表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ワンダーリアル  作者: 淡水
第一章:絶対防衛ライン突破編
7/80

FILE:7 一斉掃射

数時間後、早乙女基地上空に現れた光の使い手達を空軍は何とか退却に持ち込ませた。


早乙女基地 司令室。

「西中尉は任務に出ているため、彼は出席せず作戦会議を行う。まずは・・・報告を。」

吉岡がすっとその場で立ち上がる。


「報告します。先の戦闘により無人偵察機TACOM、F-15Jと諫早パイロットを失いました。現在、西中尉と10式戦車部隊が任務を遂行しております。」

「・・・。酷いな。恐らく国防軍始まって以来の大惨敗だろう・・・。西中尉と10式戦車部隊がどこまでやれるかも不透明だが、やるしか無いな・・・。」

浅田は月の平和シンボルも無くなった月を窓からじっと眺めていた。


「西中尉に先ほどの報告をしてまいります。」

「あぁ。それで士気が上がるならいくらでもしてやると言い。」

浅田は吉岡の提案を少し皮肉げに承諾する。

その言葉に少し遺憾を覚えつつも吉岡は空軍へと向かった。


□■

早乙女基地より数百キロ。

「・・・!。つまり、イーグルが一機が撃墜された・・・。」

「はい。」

「・・・。分かった。取り敢えず、もう少しで移動物体と接触するだろう。」

バイクに跨って1時間。獣道だけを通り続け西は既に基地より百キロ以上の地点にいた。




ドドドドドド。



そこで聞こえるのは確かに何かが走る音。

「遂に来たか。後は俺が1時間、このバイクで走りきるか・・・。」

ダンッダダンッ!

数発の乾いた。



「グルルル・・・。」

西の前に姿を現したのは、虎と恐竜が混じった様な大型の獣。


「こちら、西。目標と接触した。一時間後には早乙女基地付近に到着する。10式戦車部隊を準備しておいてくれッ!」

「こちら、管制室。了解した。10式戦車部隊の準備は概ね完了している。安心して引きつけてくれ。健闘を祈るッ!グッドラック。」

川田の声が西と獣だけの空間の森に広がる。



「さぁ、虎よッ!どこまで来れるかな?」

ブロロロッブーン!!

大きくふかし、バイクを180°回転させる。



「さぁ、着いてこい!!」

パンパンッ!

西は新拳銃を握った左腕を上空に刺し、まるで陸上のスタートの如く銃弾を撃ち放つ。


それに呼応し、獣のスタートダッシュが始まる。


□■

早乙女基地 監獄。

「ピクシー・・・遅かったじゃないか?」

牢獄の中に光がふぅっと現れ、えらくやつれた大和がそれに気づく。

「馬鹿いってんじゃ無いわよ・・・。」

「早く出してくれ・・・。」

それは発声にまで影響したのか、声もかすれかすれの状態だった。


「それが・・これって科学の力で封印されてるらしくって・・・。」

「はっ・・・。俺たちは科学の前には平伏さなければならないってか?」

大和は皮肉混じりに鼻で笑う。


【10式戦車部隊は約30分後の作戦に対して緊急準備を行え!】


そんな放送が監獄周辺にも響きわたる。

「まぁ、科学が万能では無いことは分かった。」


□■

早乙女基地より30分ほどの地点。

「まだ、半分かッ!」

西は無線と走ってきた道を頼りに走り続けた。しかし、獣の方は未だ体力の一割も削れていない様な状態。

―こんなに面倒な相手は・・・いや、ここじゃそんなのばっかりか!?


などと、考えていると何かに気づく。

やたらと燃料の減りが早い。

「こういう時に映画なんかじゃよくあるが、俺もか・・・。」

素人丸出しで燃料タンクに損傷を負っていることを自嘲する西。


「だが、いちいち言っている暇なんて無い。この状態を維持しながらやるしか無い。」

そこで、西は背後の獣と獣道に落ちている木などにも警戒しつつ、何かをバイクに取り付ける。


早乙女基地 管制室。

「こちら、西。残り10分で基地ゲートに到着する。ゲートを開放しておいてくれッ!」

「了解!」



早乙女基地 ゲート周辺。

5台ほどの10式戦車が列を連ねている。

「無線の通りだ!一斉掃射準備ッ!」

そこで、部隊の兵士達に聞こえたのは・・・。



「くっそ獣ッ!喰らいやがれ!!!」


その声の直後、森の奥で光が起きる。

ドーンッ!!爆発が起きる。

「何だッ!?」

「目標視認!掃射開始!」

ドーンドドドドーンッッ!!!!

10式戦車が砲台を撃ちつける。


「キャインッ!?」



確かにその獣の悲鳴が聞こえた。

「ぐぇ!?」

掃射直後、煙が晴れるとそこには横たわった西の姿。

「中尉ッ!」

「どうした?」

そこに現れたのは、状況を確認しに来た飯島。


「西ッ!」

飯島は土まみれで横たわる西に駆け寄る。


「西ッ!死ぬなッ!!生きろッ!!生き残れッ!!!」

ゆさゆさとその体を動かす。



「脆いな・・・。」



そこに現れたのは手錠にかかった大和とピクシー。そして、富山。

「富山軍医。西を見てください!」

「もうそんなことしなくたって直してやるわよ。」

ピクシーがそう言って息もしていない西にすぅーっと近づく。



「ほっ!」



指先に緑がかった光を集めさせ、西に指を差す。


「・・・。はぁ・・・・!ふぅ・・・ッ!!!」

「西ッ!大丈夫か!?」

「・・・あぁ・・・。」


西はぱっちりと目を開けて、言う。



―これが魔法なんだとな・・・と。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