思う。

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