FILE:74 シースタリオンからの毒針
FILE:74 シースタリオンからの毒針
「場所が分からないッ!」
斉木はスティンガーを撃つ事を密かに恐れだしていた。
彼にとって最大であろう未知との戦い。容易に撃つことを躊躇うのは恐らく彼だけでは無いはず。
「斉木。俺がやってみよう。」
突然、上空で吉岡がスティンガーを持った。
斉木は何も言わず、手渡す。
「南120°方向より飛行物体を確認!」
パイロットが二人の様子を伺いつつ早急たる報告が成された。
斉木はばつの悪そうな表情に変わる。
しかし、斉木の表情はそれから焦燥へと変わる。
「・・・大和タケルッ!!」
ドーーーーンッ!!!
「ッ!?」
斉木は思わず声にならない驚きを見せた。
スティンガーが放たれたのだ。
斉木は何も言わず、手に取る。スティンガーを―。
「な、何しているッ!?」
いち早くそれに気がついたのは無論吉岡。
「撃つ気かッ!」
大和を後ろに乗せて絨毯に乗る兵士がスティンガーをこちらに向けていると察知した。
そして、
「撃つなッ!!」
という声の後―。
光が爆ぜる。
何も言わずに光はシースタリオンに向かう。
「かわしたのか・・・・?」
しかし、攻撃をしようとしていた敵は何食わぬ顔をしている。
「斉木!平気か・・・・!?」
斉木の体はその瞬間、宙にあった。
垂直に・・・。
ただゆっくりと・・・。
意識を保ち、手に感じる質量。
その時光る石の存在に気がつく。
「吉岡参謀・・・。後は任せます。」
ドーーーーーーンッ!!!
轟音。
斉木から放たれた毒針はしっかりと飛行石を目指した。
デアトイフェル 艦橋。
「ひ、飛行石が!!!」
「やられたのか!」
デアトイフェルの乗組員全員が感じた。
落下独特に浮遊感。それが嘔吐感を誘う。
「総員ッ!着水に備えろ!!」
ザッ!!
パーーーーーーーーーーンッ!!
大きな水しぶきを上げて巨大な船、デアトイフェルが着水する。
早乙女空母 管制室。
【シースタリオン!現状を報告せよ。】
【こちら、シースタリオン・・・。エマージェンシーコールッ!!吉岡一等陸曹が被弾落下。ですが、デアトイフェルの飛行石破壊及び着水を確認!!】
【斉木が・・・・!?】
【斉木一等陸曹の捜索を進言します。】
【駄目だ・・・。承認しない。】
【ど、どうし・・・!】
【・・・帰還”命令”だ。】
早乙女空母 滑走路。
「・・・。斉木の事は分かっている。」
西は敢て滑走路で待機していた。
吉岡が現れるなりそう告げる。
「だが・・・これから、デアトイフェルに突入する。」
「はっ!」
西の言いたい事の輪郭だけでも理解出来た吉岡は認めなくなくとも認める。
早乙女空母 作戦会議室。
「南部艦隊の攻撃は・・・?」
「それが北部艦隊の攻撃も中々凄まじいようで癒着状態のようです。」
飯島、西、エデンポリ、吉岡の姿がそこにはあった。
彼らは遂に来る時を狙っていた。
そして、時は来たとも言える。
「司令。部隊編成を。」
「あぁ。分かっている。」
デアトイフェル 通信室。
「つ、通信長。先刻の命令違反ですが・・・。」
「何も言いはしない。」
大和はデアトイフェルに戻っていた。
―斉木一等陸曹・・・。君とは西二佐とよく一緒にいたな・・・。
まさか、この船を海に叩きつけるとは・・・。
だが、私には及ばなかったな・・・。




