番外編(クロード)-2-
クロードは購入した髪飾りを手に後宮の中を進んでいく。
成人してからアルフレッド様は一人でここに住んでいる。そのため、ここに来ることはそう珍しいことではない。
しかし、姫を迎い入れてからは来ていなかった。
主がいるとこんなに建物の雰囲気は変わるのかと驚いた。装飾品が大きく変わったという印象ではないが、なんと言えば良いのか、ぱーっと明るくなった感じである。
働いている者たちの顔も明るくなったように思う。
アルフレッド様と、ルナ様の部屋の前に来た。
---まだ午前中だから、姫様はお部屋で読書でもしながらティータイムといったところだろう
クロードがノックしようとすると、
「ルナ様に何か御用ですか?」
と、洗濯ものの山から声が聞こえてきた。
クロードがその量に驚いていると、ゆっくりとその山が下がっていった。すると、その後ろから女が現れた。その女は、パンパンと手を払うと、軽く頭を下げ、
「何か御用ですか?」
と聞いてきた。
「あっはい、アルフレッド様からのお届け物です」
初めて見る侍女だ…と考えていたら少し慌ててしまった。
「それはありがとうございます」
侍女は、両手を出し受け取ろうとした。クロードも渡そうと手を伸ばしたが、その際に洗濯物の山が目に入った。クロードは、手をひき
「そんなにお荷物あれば、持っていくのも大変でしょう?私が、中まで持っていきますよ」
と告げると、侍女はギクっとした。
「あっこれは!失礼しました…」
侍女はおずおずとしながら、お願いします。といってきた。
部屋に入るが、以前とまるで変わりがない。というか、女が住んでいるとは思えない。
「ルナ様はここに住んでいるのですか?」
クロードの言葉で急に警戒し始めたらしく、侍女が身構えた。
「その通りです。仲良く過ごされています。では、お荷物も受けとりましたし、ありがとうございました」
「私は、アルフレッド様の従者です。仲睦まじくしているのは演技であると伺っています」
侍女は目に見えてホッとした。
「そうでしたか」
と、言ったかと思ったら、急にクロードを睨み付けてきた。
「あの方にどんな教育をなさっているのですか!?あの方は、こちらに来て右も左もわからない可哀想なルナ様に対して、男をあてがうと言ったのですよ!!」
呼吸を整えて、まだ続けて何か言おうとしてきた侍女に対して、
「嘘です」
とクロードは返した。
「えっ?」
「アルフレッド様とルナ様の関係を怪しいと思って探りをいれてみました」
「えっ!?あっいえ!お二人はとても仲良くて…先ほどの男をあてがうというのは…」
「というのは?」
「あの…えっと…」
オロオロと侍女は、辺りを見渡している。
クロードは、声をたてて笑った。そんなクロードに驚いたようで侍女は、目を大きく開いている。
「嘘です」
「えっえっえっ?」
「先ほどの、嘘ですは、嘘です。アルフレッド様から全てを聞いています」
「なっだったとしたら、何故嘘なんて!?」
今度は、素直に信じないぞという感ありありで、侍女が聞いてきた。
「貴女があまりにも、信じやすくて面白かったもので」
クロードの言葉で、侍女は呆然としている。
「極秘のことなのですから、ルナ様付きの貴女がしっかりしないでどうするのですか」
「申し訳ありません…」
侍女は、項垂れ、落ち込んでいる。
「まぁ、面白かったから、からかっただけなんですけどね」
「何なんですか貴方は!?」
また、表情が変わったとクロードは面白がった。