7話:ファンタジックに説明 だから意味わかんねぇ by北斗
はい、そういうわけで今日は火曜日なんですね!
……すいません、キャラ壊れてました。
あらためて今日は火曜日。
そう、俺が遅刻する日だ。
ただ言っておきたいのはだな。
俺はいつも遅刻してるわけじゃないってことだ。
あくまで月に2.3回程度。
たまに行かないとマジ単位やべぇからな。
といっても俺は今家にいるわけで。
まぁ今月入って3回目だからまだ大丈夫。
そういえば夢で運命がどうとか言ってたな。
まだなんも起こっちゃいないけど。
さて朝の支度して、っと……
毎度おなじみ教室の前。
いつも心の準備しないと入れないからな。
ドアに手をかけ開ける。
すぐに構えた俺だったが予想外に何もとんでこない。
? 志摩さん今日休みか?
「おおっ、生島。
やっと来たか」
俺の予想は外れたわけだが……
なんでそんな志摩さん笑顔?
「早く入れ。
え〜、みんなに紹介する。生島北斗君だ」
はい? 意味が分からねえ。
「志摩さん?
何言ってんの?」
「転校生が来たんだ」
なるほど。
で、なんで俺を紹介する?
「さぁ、生島。
自己紹介だ」
「はぁ? なんで俺がそんな
「やれ」」
うっわ、いつもより3割増し怖ええ。
「い、生島北斗です」
あ〜これいつもよりつらいわ。
みんなクスクス笑ってるし。
まぁそら自己紹介ってのは転校生がするもんで、こっち側は個人での紹介が普通だからな。
「生島に質問あるか〜?」
ふっ、甘いな志摩さん。 今どきの子はシャイだから自ら手を挙げることは……
「「「はい! はい!」」」
……元気爆発じゃねぇか。
てめぇら小学生のノリだぞ。
くそったれ。
こうなったら全てに応えてやる。
「好きな食べ物は?」
「ご飯に合うもの」
「好きな歌手は?」
「いません。適当にいい歌を聞いてます」
「趣味は?」
「体動かすこと」
「好きな女性のタイプは?」
「明るい、優しいやつ」
「姫をなんで好き?」
「明るいし、いつも笑顔だからな」
……ん?
最後の質問なんだぁぁ!
思わず応えちまったじゃねぇか!
質問したやつは……
姫、貴様か。
「誕生日は?」
まだ続くのか?
「10月 10日だ」
「好きな場所は?」
「静かなとこ」
「自分を動物に表すとしたら?」
……なんだこの質問?
「え〜と、ヒョウ」
「Can you play カバディ? (カバディできますか?)」
「No I can't (いいえ、できません)」
誰だぁ! 英語で質問したやつ。
思わず英語で応えちまったじゃねぇか!
質問したやつは……
げ。
日曜にいた変な外人だ。
「志摩さん、転校生ってもしかして……」
「ん? おぉ。
そこにいる金髪と、あっちにいる黒ロングだぞ」
わぁ、なんかいろいろ予想してたけどほんとに俺のクラスに日曜の騒動の原因2人が転校してきやがった。
「はぁ」
「ん? そんなにショックだったか?」
「はい」
ここは素直に応えとこう。
「そうかそうか。
ならもういいぞ。
それと……」
俺にボソッと言う志摩さん。
「昼休み始まったらすぐに屋上に来い」
うん、この学校の屋上って閉鎖されてるはずなんだけど。
「ありゃ?
北っくんも呼ばれたの?」
昼休み。
すぐに屋上に上がった俺は姫とあった。
その口ぶりだと姫も呼ばれたらしいな。
「嫌な予感」
「ねぇねぇ、それより北っくん〜」
なんだ?
姫のやつ今日は激しくまとわりついてくるな。
いつもは腕なんだが今日は首だ。
「なんだ? うっとうしい」
「えへへ〜。
今日の自己紹介のことおぼえてる?」
「そらまぁ、30分ほどしか経ってないからな。 なんでだ?」
「んじゃあ私の質問もおぼえてる?」
……そこ来たか。
「まぁ、おぼえてるっちゃあ、おぼえてるな」
「にゃは〜。
北っくんは〜私の笑顔が好きなんだよね〜♪」
満面の笑顔で言う姫。
……やばい。
かなり恥ずい。
思わず顔をそむけてしまう。
「あっれ〜?
どうしたのかなぁ〜?」
そむけた先に顔をのぞかせる姫。
近いって。
つぅか誰か助けてくれ。
「生島ァ!!」
初めて志摩さんが神に見えましたぁ!
助かった。
志摩さんは転校生2人を引きずってきた。
……なんで引きずってんの?
