出会い
人間で男の貴方と、ロボットで女のわたしの大切な日々。
ある日、目を覚ますとそこには人間の男がいた。
肌は病的なまでに白く、まつげは長い。とても綺麗な顔をしているというのはひと目でわかった。
私はなんなんだ?なぜここにいる?
「お、起きたかい、どうだい調子は」
「いえ、特に何も。それより、私はなんなんです?」
「あぁ、君は、ロボットさ。」
「…はぁ」
まさかここにきて自分がロボットだなんて思いもしなかった。この男が言っているのは、本当なのだろうか?
「はは、驚いたかい?まさかロボットだとは思わなかっただろう。僕も、君の出来には驚いてるよ。鏡を見てご覧。」
そう言われて鏡の前に立つと、
スラリとした長い脚、細い手、胸は大きく、髪は長い。目は大きくてまつげはあの男のように長いし、肌もあの男のように白かった。
どこからどう見ても、普通の、いや、普通よりだいぶ美しい女だと我ながら思った。
「どうだい?とても綺麗だろう。本物の女性のようだ。」
「はぁ。にしても、なぜ私なんかを作ったのですか?」
私は素直に思ったことを聞いた。すると男は
「僕は、もうすぐ死ぬんだ」
死。身近すぎてどこか遠い存在になってしまった事柄。死。口にするとどこからかその恐怖がにじみ出てしまうような、儚く脆く美しいもの。
「死ぬというのは怖い。いま口にしただけでも震えが止まらないよ」
確かに男の体は小刻みに震えていた。まるで大きな獲物に狙われている小動物のようであった。
「だけどね、生きていれば必ず死はくるものだ。それがどんな形であっても。だから、僕はその事柄を受け入れている。でも、受け入れたからといって怖くないわけじゃい。だんだん老いていく身体、死が自分を包み込んでいるようなこの怖さ。君にはわからないかもしれないけど、これは事実だ。そこで、いずれ動かなくなるこの体の世話をしてもらうために君を作ったのさ。」
なるほど。つまり私はこの男の身の周りの世話をするロボットとしてつくられたのだな。
毎日を大切に過ごしたいですね。