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世界の終わりから  作者: 灰羽 中也
13/20

1ー11 波動を感じろ

 次の日になり、また午前の訓練の時間になった。

 昨日の剣術の訓練でわかったことだが俺の自然体にはまだまだムラがあるらしい。

 そのことを竜二に尋ねると「ああ、まあ最初からできるやつなんていねえからな。武術を修めてたやつならまだしもな。自然体ってのは基本中の基本であり、極意でもある。一番難しいことなんだ」


「たしかに雑念を捨て去ろうと思っても心の何処かに余計な考えがある感じがする。疲れてる時はいい感じなんだけどなあ」


「そりゃあ余計な力が入らねえからな。ただ本当に極めたいならどんな状態でもつかえなきゃならねえ。さあ始めるぞ。今日は昨日の続きだが少し趣向を凝らしてみようと思う。以前の話で出てきた解析の能力でわかったことなんだが、能力者が能力を発動するときには周りに特殊な波動を発してるらしいんだ。だから俺が軽く能力を発するからそれを感じ取る訓練だ。もちろん瞑想しながらな。内部を感じ取るより外部からのモノの方が感じ取りやすいだろうからな」


「わかった。…早速やってみよう」


 俺は剣術の訓練にもなるように剣を持つような構えをしながらも目を閉じた。


「ほお、エバンズに習ったのか。まだ荒削りだがなかなか様になってるな。…よし、いくぞ」


 竜二が能力を発動し始めると(衝撃を発しなくてもその準備段階で波動は出る)前から微かな圧力を感じる。ただなんとなく程度なもので感じ取れたとは言わないだろう。

 体内、そして感じる圧力に意識を集中させる。

 呼吸、よし。

 脈動、よし。

 異生体…まだ感じ取ることはできない。


 圧力は一定で重く、何とも言い難い感覚だ。


 感じ取れ…集中しろ…どんな些細な変化も見逃すな。

 持ちうる限りの全感覚を、波動を意識することだけに使う。




「よし、すこし休憩だ」


「ハアァァ〜」


「疲れたか?ただ昨日よりもいい感じだったな。より深くに潜り込めてた感じはするぞ」


「まあ多少はね。それならエバンズさんのおかげかもしれないな。…それより竜二もありがとな、能力を使うのって疲れるんだろ?」


「普通に能力を発動するよりはずっと楽さ。集中しなきゃならんが、大した労力じゃない」


「そういうもんなんだな。そういえば竜二はプリトウェンではどんな立ち位置なんだ?幹部ではないらしいし、俺にこんな付きっ切りで大丈夫なのか?」


「俺は…まあ中間管理職みたいなもんだな。俺の能力じゃ戦うくらいしかできねえし問題ねえよ」


「中間管理職っていうと課長とか部長とかそんな感じだよな?そういうと…小部隊の隊長とかか?」


「あ〜いや、俺は一応副リーダーだな」


「ふ〜ん…って副リーダーぁ!?!そ、それってつまり神宮さんの次に偉いってことじゃないか!?そんなに凄かったのかよあんた!?」


「そんな大したもんじゃねえよ。それなりに戦え得る中で年齢が高かったってだけさ」


「そんな理由でなれるようなもんじゃないと思うけど…」


「さて、続きをやるぞ。まだまだやるから覚悟しろよ?」


「勘弁してくれよ…」


 それから同じような修行を続けたが、大した進歩もなく午前の修行は終わった。

 昼食後に行った体術の訓練は、付け焼き刃の足捌きで昨日よりも気絶の回数は減ったが、まだまだ先は長そうだ。


 もう少し、もう少しで何か掴めそうなんだけど…


 そうしてエバンズさんとの訓練の時間になった。

  「エバンズさん、昨日に引き続きありがとうございます」


「構わないさ。以前も言ったが私自身の訓練にもなる。それに優秀な仲間が増えるのは皆にとっても喜ばしいことだからな」


「そう言ってもらえるとありがたいです。じゃあ始めましょうか」


「そうだな。まず最初は昨日と一緒だ。構えからやっていこう」


 そうして昨日よりもさらに増えた十分間構えを維持し続けた。

 五分間までは昨日よりも楽なように感じたが、残りの数分は数十分かのように感じた。


「途中で断念すると思ったのだが、存外にやるものだな」


「ダラダラしてられないですからね…気合いだけが今の武器ですよ」


「気合いというのも馬鹿にできるものではない。実力が拮抗していれば最後に勝敗を決めるのは気合いの差だからな。さて動きの訓練も軽くしておこう。こういうものは積み重ねが大事だ」


