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11話:守るために出来ること 〜いざ異世界へ〜

どーも、久しぶり。

生島北斗です。


え〜……ざっと今の状況を説明しますね。



いきなり落ちてきた刀。


それを狙う企業に乗り込んだ訳ですが。

各階で刺客と遭遇、1人ずつ減っていき今は姫と2人になりました。


そして社長らしき人とも遭遇。


その社長が放ってきた超巨大化け物が今目の前にいるわけです。



……以上。状況説明終わり。



では本編に入ります。







『グオォオォ!!』


くっ、まただ。


化け物はさっきから一度もその場を動かず、黒い球体を放ってくる。


ぶっちゃけ避けるので精いっぱいだ。


接近を試みようにもいかんせん距離が遠いためなかなか近付けない。



やばいな……



「姫、まだいけるか?」



「だ、大丈夫」



……かなりつらそうだな。



しかしどうしたらいい?



こうして考えている間にも化け物の攻撃の手はやまない。



この黒い球体、

けっこうな威力らしくあたった箇所は深く抉れてる。



ちっ、一撃もくらえないってことか……


「ねぇ、北っくん、考えがあるんだけど」



「なんだ?」



「私がおとりになるからそのスキに斬ってよ」


たしかにそれが一番確実だな。


だが……



「ふざけるな。

姫に何かあったらどうすんだ?」



「でも……」



「心配すんな。

なんとかするから」


とは言ったものの……


やまず降り注ぐ敵の攻撃。



どうにもかいくぐれそうにない。




攻撃には少なからず『回数』がある。


一度に何回までかが限界なはずだ。



げんに先ほどからも黒い球体は5回に一度空白がある。



つまり徐々に距離は詰まってもいいはずだ。



何故縮まらないか?その疑問は簡単だ。


その空白の時間があまりにも短すぎるのだ。



どんな体の構造してやがる。



「北っくん、私……もう限界」



「……?! がんばれ」



たしかに俺も限界近いな。



ちっくしょう。


志摩さんのいじめに匹敵する辛さだぜ。




……そういえば志摩さん何か言ってたな。




『忘れるな。

自分の本分を』




……本分?




俺の本分?




敵を倒すこと?



……否。



強くなること?



……否。









姫を……守ること?






………………







いきなり刀が光出した。



そして刀身に刻まれる文字。


『弐撃を放つは形成す斬撃』




形……成す……斬撃?



どういう意味だ?




『簡単なことだ』



突如頭に響く声。



……あぁ、俺もついにおかしく。



『なってない。

いつぞやの夢を覚えているか?』



ええ、あの運命がどうとか言ってた方ですよね?



『そんなことよりいいのか?

お前もそやつも限界のはずだ』



じゃあなんで出てきたんだよ?



『ヒントをもう少しやろうと思ってな。

斬撃とはなんだ?


斬った軌跡だ。


それが形になるということは……?』



なるほどね。



つまり……



「こういうことか!」



俺は刀で空を斬る。


すると切っ先から紫色の衝撃波が生まれる。



刃状の衝撃波は化け物の放ってくる黒い球体をかき消してなお、形を変えず化け物に当たる。



当たった箇所、化け物の右腕は勢いよく飛んだ。



「おぉ……」



「すごいよ! 北っくん!」



『グオォオォ!!』


あまりのことに戦慄する俺。



それを見て疲れも忘れ喜ぶ姫。



苦悶の叫びをあげる化け物。



これならいける。



もう一度刀で空を斬る。



しかし今度はさっきとは比較にならない小ささの衝撃波が出る。



ひょろひょろと危なげに飛んだ衝撃波は化け物にかすり傷を負わせた。




……ってええっ?!


なんで?



どういうこと?



刀を呆然と見つめる。



幸い化け物はまだ苦しんでいる。



考えているヒマじゃねぇな。



俺はすぅっと距離を詰める。



『グオォオォ!!』


なんとか立ち直り俺に拳を放ってくる。


しかし俺は慌てずかわし袈裟掛けに斬る。



『グオォオォ!!』


さらに苦悶の叫びをあげる化け物。



決まったな。



しかし俺の予想に反し化け物は力を振り絞り俺を跨ぐように跳んだ。



向かった先は……やっば、姫だ。



「え? ええっ?!」



いきなりのことに疲労も手伝って動かずにいる姫。



俺は無我夢中でさっきのひょろも忘れて刀で空を斬った。



今度は最初とも比べものにならない大きさの衝撃波が出る。


姫に襲いかかった化け物は真っ二つになり果てた。









「おい、じいさんよ。 化け物死んじまったぜ? どうすんだ?」



「ふむ……。

降参の……ようだな」



がっくり崩れ落ちる。



……そんなに悔しいことなのか?



