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契約…?

さらに長くなった気がします。

稚拙な文をお許しください…

 誰かに呼ばれた気がして、僕は目を覚ました。

 目をゆっくり開けると、目の前にマホがいた。そういえば頭の下に柔らかいものが引いてある。どうやら膝枕されているみたいだ。

 マホは、泣きそうな顔をしていた。

 僕が完全に目を開けてマホを見ていると、マホは僕に抱きついてきた。


「ごめんね! 本当にごめんね……ごめんねワタル……ふ、ふぇぇぇぇぇぇん!!」


 そして盛大に泣き出してしまった。手を軽く動かそうとすると、どうやら(いましめ)はとけているようだったので、彼女の栗色で、ふわっとしたセミロングの髪を優しく撫でてやる。

 脇腹と腹筋がわけわからないほど痛かったけど、ここで女の子を慰められないなんてそんなやつ男じゃない。

 マホが泣き止むまで、30分くらい撫で続けてやった。


 マホが泣き止んだ。もう僕のシャツは彼女の涙とかその他もろもろでびしょびしょだ。


「マホ? 大丈夫?」


 できるだけ優しく話しかけてみた。


「うん……大丈夫……ごめんね、シャツびしょびしょ……」

「それは気にしなくていいよ」


 むしろご褒美です!


「落ち着いたなら、説明してくれないかな?」

「……うん、分かった。出来れば、驚かないで聞いて欲しいんだけど……もしかしたら……いや、絶対に気持ち悪いとか思ったりすると思うけど、でも……こんなことしちゃったし、話すから」

「僕はどんなことを聞いても、マホのこと気持ち悪いなんて思わないよ」


 本心からそう言葉をかける。心なし安心したような表情になってくれた。


「ありがとう……じゃあ、話すよ?」

「うん、ゆっくりでいいよ」


 彼女は1つ、長めに息を吐いた。


「まず確認したいんだけど、私がさっきワタルをくすぐっちゃった時、多分目が紅くなってたと思うんだけど……」

「ああ、そういえばそうかも」


 気のせいかと思ってたけど、やっぱり紅くなってたんだ。


「実は私ね、悪魔だったんだ」

「へ?」


 心臓が、止まった。かと思った。


「悪魔って、あの悪魔? あの、アニメとかに出てくる羽根が生えてて」

「そう、その悪魔だよ」

「え、なんで? ついこの間まで普通に女の子してたじゃん? そこんじょそこらの女の子より女の子だったじゃん?」

「なにそれ、意味わかんないよぉ〜」


 彼女はそう言って久しぶりに笑った。やっぱり可愛い。


「確かに、ついこの間までは人間だと私も思ってたし、実際そうだったよ。でも、覚醒しちゃったみたいなんだ」

「なんで、覚醒しちゃたの?」


 矢継ぎ早に質問を浴びせてしまいたくなるのをなんとか抑える。一つずつ解決していこう。


「この間、私は自覚なかったんだけど、いじめられたじゃない?」

「あぁ、そうだね」

「それをワタルが私に自覚させたじゃない?」

「確かにそんなこともあったけど、それと何の関係があるの?」


 確かにマホはあの頃から様子がおかしくなっていた。


「悪魔って、根本的に人を痛めつけたり、苦しめたりする生き物……らしいのよ。だから、いじめられた、他人に苦しめられたっていう事実が私の中にもともとあった悪魔の血を逆撫でしちゃったみたいで……そのまま一気に覚醒しちゃったみたいなの」

「そ、そんなことで……」


 確かにマホは、他人にいじめられたことはこれまで無かった。基本的に温厚な性格だから、好かれることはあっても嫌われることはまず無かったからだ。

 つまり、今までは運良く覚醒する機会がなかったけど、今回ついに、ってことか。


「だから、ワタルにいじめられてるぞ? って言われた日ね、帰ったあとそのこと考えたら全身の血が沸騰したみたいに体が熱くなって、何これって思ってたらいきなり誰かにちょっと……意地悪してみたくなっちゃって。自分でも訳がわからなかったんだけど……その時はまだ耐えられるくらいだったんだよ? その時も少し目が紅くなってたかなぁ……でも日が経つにつれてどんどんその欲望は増していって……」

