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ワンダーリアル  作者: 淡水
第八章:真冬の太平洋編
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FILE:65 新しき日々

FILE:65 新しき日々

大和が密かにイーストテンプルの地を離れた頃、真冬の太平洋では日付が変わろうとしていた。


20XX年1月1日だ。

空母では恐らく世界で最も過酷な「おめでとう」が繰り出された。


空母 管制室。

「極東が竜と闘う・・・。」

新年を迎えたところでこの現状は少しも変わらない。

飯島は皆同様にそれを理解出来ていた。


極東 管制室。 

一方の極東は新年の挨拶など言われることが無かった。

単純明快にそれどころで無かったのだ。


「SIM-4の発射確認ッ!!」

「追え・・・食らいつけッ!!」

西は輝点を追いかけるSIM-4の路を見続けていた。

「接触まで4、3、2、1・・・。」

SIM-4の光が消える。しかし、竜の点は残っている。


「・・・・無傷・・・といことか?」

SIM-4は確かに竜と接触している。しかし、奴は生きている。


「も、目標ッ!直上!!」

「高度を400下降ッ!右60°旋回ッ!」

極東は大きなカーブを描きながら旋回する。


【こちら、F-15DJ!】

【こちら、極東。どうした!】

【もう一度SIM-4で撃墜を進言します!後は私が決めます。】

【・・・いや・・・。】


【今はそれどころではありません!!司令!判断を・・・・!自分の・・・いえ、私の勇気を無駄にはっ・・・。】

【分かった。無駄にはしない。】


無線が切れるのを確認して西は今井に合図を送る。

「SIM-4発射用意。目標は変わらず。」

すると、何を思ったか西に発射の合図を促す。



「SIM-4発射ッ!!」


再びSIM-4は竜を無傷の状態でその身を滅ぼす。だが、先刻と違うのは急速に動く輝点がレーダーに写ったこと。


F-15DJ内部。SIM-4接触10分ほど前。

「嶋岡・・・何としてもやるぞ・・・。」

大島カズキは西への無線連絡を終了し決心した様子だ。

「AIM-120D AMRAAMを使おう。」

「はっ・・・。」


イーグルは大きく旋回し、目標の付近を飛行していた。

アナログ計器が中心の機体の中に特別に設置されたレーダー。それは極東を捉えていた。

そして、SIM-4の軌跡がしっかりと描かれ始めたのだ。


「来たッ!」

SIM-4は確かに竜と激突。しかし、まさに無傷。まるで何も無い様な状態。

「AIM-120D AMRAAM発射ッ!」


苦し紛れに放たれたAIM-120D AMRAAM。


2018年に完成したミサイルはしっかりとそれを追尾した。

ドゴーンッ!


《グォォォ・・・ッ!?》

竜がイーグルの存在に気がついたのは身に感じる強い打撃と爆発の衝撃が走ってから。

そして、その攻撃はその絶対的存在に見えたそれの弱点をしっかりと突いたのだ。


《きっさまら・・・・ッ!》

竜は堪忍袋の緒を断ち切った様にイーグルを追いかける。


「振り切るぞ!もう一度・・・この手で奇跡を起こす・・・。」

大島の中にある信念が疼く。


あの時・・・燃料の残量が0になりながら着陸したあの奇跡をもう一度・・・。

操縦桿に自然と力が入る。


そして、科学の異物と魔法の異物が繰り広げる逃走劇が始まる。


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