「なぁ、じいさん。あんたこの刀を使って何しようとしたんだ?」



「少年、名前は?」


「生島北斗だ」



「ならば生島君。

君は自分の娘をなくしたことはあるか?」



……俺にその質問はおかしいだろ。



「いや、まだ高校生だし」



「そ、そうだな。

私はなくした娘を連れ戻すためにその刀が欲しいのだよ」



「どういうことだ?」



「今から言うことを全て信じてくれるか?」



何をいきなり。



「実は

「生島ァ」」


お?

志摩さん達来たみたいだな。


みんな無事か……

よかった。



つぅか



「水橋、何を持ってんだ?」



「人質」



さいですか。


まさかここまでするとは。



「それより生島。

どうなっているんだ?」



「ん? あぁ、ちょっと今話聞いてたんだ。

みんなも聞くだろ?」







「さて続きを話そうか」



俺達は今個々に座布団に座っている。


まぁ、水橋は座っている上に捕虜と称す女を座らせているが… …


そして何を思ったか姫も俺の上に座っている。



……うっとうしい。


「そのままでいいのかね?」



「「はい!」」



即答したのは姫と水橋ね。



「では……今から話すことを信じてくれるか?」



「「はい」」



みんなで即答する。


「私の娘は……今、異世界にいる」



ふんふん。



「そして、魔王に捕まっている」



ふんふん。



「だから、その娘を取り戻す為にその神器が必要だったのだ」



ふんふん。



「以上だ」



ふんふん。 なるほど。 って



「「信じられるかぁ!!」」



お、みんなの心が1つに。



まぁいきなりすぎるわな。



「ならば何故何十億もかけて暗殺者も雇ってこんなことをしなければならない?」



……たしかに。



「ついてきてくれ」


老人、あらため有馬さんは階段を更に登っていく。



つぅかマジ高いよなこのビル。

ずうっと登ってきたのに。

まだ登るんだから。


ついていった先にはなにやら大掛かりな機械が……



「これが異世界への扉だ」



へぇ。



「これを起動することで異世界へ行ける」



はぁ。

つまり俺達に行けと?


「いいぜ。

乗りかかった船だ」


志摩さ〜ん。

勝手に決めないで〜。



「うるせぇ。

いかねぇと今の100倍いじめるぞ」



口に出てたか。



「それは嫌です。

行きます」



「北っくんが行くなら私も行く!」



「俺は嫌だぜ。

そんなわけわかんねぇとこ行くの」



嫌がる水橋に志摩さんは耳打ちする。



「行く! 行きます!」



志摩さん何言った?


「はぁ、仕方ないですネ」



良平はしぶしぶといった感じだ。



「みなさん、ありがとうございます」



深々と頭を下げる有馬さん。


今思ったけどこの人大企業の社長なんだよな……



ん?


っつうか……



「有馬さん、異世界に行けるならこんな回りくどいことしなくてもよかったんじゃ……」



「いや、異世界にはモンスターがいる。

私はそのモンスター一体を捕獲するのに百人を犠牲にした。

その一体をクローン技術で増やしたのがあのモンスターだ。

我々はガーゴイルと呼んでいた。


ちなみに原型は生島君が倒したあれだ。

クローン技術の過程でどんどん退化していったのでな」



マジか……

あんなんが何体もか。



「しゃあねぇな」



「では……?」



「ああ、娘さん取り戻してくるよ。

志摩さんじゃねぇが乗りかかった船だ」


「ありがとう」



「では、生島。

頑張ってこい!」



……は?



「志摩さんいかねぇの?」



「ああ」



言い出しっぺが何言ってやがる。



「勘違いするな。

私は後の処理、お前らの学校を休む理由や親御さんへの言い訳をしなければならないからな」



……なるほど。



「では、みなさん。後はこのスイッチを押すだけです。

私の方でも今後の会議がありますので」


そう言って有馬さんは奥へ消えた。


よっぽど俺ら信頼されてんな。



「じゃ、みんな行くよ〜!」



姫が元気よく言う。


「あなた、その娘連れて行くんですカ?」



「うん」



水橋が抱きついている娘。

稲葉だったか?

もう何の抵抗もせず俯いている。



「じゃ、行ってこい!!」



お気楽でいいな、志摩さん。



「じゃあ、スイッチオ〜ン」



俺達は光に包まれた。

ついに異世界へ突入です。

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