22話:メイドって実はメードらしいよ
「北っくん、もう大丈夫だよ!」
俺が部屋を出て10分弱が経った。
その間はぼぉっとしてたわけだけどね。
「どうだ? 落ち着いたか?」
「うん、大丈夫。
ミオちゃんも大分落ち着いたよ!」
こいつ、もう仲良くなったのか。
まぁ、これも一種の才能だよな。
中に入ると静かに座っている姫と姫さん。
「あの……紛らわしいので私のことはミオでいいです」
おっと、口に出てたか。
たしかに紛らわしかったな、うん。
「じゃあ、ミオ。
とりあえずさっき言った意味を教えてくれ」
仲間に入れてくれってな……
「はい。
私は知っての通り、この魔法都市の魔法城城主の娘。つまり姫になります。
幼いころからの様々な貴族のたしなみを勉強してきました。
でも私は正直嫌だったんです。
普通に町の子達と遊びたかった……
その希望は今になっても変わりません。
だからあなた達の仲間に入りたいんです」
長台詞ご苦労様、ミオ。
しかしなんつぅか俺には分からん悩みだな。
そういう生活をしないと平民には分からんだろう悩みだ。
「でもなんで俺達なんだ?」
「それは、うちのメイドの方々がなんていうか武道派な方達ばかりなんです」
出たメイド!!
「どういう意味だ?」
いまいち関連性が分からん。
「今までも町の女の子達と何回か逃走を企てたんですが……全て阻止されて」
要は逃げられなかったんだな。
「で、なんで俺達?」
「武道家大会に優勝した方々ならうちのメイドからも逃げられると思ったからです」
そういうことか……
ん?
「なんで今までその手を使わなかったんだ? 別に俺より強いやつもいっぱいいただろ?」
「それは……その。今までの優勝者の方はむさいというか……近づくだけで妊娠しそうな方ばかりだったんです」
な、なるほど。
つぅかよくそんな言葉知ってたな。
「それにあなたなら、私のその……」
もじもじしながらなんか言っているミオ。
?
「なるほどねぇ〜」
何に納得したんだ?姫。
「まぁ、俺は別になんでもいいが……
正直中途半端な気持ちじゃ危ないかはついてきてもらいたくないんだが」
黒甲冑みたいなのがまだいるかもしれないからな……
「私は……別に生半可な覚悟ではありません。
足手まといにはなりません!
こうみえて回復魔法の腕は一流なんで すよ」
そういえばこの世界って魔法ってものがあるんだよな。
「俺は別に構わないと思うが……姫は?」
「私は全然いいよ! 女の子増えるのは嬉しいし」
「あとは志摩さん達だな」
あ、思い出した瞬間背筋に寒気が……
俺どうなるだろ?
「そういえば、皆さんはどこに行かれるのですか?」
あ、俺達って異世界から来てたんだよな。
とりあえず俺達の旅の一部始終をミオに教えた。
「世にも奇妙な話ですね」
まぁ、自分で信じらんねぇからな。
「とりあえず志摩さん達が終わるまでのんびりしようぜ」
さすがに置いていったらマジ殺されるからな。
その時、俺達の部屋がノックされた。
「お? もう終わったのか、志摩さん達」
俺はドアを開けた。
…………え〜と
一言で表すならメイドがいた。
俺はそっち方面に疎いから描写出来ねぇが、一般的なメイドと思ってくれ。
「お休みのところすみません。こちらにうちの脱走した姫様がいると通報がありましたので」
ニッコリと、所々表現がおかしい言葉を言うメイドさん。
黒い髪が眩しいです。
「そんな人いませんよ。誤報じゃないんですか?」
「では、失礼ですがお部屋を探索さしてもらいます」
そういって俺の肩をつかみどかせようとするメイドさん。
ちょ、力強いって。
その細腕からは考えられない力だ。
まぁ、さすがに負けてられないけど……
抵抗したら怪しまれるし、な。
「どうしたの?」
お、姫が出てきた。
「こいつと間違えたんじゃないんですか?」
姫を指さし言った。
メイドさんは少し目を見開く。
「たしかにそうかもしれませんが……
何故あなた達は姫様の顔が分かったんです? この町の方ならともかく旅人のあなた達が」
この人するどい。
そして更に言った。
「姫! こんにゃくが上から落ちてきますよ!」
……は?
「きゃああぁ!?」
何故悲鳴をあげる!?
俺と姫は急いでミオのところに行く。
ミオはうずくまり震えていた。
「こんにゃくはいや。こんにゃくはいや」
何があったんだよ?
「やはりいましたね」
部屋にずかずかと入ってくるメイドさん。
「さぁ姫様。
城に帰りましょう」
「い、嫌です!」
まだこんにゃくで震えているミオ。
「逃げましょう。2人とも」
そういって俺の手をとるミオ。
「逃がしませんよ」
そういうとメイドさんが他にもぞろぞろ入ってきた。
「外にも包囲網が完成しています。
あきらめて城に帰ってきてください」
ん〜。どうしよ?
