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2話:今日の天気は剣のち化け物

え〜と…これはいじめなんじゃないのか?



「どうした?生島。お前なら楽勝だろ?私の授業に遅刻するくらいなんだから」


やばい、完全に根に持ってやがる。



状況を整理しよう。


俺のまわりには胴着と竹刀を武装した剣道部員10人。



対して俺は竹刀のみ。



「先生、俺死ぬと思います」



一応抗議してみる。


「大丈夫だ」



あぁそうですか。分かってましたよ。許してもらえないくらい。



つぅかその根拠のない自信はなんなんだ?



「悪いな、生島。本気でかからないと俺達がやばいからな」


目の前の奴(名前知らねぇ)がなんかほざいてやがる。



腰抜けどもが。その言葉は精いっぱい抵抗してからいいやがれ。



「んだと。腰抜けだと?

上等じゃこら」



…口にでてたみたいだな。

やばい、みんな殺気立ってる。



…しゃあねぇか







「おお、また志摩先生が生島に無茶さしてんな」



脇役剣道部員(略して脇剣)がつぶやいた。



「先輩、どうしたんすか?」



新入剣道部員(略して新剣)が聞いた。



脇剣

「ああ、志摩先生は生島鍛えんの好きなんだ」



新剣

「えぇ!?あれどうみてもいじめじゃないですか」



脇剣

「いや、見慣れたもんだぞ。

剣道部の風物詩みたいなもんだ」



新剣

「でもあれだと生島先輩死ぬでしょ?」


脇剣

「いや、あいつ見てみ。余裕だぞ」

新剣

「うわっ、攻撃全部避けてる」



脇剣

「あいつ試合とかでも相手の剣を全て避けて勝ってんだ」



新剣

「滅茶苦茶じゃないですか」



脇剣

「だから志摩先生の目に留まったんだろ。

あれで剣道経験1年半だから驚きだぜ」


新剣

「1年半!?

ほんと滅茶苦茶ですね。

でもちっとも有名じゃないみたいですけど」



脇剣

「あいつは大会とか出ないんだ。

志摩先生にとめられてて。多分有名になるといじめにくくなるからじゃないかな」



新剣

「今いじめって言っちゃいましたよね?

でもすごい才能ですね」



脇剣

「あぁ、俺もうらやましいよ。

オマケに主人公だし…俺なんか名前すらないのに」



田中

「しょうがないですよ先輩」



脇剣

「うるせぇ!!つぅかお前なんでいきなり名前付いたんだよ。

うらやましすぎるぞ新入部員のくせして」



田中

「おそらくきまぐれによるものかと。

でもこんなありふれた名前嬉しくないですよ!」



山田川

「それでもうらやましいんだよ!」



田中

「あ、先輩名前付きましたよ。

よかったですね」



山田川

「おわマジだ!

つぅかうれしくねぇんだよ。なんだよ山田川って。

なんで微妙にありそうでなさそうなんだよ!

つぅか何!?

山田と山川が混ざったのか!?

つぅか…



北斗

「うるせぇぇぇぇ!!!!」


すぱぁぁぁん







ったく、いつまでしてんだ?


あんな出来の悪いショートコント。


あまりにも長いからしばいたけどな。


って、その年でヅラかよ。

何があったんだ?

あの先輩。



「生島ァ、よくやった。次のいじ…練習に移るぞ」



いま確実にいじめって言おうとしましたよね。



「はぁい」



「素直でよろしい。んじゃ次はこのこんにゃくで…」


ずどぉぉぉぉん!!


こんにゃくで何をするか非常に気になったがその説明はいきなり空から落ちてきた光の爆音でかき消された。俺達が練習していた場所のど真ん中に落ちてきた光。


光がはれるとそこには剣があった。


…って剣!?

なんで空から?



「なんだ?どうしたぁ?」



志摩さんが現状確認のため声をあげた。


「せ、先生!

剣が降ってきました」



応えたのは新入部員の…田中だっけか?


「剣だぁ!?」



まぁ驚く気持ちも分かるよ、志摩さん。

剣が降ってくるなんてどこのファンタジーなんだよ。



「おしっ生島行くぞ」



「へいっ」



おもわず下っ端の返事をしちまった。




剣のまわりはすでに野次馬でいっぱいだった。


よく見ると姫の姿もあるな。あいつはなぎなた部だっけか。


「どいたどいた」



群がる生徒を押しのけ進む志摩さん。


付いていく俺。


なんかマジ下っ端みたいだぜ。



「これか…」



剣は床に深々と刺さっていた。

刀身は太い。

あれは…大剣っていうのか?



「くっ、生島手伝え。抜けん」



志摩さん、あんたなんでそんな怪しさマックスのもんいきなり抜こうとするんだ?



「生島ァ、速く手伝え」



「へ、へいっ」



…マジ下っ端だよ俺。どれどれ。



「よっ、と。

んだよ結構軽いじゃん」



軽々と抜いた俺を驚愕の表情で見る志摩さん。

そんな驚かなくても。



「お前、すごいな」


「たしかに重いけどなんとかいけますよ」



「お前もついに私を抜いたか。悲しいなぁ。子どもが巣立つのをみるのは」



俺がいつあんたの子どもになったんだ?


滅茶苦茶言ってる志摩さんほっといて、っと。


しっかし結構重いな。

こりゃ振り回すのに力いるわ。

まぁそんな心配いらんだろうけど。

これどうしよ?



