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世界の終わりから  作者: 灰羽 中也
14/20

1ー12 始めての任務

 プリトウェンに入ってから始めての外出。

 といっても敷地内であれば、つまり外壁の中なら外にできることもできるので息苦しさなどはなかったが。


 秋葉原まで徒歩で向かう。戦争終了時はまだ生きている車もあったそうだが、戦いによって壊れてしまったらしい。


 といってもそこまでの距離ではないので、むしろ音で敵に知られにくいので良いそうだ。


 竜二と通った道のりは敵に知られており、待ち伏せされている可能性もあるので別のルートで行くらしい。


「咲坂、君はどんな学生だったんだ?」


「どんな…そうですね。よくいる普通の高校生でしたよ。両親がいて、妹がいて適度に友人もいる、そんな村人Aって感じでしたよ」


「そうか。しかしそんな当たり前が何より大切だろう。こんな状況になると身に染みて分かるな」


「その通りだと思います。本当に…。エバンズさんはどうだったんですか?」


「私はイギリスの生まれでな。まだ少年の時分に親戚の家に行ってな。その後、まあ色々あって日本に移り住んだのだ。そこから日本語を学び、大学に行き今に至るといった感じだ」


「それじゃあ最近日本に来たんですね。日本語が上手なのでもっと前からいたのかと思いましたよ」


「学ぶのは好きだったからな。しかし日本には剣が持ち込めなくて困ったよ」


「あはは、たしかに法律がありますからね」



 そうして世間話をしながら歩いているとそう経たないうちに秋葉原についた。

 俺が気絶していたのは確か、ゲームセンター近くのビルだ。



「ここか、君が倒れていたビルというのは」


「はい、ここの三階です」


「よし、大分脆くなっているからな。足元に注意して登ろう」


 そうして二人は階段を昇っていく。

 あの時は動揺してて気づかなかったが、改めて見ると凄まじい荒れ具合だ。


 しかもその荒れ具合が一階から三階へと上がっていっている。

 その破壊の元凶が上へと上がっているようだった。


「この壊れ方は…兵器によるものではないな。明らかに能力が使用された痕跡がある」


「ってことはその能力を使ったのは…」


「おそらく君だろうな。この様子だと暴走しているみたいだな」


「能力が暴走…」


「ただまあ君が能力者に襲われていた、という可能性も無視しきれない。決めつけるのはよくないな。なにか思い出せることはあるか?」


「…」


「いや、まあ話したくないことなら無理する必要はない」


「…いえ、話します。竜二にも以前同じことを聞かれたことがあって、その時は咄嗟に嘘をついてしまったんです。実は…ここで目覚めた時ある光景がふと脳裏によぎったんです」


「…その光景とは?」


「…たくさんの人が死んでいくんです。沢山の血を流して、泣き叫ぶような悲鳴をあげて。まるで…地獄のようでした。その原因が自分のものなのか、誰かのものなのかもわからずに」


「そうか。それは…。他に思い出すことはないか?」


「特に他には…でもここに来てからなんだか心がざわつくというかなにか胸の奥に不思議な感覚があります」


「異生体だろうな、それは。おそらく君の能力が発した波動の残滓と共鳴しているんだろう」


 これが異生体なのか…不思議な感覚だ。竜二の話によれば確かに質量があるはずなのに心臓がある部分に存在しているような感覚がある。


「せっかく見えた進歩の芽だ。能力を試したいところだろうが、もし暴走したら私だけでは止められないかもしれない。やめておくのが賢明だろうな」



「そう、ですね。そうしましょう」


「とりあえず、軽く周りも調査しよう。少しここを見たら外に行ってみるとしよう」



 〜オスカー視点〜


 この壊れ方は、なんだ…?単一の特性の能力でこんな多種な攻撃ができるとは。

 押し潰されたり、何かに切られたような跡があったり、攻撃性の高い能力のようだ…


 この能力が使いこなせるようになれば…あるいは…


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「次は外に向かおう。君の記憶にある場所がどこか確かめなければ。能力の残滓を辿れば直に見つかるだろう」



 荒廃したビルを出て、エバンズさんが何かを感じ取るように目を閉じた。


「こっちだ、いこう」


「はい」


 スタスタと歩き出すエバンズさんについていく。

 なんとなく‘’その場所‘’に近づくにつれて、心がざわついていくのがわかる。


「大分、残滓の気配が濃密になってきた。この辺りだと思うんだが…」


 この付近だというエバンズさんの言葉で、近くを散策する。


「…エバンズさん、ここです」


 見つけたその場所は、辺りと比べてもより一層荒れている。乾いた血の跡と様々な傷跡が存在していた。


「凄まじいな…たしかに先ほどのビルの痕跡と似ている」


「確かに記憶の中にある場所はここです…その中で俺は…」


 俺は一箇所だけ傷跡のない場所に立つ。


「ここに立っていた」


「やはり、この惨劇は君が…」


「おぉ?これはこれは、オスカーお坊っちゃまじゃあないですかぁ」

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