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ワンダーリアル  作者: 淡水
第一章:絶対防衛ライン突破編
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FILE:9 訪問

やっぱり、不定期更新で・・・。

アランカ地方 (九州地方南部)上空 ヘリ内部。

「ほぅ。確かに悪くは無い。こんなスキルは我々には存在しない。」

チヌークが出発して5分。第一声を発したのは大和だった。


―これが科学の結晶、そして信じる心を捨てた人間の力。

魔法というのはやはり魅力的だった。科学は結局魔法の真似事であることも否定出来ない。



「だが、やはり人間というのはないものねだりをするが手に入れれば一瞬の満足しか得ない。」

「?どうした西。」

「・・・いいや、何でも無い。迷いごとに過ぎん。」

誤魔化しはした。だが、己の中核を襲っている何かを大和にも読み取られている。確かにその感覚があった。


「しかし、戦状はどうなんだ?」

誤魔化すために直ぐに話題を切り替える。


「火の里は非常に良くない・・・。幸いにも空の里とは友好関係を保ってる、それだけだな。」

だが、実際大和の表情はそこまで火の里の戦状が良くないと物語る表情。


「海の里はどうなんだ?」

出発前、一番勢力を奮っているのは海の里だと聞いていただけに西には興味があった。

「海の連中は一番理に叶った場所で誕生しただろうなぁ。実際島のおかげで他の里が連合を組んで戦ったことがあるという書紀もあるが海の里が海戦負けた記録は無い。」

やはり、海の里と自称するだけはあるのだろう。その強さを存分に発揮できる場所に生まれただけある。

「海の連中はどういった魔法を起こすんだ?」

火の魔法や空、光の魔法はしかとこの目に焼き付けてきた西にとってそれも純粋な好奇心だった。

「ん?例えば津波だとか大潮だとか戦時で無ければ漁を主流に生きている。市場なんかの魚介関連は連中がいつも用意している。」

「戦時に現れなければ食べてみたいものだな。」

西は魚が好きだった。地元は魚が旨かったから、それが恋しくもなった。



□■

5年ほど前。

「お、西じゃねーか。そろそろ士官学校も卒業か。お前は陸自だろ?」

「・・・いや、俺は漁師になろうかと思うんだ。それで士官学校も退学の手続きをしようかと向かってるところさ。」

高校の同級生だった、飯島と士官学校の昇降口付近でばったりと会ったのは今でも西の脳内にあった。

「どうしてだ?なら水産高校なり普通科高校なりあったろう?わざわざ士官学校に入って自衛隊に入隊しないなんて。」

飯島の言い分は勿論当たり前だ。だが、先日酒屋で過去に戦争に行ったという漁師に「自衛隊なんぞヒヨっ子よ。俺たちとは違う」と言われた時、西の中で消え失せたのだ。



―そこまでして自衛隊に拘る必要があるのだろうか。それならば美味い魚を取って親父の跡を継ぐほうが良い。


「ふっ。それは逃げか?」

何かを察したのか飯島はそう言い放った。

直後に喧嘩になったことは言うまでもない。だが、最後は結局退学手続きの紙を破いた。


□■


「だが、連合して勝てないなんて陸でも強いのか?海の里は。」

「海の里は陸にはあまり強くない。しかし、それを突くことも出来ない。それは連中の陣取る地形が島だから。っと・・・そろそろ火の里か?」


バラバラバラバラ・・・・。

ヘリの音が激しく鳴り響く中、扉を開けて外を見渡す。それに続き、大和も下の様子を目を細めて見る。

「・・・。妙だな・・・。いつもならば下の見張りの連中が気づくだろう?」

戦時の中、見張りを付けない国など有り得ない。それは西にも理解出来ていた。

「坂田パイロット。一時帰還してくれ。俺たちはこのまま下に降りる・・・。何か変だ・・・。」

兵士としてこれは何かが変だと直感的に判断した西は上陸許可を取る。


「了解。」

「行くぞ!西。」

「何だ?こんな鞄で翔べ!?」

パラシュートを初めて使う大和の顔には不安だけが貼り付けられていた。


「阿呆かッ!?翔べないもので翔ぶわけが無いだろう!?翔べッ!兵士を名乗るならばッ!国を・・・守るだけの俺たちを嘲笑うのならばッ!」

変な感覚はいつしか俺たち国防軍を馬鹿にするような魔法軍人たちへの怒りになっていた。


「・・・。」

「俺は先に行く。説明したとおり飛べば良い。」

怒りを一気に鎮火させ、直ぐに冷静さを保とうとする西。


バッ!


そして、飛んだ。


□■

火の里。

「無事成功したか?」

「エキサイティングだった・・・。しかし、男がいないのは分かるが・・・女子供がいないのはどうしたもんだ?」

人の影という影が無い。これほど静かな人の空間があるのだろうか・・・それほどだった。


「取り敢えず、家に・・・。」

と、大和の知り合いの家へと入ってみることに。


コンコン。二回のノック音。

「返事が無い・・・。」

ガチャリと木の音を立てながらドアを開ける。


「ッ!?」

そこにあったのは転がっている幾ものの死体。頭には銃弾で貫かれた様な死体ばかり・・・。

「まさか、上陸及び外出には許可が必要だッ!そして、俺たちの中に夜中抜け出して国境を越えて走れる人間なんて居ない・・・。」

「いいや、これは・・・空の里の魔法・・・!?」

友好な関係を築いていると聞いてはいた。だが、それは大和も同じ。



「何だ!?どうなってる!?」


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