ずどぉぉぉぉん!!


またなんか落ちてきたよ。

もういいって。



『キシャァアァァ』


…え〜とものすごいエグいのがこっち見てるんですけど。

何?

翼はえてるよ?

眼球ないよ?

爪異様に長いよ?

つぅか人間じゃないよ?



ってこっち来たぁぁ。



ガキン



俺はとっさに剣の刀身で爪を防いだ。


うわっ、すごい力。これやっべえ。



ドンっ!



急に気持ち悪いのが視界から消えた。


ナイス、志摩さん。


志摩さんが気持ち悪いのをぶっ飛ばした。


まぁそれに巻き込まれた生徒に関してはご愁傷様だな。「生島ァ、何してる。

あんな奴お前なら楽勝だろ?」



会って1分たってない未知の生物の力量なんてわからないだろがぁ!

どっからそんな自信が出てくる?


しかし…

「重いんすよ、これ振り回すだけでも精いっぱい」



「んなもんなんとかなるだろ?

どうにか…くっ」



復活した未知の生物が志摩さんに襲いかかった。


志摩さんは軽くガードして体制を立て直した。


あの人剣道部顧問のくせに素手がやたら強いんだよな。


しかし…どうにかならんのかこれ?

重すぎ。



「重いんだよ、バカ。軽くなりやがれ」


やけになって言ってみる。

すると剣はパキパキッと音を立てて形を変えた。




刀に




おぉ、言ってみるもんだな。

よし、これで…



「志摩さん!加勢しま…って、ええっ!?」



マジで?

こっから俺の見せ場なのに。

なんでもう倒してんのさ?

なんで跡形も残ってないのさ?



「遅いぞ、生島。奴はもう私の『絶対消滅拳』で果てたぞ」


何?

その子どもが考えそうなシンプルな名前

つぅかマジ果てたな。

跡形無く…どうやったら素手で消滅なんてさせられるんだ? 「私だからだ」



どっかで聞いたことあるセリフだな。

つぅかまた口に出してたな。



「それよりいいじゃないか。その刀」



「そおっすね」



見せ場取られたから若干不機嫌な俺。


しかし見事な刀だ。俺は鑑定士じゃないけどこの刀はすごい。



曇りひとつないその真っ白な刀身に対照的な真っ黒の柄。

おっと、鞘もあるのか。

これも真っ黒だ。



俺は慎重に刀を鞘におさめる。


ん?

刀身に文字が



『初撃を放つは斬れる万物』



どういう意味だ?


まぁ今気にしても仕方ない。

とりあえず今は事態を治めなくては。

…ってもうほとんど誰もいねぇじゃん。どんだけ飽きっぽいんだ?

うちの学校の奴らは。



「生島ァ、今日はとりあえず上がりだ。もう帰っていいぞ」


お?

珍しいこともあるもんだ。



「はい」



ここは素直に返事しとくに限る。



剣は…とりあえず持って帰るか。




「おっ、姫。お前も上がりか?」



「うん、北斗。一緒に帰ろ!」



「おう」



後ろから負のオーラを感じたが別にいいか。



どうせファンクラブだろ。




「ねぇ、北っくん。

さっきの…」



姫がおずおずと聞いてくる。

まぁ気になるわな。


「あぁ、あれは気にするな。多分夢かなんかだろ」



言い訳にしてはおかしいぞ俺。

夢って…



「そうじゃなくて…志摩先生が」



「ん?

志摩さんが?」



「あの化け物が先生を叩いた途端先生がキレて、そっから一瞬で化け物消えちゃって。

私先生の方が怖かった」



た、たしかにそれは怖いな…



「まぁそれも気にするな」



「う、うん。

そぉだ北っくん!

久しぶりに晩御飯食べてく?」



「マジで!?」



1人暮らしの俺にとって願ってもないことでだ。



「う、うん。

今日両親いないし」


マジで!?


落ち着け。

いいか?

今のセリフにラブコメ要素はないぞ。

たとえ姫がうつむいて顔を赤らめていても。


俺はそんな方向には…


うん、まず付き合ってないし。



「どしたの?

そんなに悩んで。

今日は従姉妹も来てるからみんなで遊ば!!

今日は寝かせないぞ!」



発言の最初と最後だけ聞くとやばいな…つぅか悩んだ俺がバカみたい。



「んじゃいこっ!」


「おう」



この時あんな騒動に巻き込まれるとは…

まぁ思ってたよ。

刀もしっかり腰にあったし。


にしても志摩さん今日変だったな。

いつもならあそこでまだ続けるって言いかねないんだが…



はっ!

もしかして伏線ってやつか?

実は志摩さんは敵のスパイでっていう展開か?

明日聞いてみよ♪







「社長、先ほど1802に追跡Gの生体反応が途絶えました」



都会のとある一角。65階の高層ビルの最上階に椅子に座った影と立った影があった。



「ふむ。おそらく他の2ヶ所もそのうち途絶えるはずだ。

今度は戦闘Gを送れ」



「しかしもう残り数があまり…」



「それに関しては大丈夫だ。

バイオテクノロジーを少し応用すれば量産可能とパソコンが叩き出した」



「わかりました。

では早速手配します」



そして立った影が消えた。



「ふぅ、もうすぐ迎えに行けるよ。妃奈」

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