「北っくん、これ」
姫が煙玉と暗視ゴーグルを出す。
なんで持ってんだよ……
でも、
「ナイス姫!」
俺は暗視ゴーグルを装着し、煙玉を炸裂させた。
広がる煙。
俺は出口をふさぐメイドさんに軽く殴って気絶させ、部屋を出る。
後ろから同じく暗視ゴーグルを着けた姫とミオが出てくる。
「この勢いで逃げるぞ!」
俺達は宿屋を出ると同時に煙玉を再び炸裂させる。
俺は再びメイドさんを気絶させ、逃げ道を作り、そのまま逃走する。
「ここまで来れば大丈夫だろ」
俺達は町の郊外に来ている。
心なしか城に近づいている気もするが。
「大丈夫ではありません! 来ましたよ」
ドドドドと効果音をあげながら追いかけてくるメイドさん達。
皆さん、目が血走ってます。
「生島ァ!!」
あれ? 幻聴かな?
……………………
し、志摩さんだ。
後ろには良平、水橋、稲葉が一緒にいる。
「「ぶっ潰す!」」
みんなめっちゃ怒ってます。
つぅか『殺す』って表現しないところがリアルで怖い。
「やばい! 死ぬ気で逃げるぞ!」
志摩さんとメイドさんは一緒に追っかけてくる。
マジ怖えぇ。
俺と姫とミオは真っ青になりながらも走る。
あ、どんどん城に近づいてるな。
引き返すわけにもいかないが……
いかめしい城門が見えてくる。
「北斗さん、城に近づいてます」
ミオが言う。
つぅか、何気にミオって体力あるよな。
俺と姫についてくるんだから。
「たしかに、な。
でもあそこを突き抜けられるか?」
後ろを指差し言う。
「む、無理です」
だろ?
「このまま、城に入ってなんとか脱出するぞ」
た、多分入り組んでいるだろ。
「分かりました!」
城門まですぐそこだ。
って、城門閉まってる。
「なんで城門閉まってんだ!?」
「泥棒が入らないようにです」
学校か!?
つぅかどうしよ?
「こうなりゃいちばちだ!」
俺は刀を抜き、空を斬った。
紫の衝撃波が城門にぶち当たる。
しかし城門はびくともしない。
「マジ?」
びくともしないってのは……
「城門には魔法がかかっています。
生半可な攻撃じゃ無理です」
絶体絶命だ。
城門を背にメイドさん達と志摩さん達に囲まれる。
こうなったら
「ドラ! ゴン!」
俺は2匹を呼び出す。
『呼ばれて飛び出て』
「それいいから!
防御膜張って!」
『いいけど、多分』
「いいから早く」
何か言いかけたゴンを遮りせかす。
『はいはい』
俺達と志摩さん達のちょうど間に防御膜ができる。
「ふんっ」
志摩さんの一撃が防御膜を破砕する。
……え?
「マジ?」
『俺の防御膜じゃあの人の一撃は防ぎきれないと思ったからな』
冷静に言うゴン。
『で、では私たちは帰らしていただきますね』
ドラがそういうと2匹は光になり刀に戻った。
やばい。
「生島ァ、よくも私たちを売ったな」
いや、それはそっちが悪いって。
「覚悟はいいか?
塵に帰してやる」
目がマジだよ。
そんな絶体絶命の時、一本の矢が間に刺さった。
「「?」」
矢には紙がついてある。
しかし城門はびくともしない。
「マジ?」
びくともしないってのは……
「城門には魔法がかかっています。
生半可な攻撃じゃ無理です」
絶体絶命だ。
城門を背にメイドさん達と志摩さん達に囲まれる。
こうなったら
「ドラ! ゴン!」
俺は2匹を呼び出す。
『呼ばれて飛び出て』
「それいいから!
防御膜張って!」
『いいけど、多分』
「いいから早く」
何か言いかけたゴンを遮りせかす。
『はいはい』
俺達と志摩さん達のちょうど間に防御膜ができる。
「ふんっ」
志摩さんの一撃が防御膜を破砕する。
……え?
「マジ?」
『俺の防御膜じゃあの人の一撃は防ぎきれないと思ったからな』
冷静に言うゴン。
『で、では私たちは帰らしていただきますね』
ドラがそういうと2匹は光になり刀に戻った。
やばい。
「生島ァ、よくも私たちを売ったな」
いや、それはそっちが悪いって。
「覚悟はいいか?
塵に帰してやる」
目がマジだよ。
そんな絶体絶命の時、一本の矢が間に刺さった。
「「?」」
矢には紙がついてある。
矢文ってやつか?
俺は紙をとって広げる。
そして声に出し、読んだ。
『○月×日、午後11時に神器の杖をいただきに参ります。
怪盗エリ』
おぉ。今時こんなことするやついるんだなぁ。
でもメイドさん達はめっちゃパニクっている。
「なんであんな慌てているんだ?」
ミオに聞く。
「怪盗エリとは近頃、色々な地方で見かけられる怪盗です。今まではその姿はおろか、声も聞かれずに厳重な警備を抜けて宝を盗み出すんです」
「へぇ」
まぁ、これで俺達のピンチは回避されたな、うん。
メイドさん達はどっかに散ったし。
「だが生島、私たちはお前を許したわけではないぞ」
黒いオーラを出しながら来る志摩さん達。
その後俺はボッコボコにされた。
理不尽だ!!