番外編(クロード)-1-
「色か…ピンクにしてくれ」
主のその言葉を聞いた瞬間、クロードは、我が耳を疑った。
しかし、完璧従者と自負するだけあって顔には驚きを出さず
「承知しました」
と返した。そして、主に背を向けた瞬間に口が緩んだ。
---あの堅物アルフレッド・オースティンが、女への贈り物で色を指定するなんて!!目的の為贈り物するのはわかる。しかし、色を指定する必要なんてない。ってことは…
そこまで考えたところで、口が完全にニヤけてしまっていることに気が付き、慌てて咳払いをした。
幸いにして、誰にも見られてなかったようだ。
クロードは、気を引き締め直し歩き始めた。
---いけないいけない、だが、本当に面白いことになってるんじゃないか?
仕事は、こなしつつもクロードは、考えを別のことにもっていくことは出来なかった。というよりは、する気もなかった。
---ほぼ見ず知らずの男と国の為に結婚して、すぐ異国に来ることになった可哀想な姫への気遣い。そんなのあの堅物に出来るわけない!ということは、ピンクが似合うと思ったからなのか?
クロードは、贔屓にしている宝石店に電話をした。
---色を指定する際に吹き出さないようにしなくては…
電話は、途中吹き出すようなこともなく終了した。
---これは、厳重に調査しないといけないな
クロードは、電話を置きながらそんなことを考えていた。