「あぁ、それはな」
あ、口に出てた。
「2人とも私が呼んだんだがこっちの金髪は学校の中うろちょろしながら『OH!ニホンノブンカハスバラシイデース!』とかほざいてて、 こっちのアホロンゲは女口説いてたから殴って連れてきた」
バカばっかじゃねぇか。
「んで志摩さん、いったい何の用?」
「あぁ、その前にだな……活!」
志摩さんはなんかよくわからんが気合いで2人を起こした。
「こいつら2人に自己紹介してもらう。お前まだ知らないだろ?
一回会ったらしいが」
それはあんたのせいだけどな。
……いや、遅れた俺が悪いんか。
つぅかなんで一回会ったって知ってんだ?
「じゃあまずアホロンゲから」
「アホロンゲって……。 まぁ俺は水橋 望、 槍の担い手だ。 それより姫さんから離れろ!」
そういえば姫がひっついてるの忘れてた。
まぁ俺が悪いわけじゃないと思うのだが。
「いや!!」
なんで拒む? 姫よ
「くっ、貴様ごときが」
俺ごときがなんだよ?
たしかにあんたイケメンですけどね!
背も高いし。
俺が174だからあいつは大体180ちょいだな。
「はい、もうそんなの後々! 次!」
「ワターシ
「それもういい」」
「……私の名前は良平・T・マグズカルトです。父がアメリカ人なのでハーフです。5才で日本に来て、つい最近までアメリカに留学してました」
……複雑だな。
「あ、ちなみに銃の担い手です」
「なぁ、志摩さん。さっきから言ってる担い手ってなんなんだよ?」
「それを話すために呼んだんだ。
まずお前、私が大財閥の1人娘だってことは知ってるな?」
……は?
「ごめん志摩さん。もう一回言って」
「だから大財閥の1人娘だ」
………………
「「ええぇええ!!?」」
見事にハモった俺と姫。
つぅか、え? マジ?
初耳なんだが……
「知らなかったのか? まぁいい。
それでその刀の経緯を調べたんだ。
いきなり落ちてきたんで気になったからな」
志摩さんはそこで一息ついた。
「どこから出てきたのかは分からなかったが、その刀と同じように空から落ちてきたという目撃情報があった。
それでそこの2人が情報の中心だったからここに呼び寄せたんだ」
なるほどね。
まぁわかるようなわからないような。
担い手ってつまりその武器に取り憑かれた奴のことなんだな。
「分かった。
でもなんで姫も?」
「あぁ、新島も刀について深く関わったようだからな」
あんま関わってないような気もするが。
「まぁあまり詳しいことは分かってないがな」
つまり現状で分かってるのは武器の種類が3つってことだけか。
あ、あと誰かがこれを狙ってるってことだな。
あの気持ち悪いのを送り込んでくる奴らが。
『キシャアァアァ』
そうそう、こういうのが……って嘘ぉ!?
「こんなとこまで」
場所選べよ。場所!
「ちっ、姫下がってろ」
相手の数は3か。
こっちの担い手の数を知っているようだな。
ってことは相手もかなり大企業のようだな。
「行くぞ! 良平」
水橋はそう言って走りだす。
俺忘れられてないか?
「ちょっと待て!
俺もいく!」
自己主張してみる。
「黙って見とけ。
まだ2つ目を『教え』てもらってもないやつは邪魔だ!」
なんだ?
『教え』?
「ちっ、なにも知らないようだな。
ならば……」
水橋は化け物の攻撃をくぐり抜け槍を刺した。
そして叫ぶ。
「燃え盛れ!」
すると槍の穂先から炎をあげて化け物を焼き尽くした。
……すげぇ。
「こっちも負けてられませんね!」
今度は良平が銃を構えて叫ぶ。
「水の包容!」
銃身から飛び出したそれは化け物に当たると同時に水が広がり球状になり化け物を囲った。
そしてもう一度叫ぶ。
「鉄砲水!」
銃から勢いの強い水が何度も発射される。
化け物は蜂の巣になり果てた。
すげぇ。
でももう一匹は?
「絶対破滅拳!」
もう一匹はまた名前の変わった志摩さんの技で消えた。
……マジで消えた。
「ふっひゃあ。
みんなすごいね!」
奇妙な声を上げる姫。
だがまぁすごいな。
俺もこのままじゃな。
……って決めてみるけど俺何すりゃいいんだ?
「おい! 生島」
水橋から声がかかる。
「貴様せめて2つ目は使えるようになれ。でないと姫さんを守れないぞ」
だから2つ目って何?
……まぁたしかにこのままじゃ姫を守れねぇな。
なんとかしねぇと。
そう決意した日だった。