 それから足捌きの確認をしたあと、軽く休憩を挟み次のメニューに入ることになった。


「それではいよいよ剣の振りについて教えていこう。剣の型には九つの振り方がある。実例と共に覚えてくれ。その種類は唐竹、袈裟、右薙、右斬り上げ、逆風、左斬り上げ、左薙、逆袈裟、そして刺突となる」


 エバンズさんは一つ一つをゆっくりと見せながら説明してくれた。


「これを一つずつゆっくり練習していこう。まずは唐竹から…」


 一振りずつ体に染み込ませるように剣を振っていったが、剣の重みや勢いを利用できない斬り上げや逆風は剣筋がブレてやはり難しかった。


 エバンズさんは「一つずつ体に染み込ませていけばいずれより速く、より正確に振れるようになる」といってくれたが、重みのある長物を振るだけのことがこんなにも難しいとは思わなかった。


 今日はお風呂の時間を逃すことなく解散となり、今日の訓練は終わった。

 疲れた体をゆっくりと休ませ、自室に戻った。


 エバンズさんから自主訓練用にと受け取った刃引きされた剣で夜が更けるまで構えと素振りを行い、眠りについた。


 次の日もいつもと代わり映えのしない一日だった。

 異生体を感じ取れることはなく、ただひたすら基礎訓練を行った。


 少しずつ進んでいる感覚はある。

 ただ何か一つピースが足りない気がする。


 きっかけがあれば掴めそうな、手を伸ばせば届きそうな距離にあるのにあと一歩踏み出せない。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 四日目になった。


 一日目以降竜二が部屋まで迎えに来ることはなかったが、今日は部屋まで来た。


「おう、おはよう累。響介が呼んでる、行くぞ」


「神宮さんが…?わかった。ちょっと待ってくれ」


 準備をして、竜二と共に神宮さんの部屋に向かった。



「響介、連れて来たぞ」


「ありがとうございます竜二さん。累くん、久しぶりだね。訓練の調子はどうだい?」


「お久しぶりです神宮さん。訓練は…そうですね。まだまだこれからって感じですね」


「そうかい。まあ能力が目覚めれば一気に変わるからそれまでの辛抱だよ。それでね、今日呼んだのは累くんに外での任務へ行ってもらおうと思ったからなんだよ」


「外へ…俺がですか?」


「うん。本来は竜二さんに行ってもらおうと思っていたんだけど、他に任せたい任務が入ってしまったのでオスカーさんと一緒に行ってもらおうということさ」


「エバンズさんと…よかった、一人でかと思いましたよ」


「ははは、流石に入ったばっかりで能力の使えない累くんを一人で行かせるような真似はしないよ。出発は午後だ。午前は好きに活動してもらって構わないけど、竜二さんは任務があるから申し訳ないけど今日の訓練は無しになるね」


「わかりました。エバンズさんよろしくお願いします」


「ああ、よろしく咲坂」


「任務の内容についてはエバンズさんから聞いて欲しい。それでは二人とも、よろしくお願いしますね」


 そうして部屋を出たあと、まだ朝食をとっていなかった俺は軽い朝食を済ませエバンズさんの元へ向かった。


「エバンズさん、それで任務の内容って?」


「そんなに難しい内容ではない。要は外部調査だ。というのも君が竜二と遭遇した付近、つまり君が気絶していた地点を調査しようというのが今回の任務になる。何があったかを調べることで君の能力の概要も掴めるかも、ということだ」


「なんだか緊張しますね…」


「始めての任務なのだから無理もない。だが、何があろうと私が守ってみせるから安心するといい」


 エバンズさんがそういうと、なんでも大丈夫な気がするから不思議だ。


 その後体力を消耗しすぎるのもよくないので、軽い運動までなら、と了承をもらい素振りの型を見てもらい昼食をとると、出発の時間になった。

 

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