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ワンダーリアル  作者: 淡水
最終章:みらい
72/80

FILE:72 大英雄死す

FILE:72 大英雄死す

この空戦。氷の船団の姿ですら見え隠れした。どうも北のセルノーツがうまく話をつけたのだ。

しかし、奇妙な事に氷の女王はこの空戦に参加することを最初は頑なに断った。

それだけでは無い。氷の一派とさせる面々全員が嫌がった。流石に何かあると思わなければならない。


だが、それを語ることすらなかった。

結局話術の得意な北のセルノーツの進言下彼女は渋々、この空戦に交わったのだ。


氷の一派 飛行船。

「女王・・・大丈夫でしょうか?」

「仕方ありませんわ。これも定まった運命としましょう。」

氷の女王は寒い冷蔵庫の様な管制室で一人深刻そうな顔をしていた。


氷の一派のこの奇妙な空気は南部軍にも知れ渡った。

理由は簡単。


氷の船が一瞬で落ちるのだ。

過去の数回に渡る戦闘の中で彼らはいつも氷の一派に邪魔をされていた。つまり、それだけタフな存在。

そんな存在が一度の攻撃でその身を海へと放り投げるのだ。変に思わないわけが無かった。


氷の飛行船 甲板。

氷の女王は突然甲板に向かった。

勿論兵士が止めたのだが、それでも向かった。

「私が悪魔を封印して100年以上・・・。平和に暮らせた気がしますわね。」

「ですけど・・・。今こんなところにいれば、貴方を助けたあの奇妙な男たちが報われませんよ?」

何とも気になる言い方をする兵士だが、彼女がそれを最も理解していた。

「分かっていますわ。私が今この身を投げればきっと変わる・・・。未来が・・・。」

「ですけど、あの者たちがッ!」

その兵士の頭の片隅をチラつく科学という文字。しかし、それを理由に彼女を引きとめようとした時―。


フッと彼女はその身を甲板から投げ出し、ゆっくりと落下。

海に落ちた直後、その近辺が氷と化す。

暫くし、飛行船が次々と落下し始める。女王の命が途絶えた事を証明していたとも言える。


□■

早乙女空母 管制室。

「北部軍の機影。次々に落下しています。」

「なにぃッ!?」

レーダーは全て空軍に任せていたがその報告に西もまた覆いに驚いていた。

そして、直ぐに管制室へと向かった。


「どうなっている!」

そんな声が聞こえたのは艦内放送を終えた直後。


「分かりませんッ!ですが・・・。」

未だに機影は次々にその光を失い続けている。

彼らの中にあった焦りは北部軍の方が大きかった。




氷の女王という存在の死。




それを感じ取ったのは良しとしてこれでは南部軍に圧倒されるに違いなかった。


北部軍の司令塔達は選択を迫られていた。


北部軍 司令飛行船。

しかし、この空戦で決めると考えていた以上ここで撤退という手は無かったとも言える。


ドォーーーーン!!!


空気を裂き、砲弾が放たれた。

しかし、所詮は科学のものでも無い。威力など期待出来なかった。


だったのだが、直後に南部軍の飛行船が群れを成す方向から炎の弾がいくつか。

それは天高く舞うと閃光の様に北部の飛行船を襲った。

身を滅ぼしながら落ちてゆく北部軍の飛行船。


しかし、流れは直後に変わった。

一隻の北部軍の飛行船がその姿を残像と残すほどスピードに変化したのだ!

そのまま超巨大な砲弾の如く、南部軍の船へと衝突する北部軍の飛行船。

爆発大炎上に巻き込まれ他数隻も海へとたたきつけられた。


この命を懸けた行動に流石に南部軍も怯んだ。


大英雄の死。

これをチャンスにしていた男もまた存在していた。


デアトイフェル 通信長室

「・・・時が来たというわけか。彼らが動き出すのも時間の問題だな。」

大和は何も配備されていない通信長室の真ん中に一人座っていたのだが遂に立ち上がった。




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