3話:化け物倒そう〜いじめられ仲間が出来た日〜
あ〜眠い。
結局昨日は姫の家で徹夜で遊びまくったからな。
「生島ァ、朝から居眠りたぁいい度胸じゃねぇか」
「志摩さん、今日は勘弁してくれ」
「ほぉ、ならばもうとやかく言わねえよ」
マジ!?
「あぁ、あそこで寝てる奴と一緒に廊下に立ってな」
廊下って…
どんだけ古いんだよ。
「さっさと行け」
「へ、へいっ」
もう下っ端でいいよ。
で、まぁ今廊下に立っているわけで。
ご丁寧にバケツまで持たされて。
徹夜したから力入んねえし結構重い。
「うぅ…重い〜」
隣では一緒に徹夜した姫が悲鳴をあげてる。
姫が悲鳴…
…プッ
「北っくん…オヤジギャグだよ」
口に出してたか。
「それより北っくん、その刀は何?
昨日から気になってるんだけど」
あぁ、言い忘れてたがまだ刀は腰にある。
まぁそのうち銃刀法違反で捕まるかもな。
はずれねぇから仕方ねぇんだが…
風呂に入る時は外れたな。
服着たら知らん間に付いてたけど。
まぁ猥褻物陳列罪で捕まる方がイヤだからな。
「北斗?
なにぼおっとしてるの?」
「ん?あぁ悪い。
つぅか前から気になってたんだが
なんでお前たまに北斗って呼ぶんだ?
いつもは北っくんって呼ぶのに」
「気分!
特に意味はないよ」
そうですか。
「で、北っくん…その刀は?」
「あぁ、気にするな。
護身用だ」
一番もっともらしい理由を言ってみる。
「北っくん…そこまで私のことを」
「は?」
何言ってんだこいつ。
「私が暴漢に襲われたときのためじゃないの?」
まぁいつも一緒にいるようなもんだからな。
だが…
「勘違いするなバカ。
なんでお前のために法律まで破って剣なんか持つんだよ」
うん、守るだけなら武器いらねぇからな。
「むぅ…そか。
んじゃ
「生島ァ」」
やべっ、志摩さんだ。
SHR終わったのか。
「貴様罰を受ける身でありながら女とイチャこくとはどういう了見だ?あぁ!?」
イチャこくって久々に聞いたな。
しかしどうしよ。
またいじめモード入ったらなぁ。
今日はやばいからな。
…そういえば
「志〜摩さん。
昨日あの後どこ行ったんすかぁ?」
『伏線』の話を持ち出す。
絶対焦るはずだよな。
「何言ってんだ?
昨日はすぐ帰ってねたぞ?」
予想外に即答されたよ。
…プロだな
「またぁ、どっか行って秘密の報告してたんじゃないんすか?」
もうちょっとカマかけてみる。
「本当に何言ってんだ?
お前。
私は昨日『絶対滅殺拳』を使ったせいでSPがなくなったんだ」
…技名変わってますよ。
つぅか
「SPって何?」
「スキルポイントだ」
どこのRPGだよ!
「…そうですか」
結局俺の『伏線』説ははずれだったわけだな。
「それよりだな、貴様らはまだ反省が足りんようだ。
もう少し罰を与えてやるぞ。喜べ」
俺らはどこのMですか?
「わ、わぁ〜い」
いちいち付き合わなくていいぞ姫。
しかももろ棒読みだぞ。
「ふん、付いて来い」
「「へいっ」」
姫も下っ端みたいになってきたな。
え〜と、ここどこよ?
普通学校の課題って補習室とかでやるもんじゃないの?
「志摩さん、何故に学校出て登山しなければならないのですか?」
「じき分かる」じき分かるって…
もう頂上着いたぜ?
「ふむ、ここならいいだろう」
何がですか?
「出てこい。
そこにいるのは分かっている」
…志摩さん、ついに壊れたか
『キシャァアァァ』
キャァァ!
悪・夢・再・臨
また出てきた。
あの気持ち悪いの。
でも前とちょっと違う。
眼球はちゃんとあるし。
筋肉がすごい。
まぁ気持ち悪いことに変わりないが。
「ふん、貴様の気を感じたからな。
人目につかない所までわざわざ来てやったぞ」
気、って…
志摩さん、あんた何者?
『キシャァアァァ』
「そうか、なるほどな。だが何故だ?」
…もしかして化け物と会話してます?
『キシャァアァァ』
「そうか」
やっぱしてるよな。
『キシャァアァァ』
「来るぞ!
構えろ!」
…でなんであんたは脇によける?
「これは罰だからな。
私がいったら意味がない」
「…」
まぁ唖然とする他ないよな。
こんな化け物と闘うのが罰だなんて。
『キシャァアァァ』
やばっ、来た。
って姫の存在忘れてたぁ。
化け物は姫の方へ向かう。
「へ?」
姫は突然の出来事に身動きとれない。やばい。
「受け取れぇ」
志摩さんが姫に向けて長刀を投げた。
…絶対志摩さんって姫の名前知らないよな。
姫は長刀を受け取ると爪を繰り出してきた化け物をうまく受け流した。
姫ってなぎなためっちゃ強いんだったよな。
「生島ァ、ぼぉっとするな。
あいつは木製だから防御しか出来ねぇ。お前が片付けろ」
…やっぱ名前知らねぇな。うん。
お、化け物がこっち来た。
しゃあねぇ
俺は爪を繰り出してきた(めっちゃワンパターンだな)化け物を軽く避けて剣撃を与える。
スパッ
ぬおっ、めっちゃ切れ味いいじゃん。
軽く斬ったつもりなのに相手の片腕と片翼がバッサリ斬れた。
『キシャァアァァ』
うんうん。
痛いだろ、さすがに
終わらせてやるよ。その苦痛。
俺はスッとふところに入り袈裟掛け(けさがけ)に斬った。
『キシャァアァァ』
化け物は断末魔の悲鳴をあげて逝った。
「ところで志摩さん。
化け物と何話してたの?」
下山しながら聞く。
「ん?
生島を狙う理由を聞いたんだ」
「へぇ、なんて?」
「なんでもその剣は遺跡で発見されて大層貴重なものらしい。
んでそれを取り返しに来たってわけだ」
「なるほど」
正直嘘だと思うよ。まず送り込まれるくらいの下っ端が詳しい事情知るとは思えねぇし、
大事なものなら武力行使する必要がない。
おそらく送り込んだ奴は剣の特性を知っているんだろ。
持ち主から離れないって特性を…
まぁなんにせよ今は気にしてもしゃあねぇ。
それより…
「志摩さん、姫の名前知らないでしょ?」
「ギクッ」
…たまに志摩さんって古いよな。
「本当ですか?
先生?」
姫が問い詰める。
「知ってるさ… 新島姫子だろ?」
お?知ってんだ。
「じゃあなんで名前よばねぇの?」
「なんか、恥ずかしいんだよ。
女の名前呼ぶの」
なんじゃそりゃ?
「なんでですかぁ?」
姫が聞く。
「私はほとんど男とつるんでたからな」
たしか学生時代は不良集団の頭だったっけな。
まぁ分かる気がする。
「と、とりあえず帰るぞ」
お〜お〜
めっちゃ慌てちゃって。
「志摩先生って結構かわいいね」
ボソッと俺だけに言う姫。
「あ、あぁ」
かわいいって…
「おぉい!
生島ァ、新島ァ。
早く来い」
「「へ、へいっ」」
なんとなくだけどこれからは姫も一緒にいじめられるんだろなぁと思った。
まだ不慣れなため文章がおかしいところもありますが、多めにみてやってください。