「で、ついに耐えきれなくなった、と。」

「そう。ついに襲っちゃった、ってこと。まさか女の子の友達にやるわけにもいかないし、ワタル以外に仲のいい男の子もいないから……」

「それで俺が標的になったと……」


 まず、悪魔という話が信じられないから全部の話がアレなんだが、マホは嘘をついたことがないから多分本当なんだろう……マジか。


「でもなんでくすぐりなんだ?」


 悪魔なら、体を引き裂くとか、そういうもっとグロくてエグいのが好きみたいなイメージがある。あくまでイメージだけど。


「なんかね、私の場合そういうグロいのよりも、地味に苦しんでる顔を見るのが好きみたい……なんだろ、本能的にくすぐりたくなったんだよね……」


 恐ろしい子! おかげで意識失うほど笑ったわ!!


「……まぁ、大体のことはわからないけどわかったよ」

「うん……いきなり悪魔とか言っても信じられないよね……」

「まぁ、そりゃあね……」


 さっき散々カッコつけたけど、さすがに悪魔でした、なんて告白されるのは想定外も想定外だ。


「ついでにもひとつ質問いいかな?」

「なに?」

「その覚醒っていうのは、元に戻るのか? つまり、元の人間に戻れるのか?」

「無理よ?」


 おやおや?


「一度覚醒しちゃったら、もう悪魔として生きていくしかないんだって」

「さっきから伝聞風に喋ってるけど、それはどこ情報なのさ……」

「う〜ん……本能?」


 悪魔の本能か、うーん、響きが恐ろしい。


「え、ということはつまり」

「うん」


 彼女は一つ、息を吐く。


「これからも時々、人をイジメたくなっちゃうってことなの」


 いや、もう嫌な予感しかしないんだけど……


「でもそこらの人を無闇に痛めつけたりしちゃったら、問題になっちゃうじゃない?」


 ……無意識なんだろうが、彼女の目は軽く紅が入り、顔は少し綻んでいた。

 まるでこれから楽しいことが待っている、子供のように。


「だから……ワタルのこと、イジメさせてもらえたらなぁ、なんて」


 どんどん彼女が淫靡な雰囲気を醸していく。思わず承諾してしまいそうになる謎の圧力が僕を襲う。


「……そ、そうしてあげたいのは山々だけど、今すでに腹筋がわけわからん程痛いんだ。こういうのが毎日続いたら僕死んじゃうよ?」

「別に毎日くすぐるわけじゃないし、別のこともするし。ワタルが死ぬのはイヤだから、ヤるにしても寸止めするよ? それに腹筋もだんだん鍛わってくるだろうし、大丈夫だよ。それに……」


 そこでいきなり、マホは深刻な顔になった。


「それに、な、なんだよ?」

「ワタルが発散させてくれないと、他の人は私、どうでもいいから死人が出るかも……そうなるとワタルの可愛い幼馴染は殺人者になるってこ」

「わかった! いいよ! 俺をもう存分にイジメてくれ!」


 マホが殺人者なんて、そんなのはダメだ。絶対ダメだ。そう思うと僕は反射的に頷いていた。

 マホは、ニヤッと口角を吊り上げ、悪い笑顔を浮かべた。まるで悪魔のような……


 あ、釣られた。


「ありがとう! ワタル大好きだよ!」


 そう言ってハグしてきた。オウ、ヤワラカイ。

 そもそもマホはこんなスキンシップ取らないし、人を脅すようなことは言わないし、自分を可愛いとは言わないし、まずイジメさせてほしいなんて言わない。雰囲気もおかしい。

 ——それはまるで、二重人格のような。

 その紅い目を見ていると、すべてを納得させられてしまう。

 目の前のマホは、いつも通りの黒い目に戻っていて、どこか照れたような笑みを浮かべていた。


「これから、よろしくね」

「まぁ……お手柔らかにね?」


 こうしてゆるふわ小悪魔幼馴染と、僕の熾烈な闘いが幕を上げた。

 カムバック、ゆるふわ幼馴染。


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