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…明日への風…

作者: 舞依
掲載日:2007/10/07

君が優しく笑うから この世の全てに色がついて。


君が愛してくれるから この世の全てが綺麗に思えた。


その何もかも…ずっと俺が守っていきたい。







〜恋愛純華〜





唯『(なつめ)、おはようッ!!!!!』


棗『あぁ…唯か』


唯『あぁ…って何さ、ヒドくない!!??』


1日のいつもの始まり…この桜の木の下で俺と唯は挨拶を交わす。


お前は変わらずあの笑顔を俺に向ける。


お前は知らないだろう


その笑顔を見るたびに…俺は苦しいんだ。




棗『唯…悪ィ、古文のノート見せてくんねぇかな』


唯『…課題、忘れたんでしょ』


そう言いながらも唯は渋々ノートをカバンから出す。


こう見えても、頭いいからな。


いつもテストは学年10位以内の常連。


俺とは正反対の唯。


気が強くて芯が強くて、少し神経質。


所属しているテニス部では部長を務めている。


偉いよな、お前は…


どんなに辛くても苦しくても…いつでも笑ってるんだから


その笑顔が…本物なのか俺は心配なんだ。


笑ってるはずのお前が…苦しそうに見えるんだ。






〜放課後〜


唯『棗、ゴメン…今日さ、先帰っててくれないかな??』


棗『あぁ、いいけど?…何で?』


幼稚園からの幼なじみの俺等、家は徒歩2分の距離。


中学2年の今…幼なじみ歴は目下更新中。


親からは『唯チャンを守れ』って言われてる。


唯は強いから…俺が守らなくたっていいんじゃないかと想う。


先帰っててって…唯は今日部活ないんじゃなかったのか?


唯『あ…えとっ…』




唯は顔を赤らめて下を向いた。


…これが、唯??


こんなに恥らう唯を見るのは…はじめて。


こんなにコイツ、女みたいな表情するか??


唯『先輩…と、デートするんだっ』






―――――で、デート??????




棗『唯…彼氏いんの??』


よっぽど恥ずかしいのか、唯は林檎みたいに顔を真っ赤にしてコクッと1回頷いた。


ま、まじ??


棗『いつからだよ??』


唯『昨日から…///』


昨日!!!!???????


だから昨日は、アイツらしくなかったのか。


何か挙動不審で、しどろもどろで…


棗『先輩って、一樹先輩か??』


唯『う、うん/////////////』


前から、憧れてたもんな、唯…。


棗『…そっか、じゃあ楽しんでこいよ』


唯『うんっ…!!』


嬉しそうに微笑んだ彼女は…恋している、瞳だった。










帰り道、久々に空いた俺の右側。


そっか、アイツにも…彼氏できるんだ。


もうあの頃の純粋な唯じゃないのか…。


今ごろ唯は…また笑ってるのか??








…唯の両親は、唯が4歳の頃、離婚した。


唯はお母さんに引き取られたが、お母さんは病気がちで今は入院してる。





だけど唯は…


両親が離婚したときも、独りで過ごした夜も…


決して涙は流さなかったんだ。
















それから唯は毎日のように先輩とのデート。


俺は暇だったから適当にクラスの奴らと遊ぶ毎日。


だけどどこか物足りなくて…


俺はクラスメイトの香凛に告られたけど、断った。





今日は久々に、唯との放課後。


一樹先輩は…塾に入ったらしい。


まあ3年生だしな、塾に入ってないほうが少ないか…。


唯『今日は棗と久々の放課後だね』


棗『そうだな…』


唯『――――――棗、変わっちゃったね』



―――唯が放った言葉。


棗『…え??』


今日は風が強く、唯の長い髪が靡く。


俺が…変わった??


唯『あたしの知らない人みたい。』


何を言ってるんだ??






―――――――――――――――――唯の、涙。




はじめて見た…唯の涙。


棗『唯…』


唯『っ――棗ごめんね!!!』


唯は走っていった。











俺はただ、立ち尽くすばかりだった。


何が起こったんだ??




『唯ちゃんを守ってね』




この言葉が誓いなら…


今、俺が唯を守る時なのだろう。


唯――――









俺が唯を見つけるのに時間はかからなかった。


2人が幼稚園の頃、毎日のように遊んでいた公園。


そこに、うずくまった彼女がいた。


棗『…唯』


彼女の名前を静かに呼ぶ。


彼女の背中が微かに震えた。


そして、ゆっくりと顔を上げた彼女。


その顔は涙でグシャグシャで…。


棗『唯、どうしたんだよ??』


そっと問いかける。






唯『あだすっ…なづめがぁぁっす、好き』


涙で途切れ途切れな彼女の言葉…




棗『え??』


俺が好き??唯が??


唯『小学校の時からぁぁずっとずっと好きだった…!!!』


今にも折れそうな細い腕でギュッと俺にしがみついた。


俺はそんな唯を…強く抱きしめる。


唯『唯ねっ…本当はずっと怖かったよぉぉ…お父さんいないし、ずっと夜は独りで…』


ただ俺は唯の言葉をひとつひとつ受け止めて頷く。


唯『だけど棗はそんな唯の傍にいてくれた…』


唯は…唯は強かったんじゃない、ずっと弱さを隠してただけ…。


本当はずっと泣きたかったんだ…。


唯『一樹先輩の事は…憧れだった、棗の事諦められるかなって想って付き合ったの』


じゃあ…あの赤らめた顔は演技だったのか??


棗『…そっか』


唯『で、でもやっぱね…棗が好き…諦めらんないよぉ』


弱弱しく笑う唯。


唯『その間も…棗はクラスの人と遊んで、あたしが知らない人になっちゃったみたいで…後悔した』


震える体を支えるように抱きしめる。


唯『本当は棗が好きだったぁ…今もずっと…ずっと』






ギュッ――――――




強く強く唯を抱きしめる。


棗『もう泣いていいんだよ唯…!!俺がお前を受け止めるから…辛いトキまで笑うなよっ』


唯は一瞬笑って…泣いた。


涙が枯れそうになるまで、ずっと泣いた。


俺はこの感情を…愛だと確信した。


棗『好きだ唯…俺もお前が好きだ』


唯の顔を俺の顔の前にやる。


涙ぐんだ唯は凄く綺麗で…可愛くて。


キスをした。


その時の唯は…確かにココロから笑っていた。








また今日も一筋の風が吹く。





明日への風。













少し、本文の方で矛盾していた部分があったので、訂正しました。(10月10日)

初めての短編・男視点からの話で書いてて楽しかったです!!

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― 新着の感想 ―
[一言] 男の子からの目線の物語ってあまりないから、おもしろかったぁぁ!!! 表現の仕方がうまいねン♪.. よッッ!!!天才ッッ!!!
[一言] 拝読させていただきました。 物語はたいへん面白かったです。 あえて言うなら >唯『一樹先輩はね、…脅されたから付き合ったの…』 上記のセリフと、前半の棗と唯の会話描写とは、矛盾していて…
[一言] 初めまして。読ませていただきました。ストーリーは純愛のスクールロマンスって感じので読みやすくて情景もよかったです。彼女が泣きながら想いを伝えるシーンもなかなか感動的でしたよ。映像になると更に…
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