FILE:68 奪取編 後編
FILE:68 奪取編 後編
シャルロット王国 夜明け前。
「彼らは暫く出てこない。もしかすると死ぬまで・・・。」
夜明けのシャルロット王国には作業員以外、一般人の姿は無い。巨船の甲板に立つ男に別の男が近寄る。
「領収書です。良いんです?南部軍の注文にしちゃって・・・。」
「構いませんよ。先の海戦で巨船は失ってますし。丁度良かったんではありません?ところで、アイ。サオトメ空母はどうした?」
大和は領収書を手渡したアイに問う。
「当初の指示通りイーストテンプルの解体施設に送りました。解体には1年近くかかるらしいですが。」
「・・・まぁ、良しとしよう。」
早乙女空母の拿捕から早くも3日。大和はいつも以上にやる気に満ち満ちた表情をしている。
□■
イーストテンプル公式 営倉。
「食欲落ちてきたなぁ・・・。」
一人の陸軍兵士がつぶやいた。話相手は斉木で斉木自身もその話には共感出来た。
「ヒデキ。ここがどこか分かるか?」
「恐らくイーストテンプルだろう。見ろ。」
飯島が指差したのは近くの壁に書かれた紋章。
「テンプル王国の壁に張られた紋章と同じだろ。」
「なるほど・・・。しかし、空母と極東も行方不明か・・・ん?」
西はパンの中にねじ込まれた紙に気がつく。
『早乙女空母、極東はイーストテンプルに有り。ウィニー・パディントン。』
「おッ!?」
西の反応に全員が近寄った。我々の捕虜だったということにして逃したウィニーから早々に報告が届いたのだ。
すると、土の地面が急に膨れだし中から一人の兵士が顔を出す。
思わず全員が驚愕の表情となる。
「安心してください。私はウィニーさんにお願いされたんです。まずは空母の状態確認のために誰かご同行を!」
「俺が行こう。」
咄嗟に西が立ち上がった。
「なら、俺も行く。」
なんと続いてそういったのは飯島。一同は心配そうな表情となる。
「武器は無いがな。行くだけ行こう。」
テンプル王国 解体施設。
「解体されるわけだ・・・。」
「えぇ。おおよそ1年後に。」
翌日。
「『予定が1年早くなった・・・明後日解体予定。』・・・ッ!?」
西の声が一気に絶望へと変化する。そのさまを全員が理解できていた。
すると、再び抜け穴から兵士 ジョンと名乗る男が現れた。
「非常に申し訳ないんですが・・・。後もう一報・・・。実は今朝方巨大な船が到着して大和タケルらしき人物が・・・。」
「大和だとッ!?」
見張りの兵士に聞こえないように声を潜めつつそう言う西。
「ヒデキ。それから斉木、川田、白田、沢木。奪還作戦を始動させよう。」
「はっ!」
飯島はうなずくだけだが、了承の意を見せる。
彼らの奪還作戦が幕を開ける。




